CAPDについて
CAPDについては前にも書いた事が有るかもしれません。
ちょっと唐突ですが自分のCAPDに対する考えを今回書いてみます。
CAPDは泌尿器科医になった時点から血液透析と共にずっと診療してきた治療法です。
現在でも、CAPDの患者さんが若干名当院に通院しています。
昔から、血液透析とCAPDの比較が良くされてきました。
CAPDは、飲水制限が少なくてすむとか、野菜や果物をたくさん食べても大丈夫だとか、自宅でできることが血液透析より優れているなどの話がありました。
尿がたくさん出ている患者さんでは、これらの恩恵を受ける事が出来ます。
しかし、ぎりぎりまで頑張って無尿に近い患者さんでは、透析不足になりCAPDのデメリットばかり出てしまいます。
透析不足でかゆみが出る、体調不良がある、しかし血液透析はいやだと言うことになり、透析不足で体調不良が数年続き、どうしようもなくなってから血液透析になるストーリーです。
つまり、CAPDは通常透析を導入するよりもっと早い時期に行う治療法であり、血液透析と同等に考える治療法ではないと僕は考えています。
個人的見解なので異論はかなり有ると思いますが、僕が考えるCAPD導入を勧める対象となる方は、クレアチンが5くらいで半年以内に血液透析が必要となる糖尿病以外の患者さんです。
患者さんに、
『半年以内に血液透析となる可能性が高いです。オシッコの量が少なくなったら血液透析しか出来ませんが、現時点ですとCAPDという腹膜を使って透析をする治療法があり、血液透析が始まるのを数年遅くすることが出来ます。』
と言う説明を行って導入するのが理想ではないかと考えています。
数年後に、『そろそろ尿が少なくなり血液透析を導入する時期が来ました。シャント手術をしましょう。』
と言って、週1回血液透析併用のCAPD、そして血液透析に移行していくのです。
きちんとCAPDが血液透析を受ける前にする治療であり、時期が来たら血液透析に移行すると言う事を説明してあれば、CAPDをずるずる続けて透析不足になることを避けられるのではと考えています。
- 2011.01.20
- 生活 / くらし
郡山でも鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザ:福島・郡山でも カモから強毒性H5N1型
福島県は19日、同県郡山市豊田町の市豊田浄水場貯水池で見つかった渡り鳥「キンクロハジロ」(カモ科)の死骸2羽から、強毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が検出されたと発表した。
毎日新聞 2011年1月20日 東京朝刊
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今朝、インターネットのニュースで郡山でも鳥インフルエンザ感染の鳥が見つかったというニュースを知りました。
しかも、強毒性だそうです。
まあ、人ごとの様に思っていたのですが、妻から我が家のすぐ目の前にある貯水池と聞き、とてもビックリしました。
鳥インフルエンザウイルスが人に感染することは少ないようですが、例外的に一部のウイルスが人に直接感染することもあるそうです。
ただ、感染しているケースでは、野生鳥などの体液・排泄物への濃厚な接触が原因となっているようで、我々が通常の生活を送っていれば感染する可能性はきわめて低いと書かれていました。
少し安心したのですが、先日マイカーに鳥の糞が付着していたことを思い出しました。
天気は悪いですが、気味が悪いので洗車に行ってこようかなと思っている私です。
デュタステリドのことで。
1月16日の記事でブログでデュタステリドが前立腺肥大症の方にとても効果が有る薬だと書きました。
ただ、先日来院した患者さんではちょっと気になる事がありました。
このデュタステリドを飲んでいる方で全然良くならないという方が来院されました。
お話を聞いたところ、通院中の内科の先生から、『高齢男性で排尿障害があるので前立腺肥大症だろう、それならば新しい薬が出たので飲んでみなさい』と言われたそうです。
実際に超音波検査を行い前立腺の大きさを測定しましたが、正常より小さいのです。
つまり、肥大症があって尿道が圧迫されて出が悪いのではなくて、膀胱の働きが悪い神経因性膀胱のため出が悪いことが分かりました。
この場合でも、尿道を広げるα-1ブロッカーと言う薬は、膀胱が縮まるときに尿道の抵抗を少なくするので有効ですが、デュタステリドは単に前立腺自体を小さくするので有効ではありません。
少なくとも、デュタステリドを投薬する場合には、超音波検査で前立腺肥大があるか確認してから処方すべきだと改めて感じました。
手打ちくん
クリニックの近くに昨年ラーメン屋さんが出来ました。
昨年と言っても半年以上前だと思います。
名前が、「手打ちくん」と言う名前です。
この名前を見て、臆病な僕はなかなか行く勇気が湧きませんでした。
日曜日にたまたま子供たちを連れて昼ご飯を食べる事になり、それではと「手打ちくん」に行ってみました。
なんだか普通のラーメン屋さんとは違う門構えなんです。
店の前の駐車場は一杯で、ちょっと離れた駐車場に車を置きました。
入店時はそれほどお客さんも多くは無かったですが、お昼過ぎにはほぼ満席になっていました。
注文はワンタン麺が有ったので頼んでみました。
先ずスープを飲んでみましたが、あっさりしていて美味しいと思いました。
ワンタンも美味しく、もちろん麺もgoodでした。
子供たちも喜んで完食となりました。
用事があり来られなかった妻に報告したところ、とても羨ましがられました。
今度はみんなで行きたいと考えております。
LOH症候群にデュタステリドが有効かもしれない。
一昨日、デュタステリド(商品名アボルブ)の講演会がありました。
前立腺肥大症治療薬として発売1周年を迎えた薬です。
日本大学教授の高橋悟教授の講演でした。
当院でも、この1年で多くの方にこの薬を処方させていただきました。
そして、多くの方から良く効く薬だと評価されました。
これまでこの薬については前立腺自体を小さくする薬という認識しかありませんでした。
しかし、今回の講演を聞いて、この薬が実はとてもすごい薬かもしれないと感じさせられました。
それでは、この薬がどの様にして効果を発揮するのかから書いてみます。
精巣から代表的な男性ホルモンであるテストステロンが分泌されます。
活発なテストステロンである遊離テストステロンが5α還元酵素という酵素と結びついて、さらに活性の高いジヒドロテストステロン ( DHT ) に変化します。
DHTには、
薄毛
体毛の増加
精力減退
前立腺肥大
などの作用があります。
デュタステリドは5a還元酵素を阻害する薬で、DHTを抑制して肥大した前立腺が縮小させ、排尿状態を改善させます。
これまでの研究で、1年間投与することで、前立腺の容積が33.8%減少したと報告されています。
テストステロンが5α還元酵素によってDHTとなり肥大症を起こす
アボルブは1型2型の5α還元酵素両方をブロックしてDHTを作らせない
実は、2型の5α還元酵素をブロックする薬が男性脱毛症の薬であるフィナステリド(商品名プロペシア)です。
もちろん、デュタステリドにも育毛の作用が有ります。
それでは、タイトルとした『LOH症候群にデュタステリドが有効かもしれない』と言う話に移ります。
デュタステリドはテストステロンがDHTになるのを防ぐ薬です。
つまり、テストステロンが変化するのを防ぐ薬です。
研究の結果、デュタステリドを投与した後の血液中のテストステロンの値は18.8%上昇したそうです。
つまり、テストステロンが低下するLOH症候群に有効な薬である可能性があるという事です。
この薬は前立腺を小さくさせて効果を発揮する薬として知られており、前立腺を小さくするには半年かかると言われています。
しかし、この薬を投薬して間もない方からすごく良く効いたと言われる事が有ります。
もしかしたら、前立腺肥大症にLOH症候群を合併している方が内服すると、テストステロンの数値が上昇して飲んでから早期に症状が良くなった可能性があるというのです。
LOH症候群の治療薬は、これまでテストステロンの注射や塗り薬しかありませんでした。
しかし、デュタステリドがテストステロン値を上昇させるならば、LOH症候群を治療する内服薬として使えるかもしれないという事になります。
今後はさらに多くの方がこの薬を内服していくと思います。
その経過を見ていくことで、前立腺を縮小させる以外の効果がはっきりしてくるのだと思います。
今回は、デュタステリドの魅力がとてもよく分かった講演会でした。
今後の診療に役立てていきたいと考えております。
図はGSK社ホームページより引用
http://avolvebph.jp/info/page02/index.html
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。