EDとは
前回と一緒で少し内容が固いのですが、我慢して下さいね。
ED(Erectile Dysfunction)勃起障害の定義は、
満足な性交渉をするために十分な勃起を達成できない、あるいは維持できない状態であり、少なくとも3ヵ月以上の期間そういう状態であること
です。
その患者数はとても多く、推定1130万人であり、40~70歳の男性の半数以上が何らかの原因でEDになっていると考えられています。
何らかの原因と書きましたが、
大まかに分けると、
EDは、おおまかに器質性EDと機能性のEDに分けられます。
まずは、陰茎の病気によるもので、事故・手術などで物理的に陰茎が傷害されて起こるものです。
そして、脳血管障害や神経の障害で起きるもの。
これは、脳から送られる性的刺激を伝達する神経の障害によっておきます。
次に、血管の病気によって生じるもの
海綿体内にある血管の動脈硬化や内皮障害によって起きる動脈性のEDと、勃起時の静脈閉鎖機構の機能障害が原因となる静脈性のEDが有ります。
最近では、循環器疾患とEDが密接に関連することが分かってきていますが、これは動脈硬化と血管内皮障害が原因となっています。
加齢や生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病)も動脈性EDと関連しています。
そして内分泌障害から来るED
これは、精巣から分泌される男性ホルモンの分泌が阻害されることが原因の勃起障害で、男性ホルモンの分泌が低下することで、勃起・射精を促進させるドーパミンと言う物質が増えないためにEDが生じると言われています。
薬剤によるEDもあります。
機能性EDは日常的なストレス・不安など心理的原因 が原因となるものです。
勃起とは
通常の状態では、陰茎動脈から陰茎海綿体に血液が流れ込み、同じ量の血液が静脈を通って戻っていきます。
通常は動脈からはいる血液流入量と静脈から出る排出量がつり合っているのですが、性的な興奮が有ると勃起神経から指令が出て、陰茎海綿体の内皮細胞という細胞が活発に活動し始めます。
この内皮細胞はとても重要ですので、覚えておいて下さい。
内皮細胞よりNOと言う物質が出され、サイクリックGMPという物質が海綿体の中で増加します。
このことによって、海綿体の動脈の壁にある平滑筋という筋がゆるんで広がり動脈が広がって血液がどんどん海綿体に流れ込んできます。
すると、海綿体を包む白膜という硬い膜が広がります。
この硬い膜が広がると柔らかい静脈は圧迫されて、静脈から血が出て行かなくなります。
そして、ペニスにどんどん血が溜まっていき、勃起状態となります。
つまり勃起とは、陰茎海綿体の平滑筋の収縮や弛緩の減少を見ているもので、血管の中で起こっている血液循環の変化を見ていることと同じと考えても良いことになります。
このことはとても重要なことで、勃起が循環器疾患と密接にかかわっていると言う事実の元になります。
メンズヘルス診療
最近、忙しい日が続いていました。
第一回クリニック勉強会を開催しましたので、そのスライド作りに精を出していました。
今週末には東北腎不全研究会で発表するのでその準備もしていました。
実は他にも某薬品会社で透析とは全く関係ない内容の講義を行っていました。
そのお題が、『メンズヘルス診療』でした。
これは、壮大なテーマで、スライドも57枚作りました。
初めは、ED(Erectile Dysfunction)=勃起障害の話で、勃起とはから始まり、成因、実際の診療、そしてEDがとても大切な症状であるということを話しました。
次に、最近話題になっている男性更年期障害とLOH症候群の関係について話しました。
最後は、EDとLUTS(Lower Urinary Tract Symptoms: 下部尿路症状)の関係について触れました。
今回、枚数が多すぎるのでどうしようかと思っていますが、今回の講義の内容をブログでも紹介しようと思います。
最初は勃起とそのメカニズムからです。
- 2010.08.22
- 生活 / くらし
外科医の糸結び
今日は、今朝から子供会の廃品回収でした。
初めて参加したのですが、たくさんの段ボール、古新聞などが集まるんですね。
ビックリしちゃいました。
引っ越してきて間が無いこともあり、行事には積極的に参加することにしています。
今日も、近隣の方たちと接することが出来て良かったです。
古新聞や段ボールは紐で十字に括って出していただくのですが、集めたときに再度紐で括らなければならないものが有ります。
参加している一般の方が紐を結んでいるところを見ると、時間がかかっているようでした。
でも、私のところに廻ってきた古新聞は、あれよあれよと縛られていきます。
僕は、凄く縛るのが早いんです。
だって、外科医だったですから。
泌尿器科は、前立腺や膀胱、腎臓などの摘出手術を行う外科なんですよ。
だから、糸結びはうまくないといけないのです。
早く、そして確実に。
結ぶ部分をひっぱっちゃあいけないですからね。
医者になったばかりの頃は、とにかく糸結びがうまくなるように練習したものです。
勤務医時代は、手術室でも練習の成果を発揮させておりました。
でも、現在では必要では無くなっていました。
今日は、誰も見ていませんでしたが、糸結びの技を思う存分発揮して、自己満足の世界に浸ってしまいました。
そういえば、結び方が外科結びだったために、殺人犯で有ることがばれた外科医もいましたね。
汗だくになったの後は、ご褒美に近くの日帰り温泉で汗を流してきました。
良い日曜日でした。
もし、廃品回収で、異常に早い糸結びをする人がいましたら、それは外科医かもしれませんよ。
- 2010.08.18
- 診療
創生期の透析導入
透析歴40年の患者さんで、のりさんと言う方がいらっしゃいます。
のりさんが12才の時に透析導入となったそうで、その時は治療費が公費ではありませんでした。
月々の治療費20万を用意できる人だけが透析治療を受ける事が出来た時代です。
その当時の大卒初任給が4万円くらいの時代です。
のりさんのお父さんは公務員で収入が安定していて、上司や保険組合も協力してくれたので、なんとか透析治療を受ける事が出来る様になりました。
そして、現在まで40年以上血液透析を受けています。
その当時の様子をのりさんがご自身のブログに書いています。
http://dialysis40.blogspot.com/
子どもが病気になり、どんなことをしても助けてあげたいと言う親の気持ちがひしひしと感じられて2人の子を持つ親としても泣けてきました。
田畑を売ってなんとか透析を受けたという話しはこれまでも聞いていますが、実際にその当時に透析導入となった方が書かれているものを初めて読みました。
このブログですと直リンクすることは出来ないのですが、是非ともコピー&ペーストしてご覧になってください。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。