今後の診療について
昨日、屋上に有る電源の応急処置を行い、なんとか本日透析を行える状態になりました。
ただ、電源の状態は不安定で、今後大きな余震が有った場合には再び使えなくなる可能性も有ります。
昨日より断水は解消されましたが、まだ給水制限があり十分な透析用水の確保が出来ません。
現時点で出来ることは、電源を使用するに際し、出来るだけ負荷をかけないようにすることです。
本日は、火木土の当院の患者さんと、まだ透析が復旧できていない施設の透析患者さんの行います。
上記の様な状態です。
当院は、長時間透析・高透析量透析を目指していますが、当分の間は必要最小限の透析しか行えません。
被災地にある多くの透析施設が、何らかの不具合が生じていたり、他施設の患者さんの透析を行うために通常より多くの患者さんの透析を行わなければならない状態で、十分な透析を提供できる状態にありません。
そこで、透析者の皆様にお願いです。
今後、当分の間はぎりぎりの透析時間、透析液量で透析を行わなければなりません。
通常の状態より塩分・飲水量の制限、カリウムの制限をしっかりさせてください。
今後、大きな余震が起こった場合には、数日間透析が行えなくなる可能性が有ります。
その時の為に、慎重に生活を送ってください。
お願いいたします。
東北地方太平洋沖地震の影響
昨日、東北地方太平洋沖地震が発生しました。
当院でも、透析治療を行っている最中での地震でしたので、患者さん達の緊急離脱、そして施設外への誘導などとても緊迫した状態が続きました。
ただ、地震の影響はその時だけでなく、1トンもある逆ろ過装置が動いてしまい、壁には多数の裂け目、大量のカルテや物品の散乱などが生じました。
当初は気づかなかったのですが、屋上ではガス供給装置が倒れ、ガス管が破裂し、200Vの電源が動いてラインが切れていました。
今回のような大震災を経験することが初めてだったため、昨日は透析設備メーカーの東レメディカル社と連絡を取ること、周囲の情報を集め透析できない場合の対応を取ることを最優先としました。
しかし、本来は、電気・水道がきちんと使用できるかがもっとも大切であり、その確認が本日となってしまったことは対応が悪かったかもしれません。
水道は特に異常なかったですが、電気は上記のような事があり、電気修理業者の方に応急処置をしてもらい、なんとか明日から透析が出来るようになりました。
いくつかの医療機関の先生方は、当院で透析診療が行えない可能性があると話したところ、快く対応するとお返事してくれました。
その後、電気が通り透析が行える事となりましたので、知り合いのクリニックの患者さん達の透析を引き受ける事としました。
今回、一生に一度有るかの経験をしたと思いますが、いくつかの教訓もありました。
メーカーと連絡をとり指示をもらうことも大切ですが、先ず透析に必要な水と電気が使えるかを確認する事も行わなければならないこと、そして、周囲の先生方が当院の患者さん達を快く引き受けてくれると仰ってくれたことが印象的でした。
当院の建物、医療機器は、かなり大きなダメージを受けてしました。
スタッフとともに前向きに頑張っていきたいと思います。
日本透析医会 研修セミナーに参加しました。
本日、東京の品川駅そばにあるコクヨホールで行われた日本透析医会 研修セミナーに参加してきました。
http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/06_seminar/doc/20110306_seminar.pdf
このセミナーは毎年3月初めの日曜日に行われています。
昨年は参加しませんでしたが、これまでに数回参加してきました。
元々、前日の土曜日にバスキュラーアクセスインターベンション治療研究会が東京であり、せっかくだからと言うことで参加してみたセミナーですが、その内容の濃さに圧倒され、参加するようになりました。
午前中は、1時間ずつ3つの講演がありました。
維持透析患者の体重管理の講演では質疑応答が30分ぐらいになり、当院でも行っているインボディについて話題となりました。
そこで、インボディは浮腫率からドライウエイトを決めるだけでなく、筋肉量や体脂肪が計れるため、栄養状態の指標となる事を発言させていただきました。
HDFの講演では、大きな分子量の物質を抜くことと、アルブミンの漏出について新たな知識を得ることが出来ました。
副甲状腺摘除術(PTx)の講演では、年間250例と日本で最もPTxを行っていた施設で、シナカルセットと言う薬が発売されてから手術件数が1/5に減ったと言う話を聞きました。
昼休みの1時間を挟んで、午後も1時間ずつ3つの講演でした。
末梢動脈疾患(PAD)の早期発見と治療戦略の講演、C型肝炎の診断・治療についての講演、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患の治療法の講演が行われ、午後4時までびっしりという感じでした。
さすがに帰ってきて疲れました。
でも、明日からの診療に役立てる知識を得ることが出来て、とても有意義な一日でした。
そして、他にも昨年のHDF研究会で仲良くなった腎内科クリニック世田谷の菅沼先生と昼ご飯を食べることが出来たり、ネット上で知り合いになった有名な病院の理事長先生と名刺交換が出来たりと講演以外にも良かったこともありました。
秋のセミナーは福岡で開催ですので参加することは出来ませんが、来年の春は是非とも参加したいと考えています。
土曜日はちょっと並木温泉
震災前に書いてそのままになった記事です。
最近疲れがたまってきたので、そろそろ行ってみようかと思いましたので、記事にします。
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月曜日から金曜日は長男を小学校に送り届けてから通勤しています。
小学校まで1km、クリニックまでその後2kmで合わせて3kmの道のりです。
長男の友達とも仲良くなりとても面白いですよ。
土曜日は車でクリニックに行くのですが、少し早起きして出かけます。
最近のパターンとしては2つのパターンがあります。
一つはデニーズでモーニングを食べるパターン。そして、もう一つは並木温泉経由でクリニックに行くパターンです。
並木温泉は、郡山市並木にある天然温泉です。
露天風呂はないのですが、人気が高い温泉です。
サントリーのノンアルコールビールのオールフリーが100円で売ってます。
温泉を出た後は、オールフリーを飲んで、温泉の食堂で朝ご飯のおソバを食べてご機嫌でクリニックに出かけます。
ただ、朝フロに入ると一日中だるさが残ります。
でも、気持ちいいので止められないんですよね。
腹膜透析が向いている人
臨床透析1月号の〝特集 多様化する透析医療の最前線〟で、埼玉医科大学の鈴木洋通教授が、PDファースト(透析が必要となった時点で、腹膜透析を選択すること)の適応として、腹膜透析に向いている人と向いていない人について書いています。
PDファーストの適応
向いている人 小柄な女性
非糖尿病性腎症
高齢者
向いていない人 大柄な男性
糖尿病性腎症
若者
この記載を見て、非常にもっともだと思いました。
腹膜の面積は決まっています。そして透析量は身体の大きさが小さいほど大きくなります。
ですので、大柄の方よりは小柄の方の透析量が多くなり有利です。
血液透析では、時間という要因が大きいので、時間を延ばすことで身体の大きさのデメリットを打ち消すことが出来ますが、腹膜透析では、透析量を増やすことにも限界がありますので、体格差はどうしても出てきます。
腹膜透析液には糖分が入っています。
ですので、食事以外に1日200kcalくらいの糖分が吸収されます。
慢性的に食事が取れない方では良いかもしれませんが、通常の食事を取っている方ではカロリーオーバーになってしまいます。
糖尿病の方では血糖管理が難しくなりますので向いていない治療法となります。
高齢者に比べ若者は活動量が多いです。
傾向としてですが、若者は透析不足になりやすいと言えます。
さらに、尿量が減った状態で腹膜透析を続ける事は危険です。
しかし、腹膜透析の生活スタイルに満足していている方では、透析不足の症状がなければ血液透析に変更する事を説得しても、なかなか承諾してくれません。
若者では、長期の予後を考えますので、あまり腹膜透析は勧められません。
以上、全て本人に生活上のメリットがあるかないかでなく、病態に応じた透析量や栄養管理に基づいて向いているかいないか決めてあり、全くだと感じています。
プロフィール

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。