2011.09.07
診療
研究

HDF研究会に参加して 2

HDF研究会の報告 2 です。
いくつか印象に残った発表をご紹介いたします。

芦屋の坂井瑠実クリニックの喜田智幸先生のご発表で、頻回長時間透析のご発表がありました。
5時間から7時間の透析を週4-7回行っている患者さん達の報告です。

通常、週3回4時間の透析ですから、MAX週7回7時間透析はすごいですね。
勿論、在宅透析です。
在宅透析では回数の制限はございません。
7時間も夜間眠っている間の深夜透析です。
自分で回路を組んで、自己穿刺して寝ている間透析を行います。

在宅透析は全国で約200名くらいの方が行っている透析方法です。
十分な訓練の元で回路の組み立てとプライミングを行い、自己穿刺して在宅で透析を受ける方法です。
出来る方は限られますが、可能な方に取ってはとてもメリットがある治療法です。

残念ながら福島県で行っている施設はありません。
東北でも、山形県の矢吹病院のみとなります。

それで、今回の発表で何についてビックリしたのかというと、長時間頻回HDで血清アルブミンが上昇したと言うことです。
元々データ的にはアルブミン値が高い方に行っているのですが、さらに良くなったという結果を聞きました。

当院でも、可能な限り沢山の透析をしてもらうように努力しています。
身体の大きな方は、大きな膜を使い、5時間以上の透析で、血流も400ml/minくらいで行っています。

でも、そうすると少しアルブミンは低下するようです。
ただ、患者さん達はとても元気でもりもりご飯を食べます。
ガリガリに痩せていた方がふくよかになっていきます。
当院の患者さん達でゴルフ仲間も出来ているようです。

だから、透析量を増やすことでアルブミンが少し低下するのは当然と思っていました。

でも、さらにその上を行く透析を行うと、一般の方と同じようになっていくのだという事を知りました。
勿論、在宅でも膜を小さくしたり、血流を下げてはいないそうです。

お見それいたしました。
今後もさらに良い治療が提供できるように頑張ります。

それから、レストレスレッグ症候群(いわゆるむずむず足です。)に対して、β-2マイクログロブリンより大きなα-1マイクログロブリンを積極的に除去すると症状が改善するという発表が、橋本クリニックの櫻井健治先生を中心にありました。

α-1マイクログロブリンの除去量を35%以上とするとレストレスレッグ症候群の症状は消失するのだと言う話でした。

当院でも、α-1マイクログロブリンの除去量については一部の患者さんで測定した事はありますが、それほど重要視していませんでした。
早速、郡山に帰ってきて、全員でα-1マイクログロブリンの除去量を調べる事としました。
70人を透析前後で測定しますので、三菱化学メディエンスさんに大幅な値引きをお願いして来週測定してみます。
三菱化学メディエンスさま、ありがとうございました。

当院でも調べてみるとレストレスレッグ症候群の患者さんが数名いるようです。
とにかく症状が改善出来るように頑張ってみます。

以上、特に印象に残った2題をご紹介いたしました。

2011.09.06
研究

HDF研究会行ってきました。

土曜日曜と、横浜市で開催された第17回日本HDF研究会学術集会・総会参加してきました。

6月に透析学会総会に参加し、先月末には東北腎不全研究会に参加していますが、両方の学会とも、透析診療を行っているたくさんの知り合いに会うことが出来ました。
しかし、HDF研究会には以前からの知り合いはほぼいなく(山形矢吹病院の方々と松江腎クリニック草刈先生くらいです。)、HDF研究会で会って話す方達はHDF研究会で知り合いになった方たちです。

昨年初めて参加したときは、ほとんど知っている方がおらず、草刈先生や政金先生の後にくっついてたくさんの先生方を紹介してもらっていました。

HDF研究会に参加して盛んに発言している先生方は、透析をかじっていると聞いたことがある先生方ばかりです。

今年は、昨年知り合いになった先生方を中心にお話する事が出来ました。
さらに、このブログ読んでいますと声をかけていただきありがとうございました。

2日間、朝から日曜日15時半の終了時点まで、シンポジウムやワークショップ、一般講演など、聞ける講演は全て聞く事が出来、とても勉強になりました。

たくさんのセッションが有りましたが、どんな内容だったのと聞かれたこともあり、いくつかご紹介いたします。

International Symposiumと言うセッションでは、東南アジアを中心に各国の腎臓内科の先生方が自国の透析の環境について講演してくれました。

もちろん同時通訳ありです。
最近の同時通訳は医学用語がよく分かっていますね。
以前は医学用語の通訳が出来ず、何を言っているのか分からない通訳の事が有りましたが、とてもわかりやすい通訳でした。

カンボジアでは、急逝血液浄化は行われていますが、慢性腎不全に対する血液透析はまだ普及していないとのことでした。
しかも、ダイアライザーも5回再利用するそうです。

ベトナムの病院では、ベットが足りず、1つのベットに2人の患者さんが寝ている写真を見せてもらいました。
でも、慢性腎不全に対する人工透析は積極的に行われ、約1万人くらいの患者さんがいるそうです。
ダイアライザーは6回再利用して、透析治療費は1回20ドルと世界で一番安い治療費だそうです。
ちなみに、CAPDは月400ドルかかりあまり普及していないそうです。

ミャンマーでは、サイゴンにいる腎臓内科医は3名だけだそうです。
透析は急性腎不全に対する治療のみが行われていて、慢性腎不全の治療は行われていないと言っていました。
お国がらでしょうが、急性腎不全となる原因の75%は毒蛇に噛まれた事が原因で、多くの方が貧困のためお金が払えず、急性腎不全に対しては国が治療費を払ってくれるそうです。

フィリピンの先生は、オンラインHDFの話でしたので、かなり進んだ治療が行われているようです。

この後、台湾、中国と続いたのですが、当院の一般演題 

O-3-01 「膜・透析方法の違いによるアルブミン漏出について」

が始まる時刻となり、その後は聞く事が出来ませんでした。
でも、自分の全く知らない世界を知る事が出来て良かったです。

オンラインHDFの発表が盛んにされていましたが、血液流量が低い発表が多く、勿体ない印象がありました。

夜は、懇親会で今年も何人かの先生方と名刺交換が出来て、ロビー活動も充実しました。

その後、透析命の先生方と夜景を見ながらカクテルを飲みに行き、楽しい一日が終わりました。

もちろん、日曜日も朝8時からの日本透析医学会認定 透析液水質確保に関する研修から、15時半まで学会を満喫してきました。

明日からの診療に役立てたいと思います。

2011.09.02
診療
仕事 / 職場

突然の来院にビックリ!

本日はとても外来が混雑しました。
午前中はそれなりにやや多いくらいでしたが、午後は途切れずとても混雑していました。

午後の外来が始まる少し前に、突然、松江腎クリニックの草刈万寿夫先生が、被災後と言う事でお見舞いに来院してくれました。

突然のサプライズ!
ビックリ仰天有頂天!

明日から横浜でHDF研究会があり、僕も参加予定ですが、貴重なお時間を割いて来院してくれました。
どうもありがとうございます。

院内の状況を見て頂き、一緒に記念写真を撮っていただきました。

是非とも、機会を作り、松江まで行って、松江腎クリニックを見学してみたいです。

明日は、HDF研究会。
実りのある学会にしたいと思います。
頑張ります。

2011.09.02
生活 / くらし

何を頑張れというのですか。

知人の方のお子さん用にフイルムバッチが届いたそうです。

郡山市は来月からなので、まだ届いてはいません。
でも、これはないのではと思います。

このストラップには、『がんばろう日本』と書かれています。

 

我々の子ども達をこんなに被爆させておいて、これ以上何を頑張れというのですか。

無神経過ぎるのでは無いでしょうか。

苦しんでいる患者に治療を全くせず、頑張れという医者と同じでしょ。

呆れてものが言えません。

許せませんね。

2011.09.01
診療
仕事 / 職場

防災の日

本日9月1日は「防災の日」です。
1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災の教訓を忘れないという意味と、この時期に多い台風への心構えの意味も含めて1960年(昭和35年)に制定されたものです。

今年は、3月11日に東日本大震災が発生しました。
震災による影響もありましたが、我々は、その後に発生した福島第一原子力発電所の事故により、現在もひどい目に遭っています。

本日は、透析医会による災害時情報伝達訓練 も行われます。

http://www.saigai-touseki.net/

 

当クリニックも下記の通り訓練に参加いたしました。

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■(県南・中)援腎会すずきクリニック: 2011年 09月 01日 10:04  

透析の可否 : 透析可

被災の有無 : 被災無し

その他不足物品や連絡事項等 : 訓練情報

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訓練は 10:00~23:00 で行います。

透析施設の皆さんは、是非とも参加お願いいたします。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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