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2020.07.17
一般

武田薬品工業の前立腺癌治療薬リュープリンの欠品について

前立腺癌の治療薬でリュープリン(一般名リュープレロリン)と言う注射薬があります。
初期の前立腺癌では、手術や放射線治療という選択枝がありますが、前立腺癌が男性ホルモンに依存する癌であり、ホルモンを遮断する薬が有効で有るため、LH-RHアゴニスト製剤であるリュープロレリンが開発され治療として使われています。
リュープリンは、月1回の製剤ですが、3ヵ月製剤であるリュープリンSR注射用キット11.25mgと言う製剤が製造元の武田薬品工業から欠品となるという連絡を受けました。
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「リュープリン注射用キット」の製造所である山口県の光工場で2020年4月から行われている定期シャットダウン期間中に特定された逸脱の対応として、一部工程の再バリデーションを実施する必要があり、これにより製造再開予定時期に遅れが発生し5月中旬より出荷調整を開始しました。
 しかしながら、再バリデーションは実施しているものの、条件検討に時間を要したため当初の供給計画に遅延が生じました。また、本製造所は、規制当局の定期査察を受けて製造プロセスを厳格化したことに加え、規制当局から追加の指摘を受けたこと、および上記対応も含めた一連の生産停止により供給量が低下したことにより、国内市場および、世界市場における需要量の増加に対応できなくなることが判明しました。
==================================と言うメーカーの説明ですが、要するにきちんとした製品が出来ていない事を指摘されて、きちんとした製品が出来る状況になるまで製造中止となったという事かと思います。

でも、このリュープリン及びリュープリンSRは前立腺癌で使用されるLH-RHアゴニスト製剤の6割のシェアがあるそうです。
他に、ゾラデックスやゴナックス、そしてリュープロレリンのジェネリック製剤もありますが、まだまだ流通している半分以上のシェアを占めている製剤となっています。
今回、工場の問題と思われるかもしれませんが、本来なら抗がん剤を扱うメーカーとして、工場を分散させリスクを減らすなどの通常は行うべき対応をしていないと言う非常に無責任で有り得ない対応です。
東日本大震災の時に、薬剤を欠品させた製薬会社が数社出ています。
その教訓を元に、生産する工場は分散させる様になったと聞いていますが、これほどのシェアを持つ抗がん剤と言う命に関わる薬を生産する工場を分散させておらず欠品を生じさせた武田薬品工業の責任は重いと思います。
このことにより、供給されるリュープリンの本数に限りが出てきています。
そこで、現在の病状と癌の進行を考えて、どうしても投与を続けなければならない患者さんに絞って投薬せざるを得ない状況になっているようです。当院は、リュープロレリンのジェネリック製剤が発売されてから、ジェネリック製剤を中心に使用していましたので大きな影響は出ませんでしたが、それでも数人はリュープリンSRを使用していました。
この様な状況を生じさせてしまった武田薬品工業の患者さん向け説明が下記の文章です。
今後の治療についてご不安な点がございましたら、主治医の先生にご相談頂けますようにお願い申し上げます。
多人数の癌を患っている患者さんに対する大切な薬を欠品させた企業としてとても無責任な文章かと思います。
実は、この話ですが、全く報道されていません。
大企業の力なのかもしれませんが、マスコミの方もきちんと報道して欲しいと思います。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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