- 2020.03.20
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「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 3 月 19 日)
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議から
「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 3 月 19 日)
が発表されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610566.pdf
是非とも読んで頂きたいですが、ここに要点を記載いたします。
気付かないうちに市中感染が広がり、突然爆発的にオーバーシュートし、医療提供体制に過剰な負荷がかかり、それまで行われていた適切な医療が提供でき なくなることが懸念される。
3本柱の基本戦略
1 クラスターの早期発見・早期対 応
2 患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保
3 市民の行動変容
北海道では一定程度、新規感染者の増加を抑えられてきている
全国的にも国民の適切な行動変容により、国内での新規感染者数が若干減少している
WHOからも、
日本が「クラスターの早期発見・早期対応」という戦略 をとって様々な取組を進めてきたことを高く評価している
これまでの感染例について
感染 758例 入院治療 579 例
軽快退院 150 例(25.9%)
軽症から中等度 337名(58.2%)
人工呼吸器を使用または集中治療 46 名(7.9%)
死亡者数 29 名
現時点では諸外国で起こっているメガクラスターの形成はなされていないが
感染源が分からない感染者の増加が生じている地域が散発的に発生している
クラスターの感染源が分からな い感染者が増加していくと、爆発的な感染拡大(オーバーシュート)を伴う大規模流行につながる危険性がある
その場合、数週間の間、都市を封鎖し、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う「ロックダウン」と呼ばれる強硬な措置が行われる
オーバーシュートが生じる可能性は大都市圏の方がより高い
オーバーシュートを起こさない為には、
「3つの条件」
1 換気の悪い密閉空間
2 人が密集している
3 近距離での会話や発声が行われる
という 3 つの条件が同時に重なった場での行動を抑制するように各人が行動変容を徹底させる事が重要である。
その為には、
全国から不特定多数の 人々が集まるイベントが最も危険
イベントそのものがリスクの低い場で行われたとしても、イベントの前後で人々の交流が急速な感染拡大のリスクを高める
大流行が起こった場合の試算では、1 日の新規感染者数が 5,414 人にのぼり、人口の 79.9%が感染
重篤患者数が1000人を越え、地域における現有の人工呼吸器の数を超えてしまう。
これまでなら救えていた命が救えなくなる。
たとえば、合併症のある高齢者以外の方や、新型コロナウイルス感染以外の事故や疾病で緊急入院が必要となる方に対してのベットが足りなくなってしまう。
地域の感染状況により対応が異なってくる。
感染状況が拡大傾向にある地域
→地域における独自のメッセージやアラートの発出や一律自粛の必要性について適切に検討する
感染状況が収まってきている地域
→人の集まるイベントや「3つの条件が同時に重なる場」を徹底的に回避
感染状況が確認されていない地域では
→適切にそれらのリスクを判断した上で感染拡大のリスクの低い活動から実施
子どもは重症化する可能性が低いが、中国等では重症化した事例も少数例ながら報告されている
一般には重症化しにくい特性から、無症状又は症状の軽い子どもたちが、高齢者等を含む家族内感染を引き起こし、クラスター連鎖のきっかけとなる可能性
→感染状況が拡大傾向にある地域」では、一定期間、学校を休校にすることも一つの選 択肢
提言
・クラスター対策の抜本的な強化
抜本的なクラスター対策の拡充を迅速に実施すべき
1 地域 でクラスター対策を指揮する専門家を支援する人材の確保
2 地方公共団体間の強力な広域連携の推進を図る
3 感染者情報をそれぞれの地域のリスクアセスメントに活用できるシステムを作る
4 保健所が大規模なクラスター対策に専念できる人員と予算の投入
・「3つの条件が同時に重なった場」を避ける取組の必要性に関する周知啓発の徹底
・ 重症者を優先する医療体制の構築
- 2020.03.20
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新型コロナウイルスのPCR検査と胸部CTの感度比較論文
Ai T at al:Correlation of Chest CT and RT-PCR Testing in Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) in China
こちらは、新型コロナウイルスのPCR検査と胸部CTの感度を比較した中国からの論文から結果を図に表したものです。
新型コロナウイルス感染の疑いがある1049人の方にPCR検査と胸部CT検査両方を行って、どちらの感度が優れていたかを比較しています。
PCR(+)〜PCR検査が陽性だった方
CT(+)〜CT検査が陽性だった方
PCR(ー)〜PCR検査が陰性だった方
CT(ー)〜CT検査が陰性だった方
PCR(+)でCT(+) → 580人(57%)
PCR(ー)でCT(+) → 308人(30%)
PCR(+)でCT(ー) → 21人(2%)
PCR(ー)でCT(ー) → 105人(10%)
PCR(+)でCT(+)の方が多いのは当然ですが、PCR(+)でCT(ー)だった方は少なく、PCR(ー)でもCT(+)だった方が30%もいた事から、CTの方が感受性は高かったと言う事になります。
最初は感冒と考えていたが、念の為に行ったPCR検査は陰性だったが、肺CT検査を行ったところ、新型コロナウイルス肺炎に特徴的な陰影があり、その後最終的にはPCR検査陽性になったと言う例が多いという事かと思います。
実は、日本のCT保有数は100万人あたり107.2台であり、G7平均の25.2台、OECD関連国の25.4台と比べても断トツでトップの保有数であり、諸外国に比べ圧倒的にCT普及率が高い事が知られています。
簡便にCTが撮影出来るなら、結果から強く新型コロナウイルス感染が疑われる場合にPCR検査を行ってもCTの方が感度が高い結果が出ていますので、遅くは無いのではと思います。
これは、現在日本で行われている方法に近いかと思いますので、やみくもにPCR検査をと言うより理にかなっているのではと思います。
PCR検査は濃厚接触者だったり、周囲に新型コロナウイルス感染が蔓延している場合に効果が有るもので、散発的な患者数である日本では希望者全員にPCR検査を行う事は不必要かと思います。ましてやPCRで陰性と出ても実際には陽性だった方も多数出ています。
ただし、CT室が汚染されてしまう可能性もあり、その地域に1箇所新型コロナウイルス患者対応でPPEがしっかり出来ているCT施設を設置するべきだと思います。
- 2020.03.18
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クラスター対応戦略の概要
- 2020.03.17
- 一般
新型コロナウイルス感染症 ~市民向け感染予防ハンドブック
東北大学大学院 感染制御・検査診断学講座より「新型コロナウイルス感染症 ~市民向け感染予防ハンドブック」の第2版が公開されました。
このハンドブックは、東北大学総合感染症学分野、東北医科薬科大学病院感染制御部、仙台東部地区感染対策チームが協力して作成したそうです。
このハンドブックがとても有用だと思ったのは、後半のマスクの付け方、手洗いの仕方です。
私としては、水道で手洗いした場合には、最後蛇口をひねる操作も慎重に行わないとならないと考えています。
その部分も丁寧に書かれています。
更には、熱が出ているけど、まだPCR検査に至らない場合のご本人、ご家族の家庭での対応も書かれておりますので、必見かと思います。
- 2020.03.16
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熱発時に使用する解熱剤について
新型コロナウイルスについて、フランスでは14日に新型ウイルスの感染者が3661人から4499人に急増。保健当局によると、死者は91人となっているそうです。
そこで、驚くべき話を聞きました。
Twitterからの情報なので、そう言う話をしている方がいると言う程度で聞いていただきたいのですが、フランスでは現在300人が重篤な状態で、その半数は50歳未満の比較的若い人だというのです。
これまで、新型コロナウイルスは高齢者が重篤化すると言うのに、フランスではどうなっているのかととても不安に感じました。
そうしたところ、Y!ニュースに下記ニュースが載りました。
コロナウイルスにかかったら飲んではいけない薬:フランスの厚生大臣が発表(今井佐緒里) – Y!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200315-00167830/
フランスの厚生大臣が、新型コロナウイルスに関して、イブプロフェンを服用しないようにと声明を出したそうです。
新型コロナウイルスにかかっている方がイブプロフェンを服用すると、既にかかっている感染症を悪化させ、合併症を伴わせる可能性があると言っています。
熱がある場合は、アセトアミノフェンを服用する様にと言うメッセージを送ったとあります。
実は、インフルエンザでも同様の事が言われており、小児や高齢者のインフルエンザに伴う発熱に対してはアセトアミノフェン(カロナール、ピリナジンなど)を使用することが推奨されており、その他の解熱剤の使用は慎重にすべきだとされています。
使用を避けるべき薬としては
サリチル酸系解熱鎮痛薬であるアスピリン、バファリン、PL顆粒、ペレックス顆粒などや、市販の風邪薬。そして、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)とメフェナム散(ポンタール)などです。
複数の医者が、発熱のためにイブプロフェンを服用した後、併存疾患がないにもかかわらず、重篤な状態に陥ったコロナウイルスの若い患者の例を挙げていると書いて有ります。
熱発時にはアセトアミノフェンを飲んでおく方が無難かと思います。
ただ、熱が無い頭痛や尿管結石などの痛みに対しては、ボルタレンや通常の消炎鎮痛薬を使用すべきなので、なんでもかんでもという話では無い事を最後に付け加えておきます。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。