過活動性膀胱(OAB)について
以前にも一度記事にしたことがありますが、前回お話ししたウロマスターに関連した話題で、最近よく話題になっている過活動性膀胱(OAB)についてお話しいたします。
1. 尿意切迫感〜急にトイレに行きたくなり、我慢することが難しい。
2. 頻尿(夜間頻尿)〜日中8回以上トイレに行き、夜間も1回以上尿意で起きる
3. 切迫性尿失禁(尿漏れ)〜尿意切迫感が強く、トイレまで我慢できずに尿が漏れてしまう。
このような症状がある方は、過活動膀胱の可能性があります。
特に、「尿意切迫感は重要で、頻尿でしかも、急な尿意でトイレまで我慢するのがやっとです。」という人は、明らかに過活動膀胱のかたです。
だいたい、40歳以上の8人に一人は持っているという病気ですので、かなり一般的なものです。また、高齢になるほど頻度も高くなり80歳代では3割以上の方が過活動膀胱を持つと言われてます。
原因ですが、脳血管障害、パーキンソン病や脊髄の障害などの「神経因性」と、前立腺肥大症や骨盤底筋のトラブル、加齢、そして原因不明なものを含めた「非神経因性」があります。
実は、原因の分からないものが一番多い病気なのです。
治療法は、抗コリン剤の内服が非常によく効きます。
しかし、「口の乾き」「便秘」などの副作用が起こる場合が有ります。また、前立腺肥大症の方に安易に抗コリン薬を処方すると尿が出にくくなりますので、処方には注意が必要です。
薬物療法以外でも、膀胱訓練や骨盤底筋を鍛える骨盤底筋体操などの運動療法や、前回記事にしたウロマスターも有効な治療法です。
これらの薬物療法以外の治療については、長くなりそうなので、次回説明するようにいたします。
尿失禁・頻尿治療器
今日は、久しぶりに院内設備の説明です。
当院では、尿失禁・頻尿治療器であるウロマスターを装備しています。
1,日中おしっこが近い。夜もトイレに行くために何回も起きる。
2,咳・くしゃみをしたり、重いものを持つとおしっこが漏れる。
3,おしっこをトイレまで我慢するのがつらい。
4,水道で手を洗うとトイレに行きたくなり漏れそうになる。
この装置は、これらの頻尿や尿失禁などの症状を改善するのに有効な装置です。
一般的によくある尿失禁として、
・出産後に多い腹圧性尿失禁
・トイレに間に合わなくて漏れる切迫性尿失禁
・そしてその両方がある混合性尿失禁
があります。
腹圧性尿失禁が重症なら手術が有効ですが、程度の軽い場合は、なかなかよい治療はありません。
骨盤底筋体操という肛門を締めることを繰り返す運動がありますが、継続が難しいと言われています。
また、切迫性尿失禁では抗コリン剤という薬が有効ですが、口が渇く事や便秘という副作用があります。
そこで、電気や時期で骨盤にある筋肉を刺激してそのような症状を改善できないかという観点から開発されたのが、干渉低周波装置です。
原理は、下腹部とおしりに貼った電極から、周波数の近い電流を2種類出すと、骨盤内の刺激したい部分で電流が交差して干渉波を出すそうで、その干渉波がじわじわと広がり、骨盤底筋を収縮させ、排尿に関する神経も刺激するとのことです。
説明を聞くだけで、効きそうでしょう。
1回の治療は約20分間で、服を着たまま受けられ、痛いということはほとんどありません。
もちろん、副作用もありません。
保険が適用されますので、治療の自己負担は数百円だけです。
3週間で6回、それ以降は2週に1回の治療になります。
ただ、治療をやめてしまうと、再び症状が出るようになるのが、欠点です。
以上、ウロマスターの説明をしましたが、お薬で副作用が出るので使えない方や、高齢者や身体の弱い方でも安全・簡単に治療が行えます。
狭心症とたばこ
今朝の新聞で、松山千春の退院会見というのがありました。
狭心症で入院したそうですが、緊急手術の末、元気になって退院したとのことです。
新聞に、松山は血色がよく「医者からはたばこを禁止されてるが、たとえ1000円になっても吸う」などと千春節も復活。
とありました。
でも、狭心症の人がたばこを吸うと、非常に危険であることは、特に医療者でなくてもよく知っていることだと思います。
医者にだめと言われても、松山千春がたばこを吸うことは、個人の自由かもしれません。
しかし、それを見た人が、『松山千春だってやめなかったんだから、俺がやめなくってもいいんじゃないの』と思ってしまう可能性を考えてほしいのです。
学生時代はよく松山千春の歌をカラオケで歌ったりしました。
影響力のある方だと思いますので、よく考えて発言してほしいですね。
- 2008.07.21
- 生活 / くらし
ジャスコ大観覧車
昨日は日曜日。
土曜日からお義兄さん一家が郡山に帰省していたので、朝から子供たちをつれてジャスコに買い物に出かけました。
それで、まずは大観覧車に乗ろうと言うことになり、みんなで大観覧車に乗りました。
大観覧車、名前をビックルーレットと言うそうで、高さが60mあり、1周およそ13分かかるとのことです。
うちの次男は、大はしゃぎで、椅子の上で飛び跳ねていたようです。
そして、この写真はみんなで乗っているところの写真です。
そうなのです。
撮影しているのは僕です。
僕は、高所恐怖症のため、あれほど高い乗り物には絶対乗れません。
最近やっとカルチャーパークの観覧車を克服して、妻に威張っているくらいです。
まあ、あんな高いところに行かなくても、生活には困らないですから。
ちなみに、飛行機は大丈夫なんです。
あれって、現実感無いんですよね。
それから集団でいる安心感もあるのかもしれません。
まあ、人間いいように出来ています。
残尿検査
昨日に引き続き、残尿検査についてお話しいたします。
残尿検査の方法は、尿道からカテーテルを入れて尿を抜いて実測する方法と、超音波検査で膀胱に残っている尿を画像上から計算して見る方法の二通りがあります。
当院では、痛みのない超音波で調べる方法をとっています。
「下部尿路機能ポケットマニュアル」西澤 理(信州大学医学部泌尿器科)監修、メディカルビュー社より引用
なぜこの検査が必要かを説明します。
勢いが悪くても、どうにか出し切れるなら、それは排尿障害があっても、許容範囲であると考えられるからです。
しかし、尿が出し切れず、残尿を生じるまで前立腺肥大症が悪化しているなら、治療が必要な状態であるといえます。
まず始めに行う治療は、α1ブロッカーという種類の薬の投薬になります。
これは、尿道を広げてオシッコを出しやすくする薬です。
この薬が出るようになってから、前立腺の手術が劇的に減ったと言われています。
α1ブロッカーを飲んでも、残尿が常時100CC以上であるなら、内視鏡的な前立腺を削る手術や、手術が出来ない場合には、細い管を使って自分で尿を抜き取る自己導尿という方法を選択する必要が出てきます。
なぜ、残尿が多いと問題なのでしょうか。
それは、前立腺肥大のため尿が出し切れなくなると、膀胱がどうにか尿を出そうとしますので、かなりの負担がかかるようになります。
そのような状態が長く続くと、膀胱は徐々に変形していき、オシッコを排出する力が無くなっていき、尿閉という状態を繰り返すようになります。
慢性的な尿閉状態が続くと、腎臓への尿の逆流が生じ、腎臓の機能が悪くなる場合があります。
実際に、それが原因で腎不全となり、透析が必要となってしまった人を時々見かけます。
また、常に残尿がある状態が続くと、細菌が付きやすくなり、腎盂腎炎や前立腺炎、精巣上体炎などを起こす事もよくあります。
そのような場合には、しばしば高熱を出します。
そして、腎盂腎炎を頻回に繰り返すと、腎臓の機能が次第に悪くなっていきます。そのような状態は逆流性腎症と言う病名で言われており、こちらも悪化すると腎不全となり透析が必要になる疾患です。
このように、残尿検査は尿流測定検査とともに重要な検査なのです。
是非とも残尿検査を受けられると事をお勧めします。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。