2025.09.12
一般

外国人患者への「3倍医療費」請求は差別なのか?

読売新聞オンラインの記事によると、短期滞在で来日した外国人女性が救急搬送された際、国立循環器病研究センターから「通常の3倍」にあたる点数1点=30円で医療費を請求され、不当だとして提訴を検討しているとのことです。
通常、日本の保険診療は点数1点につき10円で計算されます。しかし、この女性には1点30円が適用されました。果たしてこれは「国籍を理由とした差別」なのでしょうか。
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実は、国立循環器病研究センターだけでなく、以下のような病院でも1点30円で算定する料金体系を採用しています。

• 虎の門病院
• 国立国際医療研究センター病院
• 聖路加国際病院
• 川崎市立井田病院
• 関西国際空港クリニック
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これらの医療機関は、公式ウェブサイトで「1点=30円」であることを明示しており、外国人患者や海外在住者向けの対応体制を整えています。たとえば、川崎市立井田病院には「国際患者支援デスク」が設けられ、外国語対応可能なスタッフも常駐しています。

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国立循環器病研究センターホームページより
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これらの病院は、単なる診療報酬収入だけでなく、以下のような財源から運営されています。

• 国の「運営費交付金」
• 国や自治体からの「補助金」
• 個人や法人からの「寄附金」
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今回訴えられた国立循環器病研究センターの場合、年間で約46億円の運営費交付金、4億円の補助金、さらに7千万円の寄附金を受け取っています。

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今回のケースは、あえて例えるなら「会員制ホテルに、会員ではない人が同じ料金で宿泊させろと訴える」ようなものかもしれません。
一見すると「外国人だから高額請求された」と思いがちですが、実際には保険制度に加入していない人には別料金が設定されているという仕組みであり、それが差別にあたるかどうかは単純には判断できません。
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まとめ

• 通常の診療報酬は1点=10円
• しかし、外国人や海外在住者向けに1点=30円で算定する病院は複数存在
• 背景には、国際患者対応や財源の仕組みがある
• 「差別」と言えるのか、それとも「制度上の区別」にすぎないのかは議論の余地あり

「高額請求=不当」と思う前に、こうした医療制度の背景を知っておくことが大切ではないでしょうか。

2025.09.09
一般

インフルエンザ、新型コロナウイルス 予防接種費用一部助成のお知らせ

郡山市の令和7年度のインフルエンザ、新型コロナウイルス予防接種費用一部助成のお知らせです

対象者は、郡山市に住民票登録があり、下記(1)(2)に該当する方で、自らの意思と責任で接種を希望する方です

(1)65歳以上の方

(2)60歳以上65歳未満の方で、心臓、腎臓又は呼吸器の機能、またはヒト免疫不全ウイルスにより、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害を有する方

(身体障害者手帳1級相当の障害)

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助成期間 令和7年10月1日(水)から

インフルエンザ 令和8年1月31日(土)まで

新型コロナ   令和8年3月31日(火)まで

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自己負担額

インフルエンザ 1,500円

新型コロナ   4,700円

となっています

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https://www.city.koriyama.lg.jp/site/kokokara-koriyama/60526.html

 

 

 

2025.09.06
一般

第27回日本在宅血液透析学会と2025 ISHD

9月6日と7日の土日に埼玉県川越市の川越プリンスホテルで開催されている第27回日本在宅血液透析学会と2025 ISHD(International Society for Hemodialysis)に参加しています

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院長鈴木は基礎セミナー座長という事で楽させて頂いています

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当院臨床工学技士の人見君が ISHDで口演します

もちろん英語です

しかも私のセッションと時間が被っていて、応援に行けなくてごめんなさい

と言う感じです

2025.08.17
一般

水抜き法のリスクについて

今回は、従来の減量法と「水抜き法」を行った場合、それぞれのリカバー後に脳へどのような影響が生じるのかを解説します。
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通常状態
通常の状態では、身体と脳の両方に水分や塩分、栄養分がバランスよく行き渡っています。このときは体と脳の環境が均衡し、安定した状態です。
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従来の減量法による脱水状態
減量のために水分摂取を制限して従来からの運動などで徐々に体重を落とす方法を行うと、体から水分が失われます。結果として体内の物質濃度が高まり、脳も同様に脱水状態となります。
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リカバー状態
身体が水分を補給すれば回復していきますが、脳はそう簡単には元に戻りません。
その理由は「血液脳関門」と呼ばれる仕組みにあります。これは脳の環境を守るため、物質の出入りを厳密に制限する構造です。
そのため、身体の水分は回復しても脳内の水分はすぐに戻らず、数時間〜十数時間の「ズレ」が生じます。この間は脳がまだ脱水傾向にあり、外傷リスクが高まるのです。

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ここで「水抜き法」について解説します

「水抜き法」とは、試合の1週間ほど前から塩分を抜き、大量の水を飲んで利尿状態にしたあと、一気に水分を抜いて脱水状態に持っていく方法です。

水抜き過程

• 塩分制限
計量の1週間前から、水抜きをしやすくするために塩抜きといって身体中の塩分を抜く作業をします。塩分(電解質)を抜くことで、体内の浸透圧を保つ物質も減少していきます。
 • ウォーターローディング
試合の5-6日前から毎日 水を5-6ℓ飲みます。
目的は水抜きの時に、大量の飲水により利尿を亢進させ、体が『水を排出しやすい状態』に慣れる身体をつくるためです。こうすることで水抜きの時に、さらに水が抜けやすくなります。
• 急激な脱水
計量の前日から水抜き開始です。サウナスーツを着て身体を動かし、更に半身浴などで体重を落として行きます。
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リカバー状態の問題点
リカバーでは身体に水分や栄養が戻りますが、ナトリウムやグルコースなど浸透圧に関わる物質の移行は制限され、急速な体液変化に対して脳は遅れての対応となるため、脱水による脳実質の軽度の萎縮や脳脊髄液量減少による緩衝能低下が続き、脳が衝撃に弱い状態が続いてしまいます。
以上が水抜き法のリスクです
まとめ
水抜き法は短期間で大きく体重を落とせる一方で、脳の回復が遅れることから外傷リスクを高める危険性があります。特に、リカバー直後は身体は元気に見えても脳はまだ完全には戻っていないため注意が必要です。
2025.08.10
一般

リング事故頻発の日本プロボクシング界  「穴口さんの死を無駄にはしない」と誓ったはずではなかったのか

「穴口さんの死を無駄にはしない」と誓ったはずではなかったのか
上記記事によりますと、JBCは穴口一輝選手の悲劇を受けて事故検証委員会を設置しています
設置された事故検証委員会は、報告書をもとに下記の提言を行っています
提言は
①減量・トレーニングに関する提言
提言により合同医事講習会が開催されています
②試合運営・安全管理の見直し
30日前と14日前の事前計量制度を導入
→不十分だったのではと思います
③定期健康診断や迅速受診の体制整備
選手が定期的な健康診断や迅速な受診を行うことができる環境を整える取り組み
→実現されていない
④ジムに「健康管理責任者」設置&セコンド4名体制 
「健康管理責任者」を置き、現行3人のセコンドを4人として1人は「健康管理責任者」とする
→実現されていない
⑤医療機関や専門家へのアクセスの整備
選手やその関係者が、健康管理をサポートする医療機関や専門家へアクセスしやすい環境を作り上げる
→実現されていない
同じ日に2名の方のリング禍が起こってしまった以上、何も行わないでの興行の継続は出来ないと思います
JBCから最新の「ウエイト変更勧告」が出ていますが
浦川選手(差戻し6.5 kg/戻し率約10.6 %)や神足選手(差戻し6.5 kg/戻し率約11 %)の例も掲載されています 
まずは、“当日の体重戻しが10 %を超える場合は試合出場を制限する”――こうしたルールの導入こそが、今求められているはずです。過度なリバウンド防止が、選手の命を守る第一歩になるはずではないでしょうか。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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