第40回東北腎不全研究会
土曜日・日曜日と弘前市で行われていた第40回東北腎不全研究会に参加してきました。
今回も下記2つの演題を発表してきました。
CERAの腎性貧血に対する費用対効果
進行した透析アミロイドーシスに対する治療経験
機会が有りましたら、ご紹介したいと思います。
それで、日曜日にはオンラインHDFについてのランチョンセミナーがありました。
演者は、オンラインHDFの第一人者と言えるあかね会土谷病院の川西秀樹先生でした。
川西先生の御講演が聞けるなんて、これだけでも今回の研究会に参加した意義があると思いました。
講演は、オンラインHDFについて様々な観点からとても興味深い内容でした。
その中も凄いと思ったのは、オンラインHDFの生存率についての部分です。
スペインのある地方の患者さん906名を対象に行った前向き研究の結果です。
High-Efficiency Postdilution Online Hemodiafiltration Reduces All-Cause Mortality in Hemodialysis Patients
http://www.medpagetoday.com/upload/2013/2/16/ASN.2012080875.full.pdf
906人の血液透析を受けている方を対象に、従来通りの透析を行った450人と、高効率の後希釈オンラインHDFに切り替えた456人との多施設で共同の非盲検ランダム化比較試験です。
通常の透析も、日本で一般的に行われているハイパフォーマンスメンブレムを使った透析であり、決して透析の質が悪い訳ではありません。
それで、結果からは通常の透析を行った群に比べ、オンラインHDFを行った群では、死亡リスクが30%低下したと言うのです。
しかも、心血管疾患では33%の死亡リスクが低下し、感染症関連では55%の死亡リスクが低下したと書かれています。
通常の透析に比べ死亡リスクは30%低下すると言うのはとても凄い事だと思います。
当院は標準透析がオンラインHDFですから、この様なオンラインHDFの優位性の論文は心強いです。
ここまでは、僕も知っていましたし、実際のこの論文は読んでいます。
川西先生が仰っていたのは、このHDの生存率のグラフが現在の日本透析学会の生存率の変化とほぼ一致すると言うのです。
オンラインHDFにきちんとした保険点数が付いて、昨年からオンラインHDFを行う施設が急増しています。
そのため、日本の通常透析を受けている方の多くがオンラインHDFに移行したら、このグラフのオンラインHDFの生存率と同じように、世界で最も優れた成績である日本の透析者生存率が更に30%上昇するのではないかと言うのです。
とても夢の有る話です。
やはり、我々の様な凡人とは視点が違うとも思いました。
ただ、日本で行われている一般的な透析の場合は血流量が低いので、高血流で行われている海外の成績がそのまま当てはまるかどうかは分かりません。
それは、オンラインHDFの効力は高血流で発揮されるからです。
血流量を上げることは全くコストがかからないことです。高血流だから心臓が悪くなると言うのは迷信です。少なくとも300ml/min程度の血流でしたら血圧が下がることもないでしょう。
このブログを見てくれた透析従事者の方は是非とも血流を上げて欲しいです。
生存率ですが、30%は無理かもしれないですが、20%くらい生存率が上がったら、それだけでも素晴らしいですね。
当院でも引き続きオンラインHDFと高血流、長時間のしっかり透析で頑張って行きたいと思います。
- 2013.08.23
- 生活 / くらし
講演会に行ってきました。
木曜日に、東京大学先端科学技術センターの児玉龍彦教授講演会に行ってきました。
「福島の森、土、水をきれいにする」と言う演題のセミクローズドな講演会でした。
講演では、放射線被曝の話から始まり、セシウムの農作物や魚類への移行の話、そして福島での除染の話を聞くことが出来ました。
汚染廃棄物の処理についての話は驚きでした。
汚染された廃棄物は原発に近い場所に持って行って中間貯蔵施設に保管することとなっていますが、先生からは、防水は量が大きくなると、必ず漏れるのは常識的な話だと言っていました。
東京ドームの約12~23倍と言う廃棄物を30年間も1箇所に安全に保管する事は不可能だという話でした。
先生の話では、セシウム回収型焼却炉で、沸点が641度のセシウムを気化してフィルターを用いて回収すれば、セシウムが濃縮され、体積が小さくなって保管出来ると言う話でした。
実際に、郡山にセシウム回収型の汚泥焼却炉が作られ、56,000Bq/kgの汚染土壌が45Bq/kgまで濃縮されたそうです。
山林の除染は、山林を伐採して焼却してバイオマス発電を行い、セシウム回収型焼却炉を使用してセシウムを回収していく方法について教えて頂けました。
児玉先生には、我々が福島の汚染に対しどの様にして行けばいいのかにつてい方向性を示してくれました。
児玉先生、ありがとうございました。
トキシノメーター購入しました。
当院にある透析装置(コンソール)は、一部のボトル式HDF対応コンソール以外の全てがオンラインHDF対応です。
オンラインHDFを行っていく上で、透析液はオンライン補充液でなくてはいけません。
2011年度JSDT「エンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)管理基準」によると
オンライン補充液の定義は
生菌数 10-6CFU/mL 未満
ET 0.001EU/mL 未満(測定感度未満)
とあります。
しかし、生菌数:10-6CFU/mLの測定は不可能であり,最終フィルタ直前の透析液は超純粋透析
液基準を担保するとなっています。
超純粋透析液(ultra-pure dialysis fluid)は、
生菌数 0.1CFU/mL 未満
ET 0.001EU/mL 未満(測定感度未満)
となっています。
CFU/mL という単位は、1 mLの試料に何個のコロニーを作る細胞が含まれているかを示す単位であり、通常の透析用水の細菌数の基準が100CFU/mL 未満ですので、その1/1000と言う値です。
そして、基準としているエンドトキシン濃度は測定感度未満です。
当院では、東レ・メディカル社製「トータルクリーン化システム」を採用しています。これはRO水(逆濾過水)を循環させることで停滞水を無くし、接続部や屈曲部の削減することで、きれいな水をスムーズに送ることが可能になるシステムです。さらに透析終了後、各装置とRO水ラインに極めて濃度の低い薬液を封入することにより配管内をクリーンに保ち、安全かつ安定した水や透析液を供給しています。
しかし、作成した透析液も各コンソールに運ばれる間に汚染される可能性が有ります。
一般的には、コンソールに入る直前でエンドトキシン捕捉フィルター(ETRF)と言うフィルターを通ることで、再度安全な透析液となります。
でも、本当に清浄化された超純粋透析液となっているか、確認する必要が有ります。
それで、私達は、作成した透析液の状態を確認するための指標として"エンドトキシン"という物質の残留濃度を測定します。
最近では、透析液水質確保加算という点数が請求出来る様になり、エンドトキシンを測定する施設が増えてきました。
ただ、一部のコンソールで測ればいいので、検査を外注検査としている施設が多いようです。
当院では、開院当初から透析液清浄化に力を入れていましたので、トキシノメーターミニという自施設でエンドトキシンを測定出来る装置を購入して測定をしていました。
こちらは4つの検体を同時に測定可能です。
今回、個室透析センターを増築したことも有り、更に多くの部位で検査する必要が出てきました。
オンライン補充液を管理していくためには、システム安定後も毎月全ての末端透析装置で補充液の検査をしなくてはなりません。
それで、今回16検体を同時に検査出来るトキシノメーターを購入しました。
こちらがトキシノメーターです。
現在は、個室透析センター2階の検査室にあります。
測定した結果は専用のパソコンで処理されます。
今までは、1回90分の測定で4検体しか出来ず、臨床工学技士が測定するのに一日がかりの仕事でしたが、今後は測定がスムースになるそうです。
院長としては、かなり大きな出費となりましたが、いい透析を行う為には大切な事だと考えております。
お盆休み
今日でお盆休みも終わりですね。
当院も外来は14日から17日までお休みさせていただきましたが、透析診療は通常通り行っていました。
僕も、土曜日と日曜日はお休み出来たので、ドライブがてら喜多方と猪苗代に行ってきました。
行く途中、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で喜多方にあるあまり混んでいなくて美味しいラーメン屋さんを教えてと書き込んだら、友人から早速お返事が来ました。
SNSの威力を感じました。
教えて下さった友人にこの場を借りて感謝いたします。
その後、ナビで探しながらそのお店に着いたのですが、あまり宣伝したく無いようで、お店の暖簾を出していませんでした。
ですので、写真だけ載せます。
チャーシューも美味しかったですが、麺もスープも美味しい喜多方ラーメンでした。
また機会が有ったら行ってみたいです。
ペンションに1泊して帰ってきましたが、帰りは猪苗代でおそばを食べて帰ってきました。
こちらは、49号線沿いにある三四郎というお店です。
以前より美味しいと言う噂を聞いていました。
午後2時半に行きましたが、ほとんどの席が埋まっていました。
細くて上品なお味の蕎麦でした。
また美味しいお蕎麦を食べる事が出来ました。
猪苗代のお蕎麦はやっぱり美味しいですね。
もうすぐ新蕎麦の季節です。
湖南や猪苗代の蕎麦祭りにも行きたいです。
楽しみにしています。
おはようございます。
今日からクリニックの外来診療はお盆休みとなります。
透析診療は通常通り行われます。
僕はいつもと同じ出勤ですが、いつもと違ってまったりしています。
今日は一日院長室の片付けと8月24日に青森で行われる第40回東北腎不全研究会で発表する2演題のスライド作りをしています。
まったりしていると、何も出来なく終わってしまいそうです。
今日も一日頑張ります。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。