腹膜透析が向いている人
臨床透析1月号の〝特集 多様化する透析医療の最前線〟で、埼玉医科大学の鈴木洋通教授が、PDファースト(透析が必要となった時点で、腹膜透析を選択すること)の適応として、腹膜透析に向いている人と向いていない人について書いています。
PDファーストの適応
向いている人 小柄な女性
非糖尿病性腎症
高齢者
向いていない人 大柄な男性
糖尿病性腎症
若者
この記載を見て、非常にもっともだと思いました。
腹膜の面積は決まっています。そして透析量は身体の大きさが小さいほど大きくなります。
ですので、大柄の方よりは小柄の方の透析量が多くなり有利です。
血液透析では、時間という要因が大きいので、時間を延ばすことで身体の大きさのデメリットを打ち消すことが出来ますが、腹膜透析では、透析量を増やすことにも限界がありますので、体格差はどうしても出てきます。
腹膜透析液には糖分が入っています。
ですので、食事以外に1日200kcalくらいの糖分が吸収されます。
慢性的に食事が取れない方では良いかもしれませんが、通常の食事を取っている方ではカロリーオーバーになってしまいます。
糖尿病の方では血糖管理が難しくなりますので向いていない治療法となります。
高齢者に比べ若者は活動量が多いです。
傾向としてですが、若者は透析不足になりやすいと言えます。
さらに、尿量が減った状態で腹膜透析を続ける事は危険です。
しかし、腹膜透析の生活スタイルに満足していている方では、透析不足の症状がなければ血液透析に変更する事を説得しても、なかなか承諾してくれません。
若者では、長期の予後を考えますので、あまり腹膜透析は勧められません。
以上、全て本人に生活上のメリットがあるかないかでなく、病態に応じた透析量や栄養管理に基づいて向いているかいないか決めてあり、全くだと感じています。
4月6日(水)は、外来診療を臨時休診いたします。
平成23年4月6日(水)は、泌尿器科・内科の外来診療を臨時休診いたします。
透析診療は通常通り行います。
ご了承のほど宜しくお願いいたします。
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小中学校の入学式や卒業式が重なります。
3月23日の卒業式は、スタッフ5人がお休みです。
この日はなんとか持ちこたえる事が出来ますが、4月6日の入学式はスタッフ6人が休みます。
透析と外来両方を行うことは出来ず、外来休診としました。
でも、せっかくの卒業式や入学式ですから、心置きなく楽しんできて欲しいです。
院長は出られないんだぞー!
と、独り言
- 2011.02.24
- 診療
受付終了時間変更のお知らせ
現在、月曜日から土曜日までの午前の診察時間は9時30分から12時30分です。
診療時間の変更はありませんが、4月1日より午前中の受付終了時間を12時までとさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。
尚、月曜日午後は、手術や検査を行っています。
一度手術や検査が開始すると待ち時間がかなりかかる可能性が有りますので、ご了承ください。
『逸脱する“病院ビジネス”』NHK取材班
『逸脱する“病院ビジネス”』と言う著者NHK取材班という本を読みました。
NHKで放送されている追跡A toZと言う番組で映像にできなかった内容を本にしたものです。
僕はその番組自体を見てはいませんが、ネット上の書き込みで面白かったと書かれていたので読んでみました。
内容としては、生活保護受給者を対象に過剰診療を行ったり、診療報酬不正請求のカラクリを取材した本で、随分長い間〝医療関係者〟の肩書きが付いている僕にも十分ショッキングな内容の本でした。
先ず最初に、以前逮捕されて話題になった奈良の山本病院の話。
家族がいなく、本人からも文句が無い生活保護の患者に、明らかに癌でないのに治療を行い死なせた話。
立件されたのはこのケースだけですが、他にもかなり多くの方が犠牲になっていたようで、最初から医療の根底を覆す様な話でした。
次に、なぜこの様な病院に生活保護者が入院するのか調べ、NPOと称する人たちが路上生活者に声をかけて入院させ、長期入院となると保険点数が下がるので、入院する病院を転々とさせて利益を出していると言う話。
その他、治療が必要ない患者をハイヤーで集めてきて無理矢理治療を行うことや食い物にされている老人介護の話など、田舎に住んでいる私たちにとっては信じられない内容でした。
そして最後にレセプト病名などの問題が書かれていました。
ただ、そこに書かれていたことは、これまでも言われている問題点の羅列であり、一部の業者の問題を医療全体の問題とごちゃ混ぜに書いてあるので、文章の全体がぼやける感じがしてここの章は余計だった感じでした。
全体的にはとても面白く、こんな事が日本で起こっているのか、この様な事に対してはもっともっと怒った方が良いと感じた本でした。
ドクターヘリ
先日、医科大学の救急救命部に勤めている同級生が福島県のドクターヘリについて講義をしてくれました。
これまであまり関心が無かったのですが、すごい事をやっているのでちょっと書いてみます。
福島県ドクターヘリのホームページより
事故などで救命救急が必要な患者さんが発生した場合には、現場から救急車の要請があり、救急車が患者さんを乗せて病院に向かうのが普通です。
患者さんの状態が悪く一刻を争うときには、病院に患者さんを届けている間に状態が悪化する事もあります。
そのため、以前勤めていた太田西ノ内病院にはドクターカーがあり、医師が駆けつける体制が出来ていました。
ただ、福島県は山間部が多く、田舎に行けば行くほど救命率が下がります。
ドクターヘリは、その事故現場に医師と看護師を送り届けることで、医師が行える緊急処置を早急に出来る様にしたものです。
ドクターヘリは、東北地方で初めて福島県に導入され、平成20年1月から福島県立医科大学附属病院に常駐し、救急要請があると救急救命部の医師と看護師が出動しています。
要請の電話が入り、ヘリポートまで急いで駆けつけて2分。その後ヘリコプターで猪苗代くらいなら10分で到着するそうです。
ですから、事故現場にその地域の救急車両が到着する頃に救命救急の医師と看護師も現場に到着するというのです。
これまでも生死をさまよったたくさんの方の命が救われてきたそうで、現在では1日1件以上の出動回数となっています。
この体制を救急科の医師7名で維持しているとのことです。
自分が当番の時は、いつ呼ばれるか判らない状態でいつでも行ける体制を整える事は大変でしょう。
食事も麺類は食べられないんだなんて言っていました。
ヘリコプターに乗って山間部に行くことが多いですが、常に天候が良いわけでもなく、着陸する場所も良い場所が無い場合もあるそうです。
身体を張って救命救急に取り組んでいる事を聞いてとても尊敬しました。
まあ、高所恐怖症の僕では絶対に出来ない仕事です。
http://www.fmu.ac.jp/byoin/DrHeli/index.html
福島県ドクターヘリのページです。
ご覧になってください。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。