前立腺がん検診について1
昨年、厚生労働省研究班が、「現時点で、集団検診として前立腺がん検診を実施することは勧められない」とする指針案を出したのですが、日本泌尿器科学会は全く逆の考えで、前立腺がん検診をどんどん行うべきであると考えています。
先日、前立腺癌検診についての講演会が郡山でありましたので、講演会で聞いてき内容と泌尿器科学会のホームページで集めた情報をまとめて記事としてみます。
まずは、前立腺がんがどのくらい広がっているかについて書きます。
前立腺がんは欧米人に多い癌で、米国では男子の疾患罹患率の1位、死亡率も2位の癌です。
ちなみに罹患率というのは、発生した病気の割合で、発生率とも言います。
日本人の男性では、数年前までは罹患率10位くらいでしたが、最近では5位まで上がってきているようです。食生活の欧米化に伴い、今後も増え続けて行くようです。
2020年には肺がんに次いで男性癌の第2位になると予想されています。
そして、2020年の前立腺がんの死亡率は、2000年の2.8倍になると予想されているのです。
恐ろしく増加していることが分かると思います。
前立腺がんは、50歳以下では非常に少ないのですが、50歳以上で徐々に増え行き、75歳以上の後期高齢者では、非常に多くなっている癌でもあります。
国立がんセンター 癌の統計より
発見するには、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA検査が非常に有効です。
正常が4以下ですが、4〜10で2割、10〜20で3割、20以上で8割の方に前立腺がんが見つかると言われています。
米国では前立腺がんの患者さんが多いこともあり、その対策はずいぶんと進んでいます。
米国では、50歳以上の男性の75%は少なくとも1回はPSA検査を受けたことがあると言われているほどです。
そのため、PSA検診が普及したおかげで、死亡率が1990-1992年をピークに低下傾向にあり、2003年は1990年と比べ31%も低下しているようです。
31%ですので、かなりの効果があることが分かります。他の癌で、死亡率を30%も低下させることが出来るというのは、聞いたことないと思います。
もちろん当然の話ですが、癌は転移するので怖いですね。前立腺がんでも、遠隔転移を起こすと死亡率が上がります。そして、PSA検診が遠隔転移を減少させたことも疫学調査から分かってきています。
前立腺がんは、骨に転移しやすい癌です。骨に転移することにより、全身の痛みが生じることも多いですので、遠隔転移を減らせることは重要なことです。
前立腺がんの検診では、オーストリアのチロル地方の検診が有名です。
1988年から積極的な前立腺がん検診を導入して、住民男性の86%が少なくとも1回は検診を受けるようになった結果、明らかに進行した前立腺がんが減り、死亡率の予測値は54%も減少しています。
それでは、日本におけるPSA検診はどうなっているでしょうか。
日本では、PSA検診の普及率が依然として低いため、未だに発見される前立腺がんの約30%は骨転移の伴うものであり、癌が進行するまで見逃されている場合が多いと思われます。
以上が、前立腺癌のPSA検診についてのお話ですが、次回はなぜ厚生労働省がPSA検診を勧めていないのかについて、書いてみたいと思います。
アクセス拒否
先ほどふっと携帯電話の着信履歴を見たところ、2日前に実家の母からの着信履歴がありました。
しかも、思いっきり、『拒』マークがついていました。
これって、着信拒否したと言うことの様な気がします。
自分の知らない間に、親子の間も着信拒否にしてしまう恐ろしい携帯電話。。。
そう言えば、下の子が時々いじって、いろいろなところに無言電話をかけていたようなこともありました。
便利だけど。。。
透析患者さんと便秘
透析患者さんが便秘を訴える比率は多く、40%以上の方が困っていると言われてます。
腸に穴が空く腸穿孔や、血が通わなくなる虚血性大腸炎などの重篤な病気の原因となることもあり、深刻な問題だと言えます。
原因は、透析による除水、食物線維や水分の不足、運動量の低下や、カリウム抑制薬やリン吸着薬などの服用などがあります。
一般的によく使われている薬は、プルゼニドという錠剤とアローゼンという粉の薬、そしてラキソベロンという水薬です。
いずれも、腸の動きを刺激して便を出す作用の下剤です。
透析患者さんは、腸管内の水分が吸収されてしまい、硬い兎糞状の便となることが多いので、ソルビトールなどの便を軟らかくする下剤が効果的なのですが、便秘に対する保険適応がないため、処方することが出来ません。
プルゼニドやアローゼンなどのセンナは長期に使用すると耐性が出てくるようですが、ラキソベロンは耐性が出来にくいと言われています。
日常生活では、食物線維を摂ることや、運動を行うこと、きちんと朝食を食べることが大切ですが、食物線維が多いものはリンやカリウムなどの多くなり、なかなか摂取が難しいようです。
栄養食品には、カリウムやリンが少なく食物線維が多いものもあるようですので、試してみるといいかもしれません。
郡山漢方研究会
今日は、郡山市内で漢方の研究会がありました。
泌尿器科でも頻尿を中心に漢方の処方をよく行いますが、今回はこれから流行ってくるであろう上気道炎に対する漢方治療と言うことで、講師の先生よりお話がありました。
これまでは、風邪の初期症状なら葛根湯、くしゃみ鼻水などには小青竜湯、咳がひどい場合には麦門冬湯などの処方を行ってきましたが、それぞれの処方がどの様な場合に有効であるや、これまであまり使っていなかった漢方薬についての処方のポイントを解説していただきました。
これまでの病院勤務医時代は、重症の患者さんの治療に重点を置いていたため、風邪などの軽症の方に対しては、どうしても画一的な治療となり、患者さんの症状に対して適切な処方が出来ていなかった気がします。
現在は、開業医としてプライマリーケアを中心とした診療を行い、症状に合った処方が出来るように対応したいと考えています。そのためにも、風邪に対する漢方の処方は重要ではないかと思っています。
もちろん、重病である患者さんの初期症状を見逃してはいけないのは当然と考えての話です。
キグレニューサーカス
今日、郡山のカルチャーパークで開催中のキグレニューサーカスに行ってきました。
講演中の写真撮影はご遠慮くださいとのことでしたので、始まる前の雰囲気だけお伝えします。
会場は日曜日であったためか、ほぼ満員の状態でした。
ライオンや虎などの猛獣使いものはなかったのですが、シーソー、綱渡り、一本綱、空中ブランコなどの空中ものがたくさんあり、あっと言う間の2時間でした。
個人的には、ハットジャグリングというのですか、たくさんの帽子をお手玉の様に投げ上げるのが面白かったですね。
今年の2月にも大宮で木下大サーカスを見てきたのですが、僕は木下サーカスとキグレサーカスは同じものだと思っていました。
帰ってきてから、2月に見たのと違うねと妻に話したところ、発覚しました。
数年前にも、福島へボリジョイサーカスを見に行っています。
また機会が有ったら、行きたいと考えています。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。