2014.02.04
診療
研究
生活 / くらし

夜間在宅血液透析の生存率

Survival among nocturnal home haemodialysis patients compared to kidney transplant recipients 

Robert P. Pauly:Nephrol Dial Transplant (2009) 24: 2915–2919

夜間在宅血液透析と腎移植の生存率を比べた論文があります。
2009年のもので、Nephrology Dialysis Transplantationと言う雑誌に載っています。

夜間在宅血液透析は1回6-8時間で週3-7回行っています。
その成績を生体腎移植と献腎移植の生存率と比べています。

nocturnal Hemoが夜間在宅透析で、Deceased donorが献腎移植、Living donorが生体腎移植です。

夜間在宅血液透析の生存率は、生体腎移植にはやや劣りますが、献腎移植とほぼ変わらない生存率である事が分かります。

腎移植は、水分制限も無く、透析を行う時間が必要ではありません。
やはり、一番優れた治療法であることは間違いないと思います。
僕もそう思っていますので、若い方には腎移植の登録を勧めています。

でも、どうしても移植が出来ない方もたくさんいらっしゃいます。
移植が出来ないから長生き出来ないと思っている方達に見て欲しいと思い、この記事を書きました。

夜間在宅透析なんて無理だよと言うかもしれませんが、施設透析でも長時間透析を行っている施設はたくさん有ります。
長時間が難しくても30分透析時間を延ばすとか、血流量を上げるとかはそれほど難しくないのではと思います。

2014.02.01
診療
研究

5時間透析の勧め

当院は、5時間、4.5時間、4時間の順番で穿刺を行っています。

夜勤の仕事をしていて、午前の透析中はずっと寝ている患者さんがいます。
ただ、この方4時間透析だったので、毎回9時すぎの穿刺でした。
眠そうな顔でいつも来院して、透析が終わっても寝ている事もありました。

個室透析センターの運用が始まったので、ご本人にお話して、寝るのに適した環境の個室での透析と穿刺時間を1時間近く早めることを提案し、その代わり個室透析センターで透析を受ける条件である5時間透析を受ける様にお話しました。

当院は、現在半数以上が5時間透析の施設です。
多くの患者さんが透析時間延長に理解を示してくれるなかで、開院以来ずっと透析時間延長を拒んでいた方ですので、最初はなかなかうんと言ってくれませんでした。
僕もスタッフも繰り返しお話して、やっと試しにやってみようよと言うことで納得して頂きました。

毎回の除水量も多く、透析開始時は血圧が高く終了時には下がってしまっていましたが、4時間から5時間に時間を延長したことで透析中の血圧は安定し低めにコントロール出来る様になりました。

何種類もリン吸着剤を飲んでもコントロール出来なかった血清リン値も、現在ではしっかり目標値にコントロール出来る様になりました。

ご本人の体調も改善してきたようです。
僕にはなかなか話してくれませんが、時々スタッフには調子がいいんだと言ってくれているようです。
もちろん、この方の血液流量は400ml/minです。

 

2014.01.28
診療
生活 / くらし
グルメ / お酒

低カリウムレタスの工場が会津に出来ました。

http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=2014012614

会津若松に低カリウムレタスを生産する工場が出来たと言うニュースがありました。
富士通の半導体工場のクリーンルームを転用して作ったそうです。
1株480円の低カリウムレタスを1日3500株生産するとのことです。
カリウム含有量を平均で86%抑えると言うので、人工透析を受けている方や慢性腎臓病でカリウムの値が高い方に朗報ですね。

郡山でも一部の百貨店で既に購入出来ると聞いています。
現在、低カリウムのメロンやトマトも作られているようです。

当院でも、週4回透析を受けている方達の中でに透析前のカリウムが高くなってしまう方も数名おります。
野菜や果物を食べたいけどカリウムが心配と言う方には朗報だと思います。

2014.01.25
診療
開業 / 病院経営
仕事 / 職場

「咳エチケット」にご協力ください

最近、インフルエンザが流行してきているようです。
当院では、現在のところインフルエンザが陽性の方はまだ出ていませんが、時間の問題かと思っています。

 

風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症は、咳やくしゃみによって周囲に飛び散った菌やウイルスを周りの人たちが吸い込むことによって感染が広がります。

マスクをせずに咳やくしゃみをすると、ウイルスが 2-3 メートル飛ぶといわ れています。

そこで、他の人への感染拡大を防止のために「咳エチケット」が重要です。

咳・くしゃみが出る時には、ティッシュなどで口と鼻を押さえ、周りの人から顔をそむけましょう。

 

鼻汁・痰などを含んだティッシュは、すぐにゴミ箱に捨てて、手を洗いましょう。

 

症状があって来院される方は、マスクを着用して感染防止に努めましょう。

 

マスクが欲しい場合はお渡ししますので、スタッフにお気軽に声をかけてください。

2014.01.21
診療
開業 / 病院経営

ブログ開設記念日でした。

たまたま、昨日昔のブログを見ていて、初回の記事に行きつきました。

http://blog.m3.com/ennjinnkai/20080121/3

開院のお知らせ

です。

と言う事で本日6周年となりました。
これまで、たくさんの方にご覧頂きました。

昨日書いた記事が1368回目
総アクセス数389万3888件 でした。

それで、

クリニックの透析についての考え方

を書いています。

http://blog.m3.com/ennjinnkai/20080124/1

透析患者の予後を決定する因子

1. 水分管理のいい方が長生きする。
2. 透析量が多い方が長生きする。
3. 透析時間が長いほうが長生きする。
4. 食事を沢山とって,筋肉が多い方が長生きする。
5. HDよりHDFの方が楽に透析できる。
6. ただし、カルシウム・リンは高くてはいけない。

透析は「腎臓の働きを補う治療」です。それでは「一回4時間×週三回、血流量200 ml/分」の平均的な透析が、腎機能をどれだけ補っているでしょうか。それは尿素の様に小さく抜けやすい毒素について、本来の腎機能の10%強程度と考えられます。しかし、尿素より大きな尿毒素が、もっと抜けにくいのはもちろんのこと、血液透析には「間欠的な治療」という欠点もあります。さらに、広い意味の腎機能のうち、腎臓の内分泌機能は、全くといっていいほど補えていません。つまり腎機能を十分に補うのが「至適透析」であるのなら、現在の平均的な透析は、明らかに「透析不足」です。

そして、この平均的な透析、「一回4時間×週三回、血流量200 ml/分」の透析の成績は、5年生存率が60%程度、10年生存率が40%程度です。患者さんの平均年齢が65歳とすれば、患者さんの4割の方は70歳にならずに亡くなられるという状況を示しているのです。これは十分な治療成績といえるのでしょうか。

「二十年、三十年透析で元気に生きること」を想定し、二十年、三十年後の種々の透析合併症が出てくる様な時期に「最初からもっと抜いておけばよかった。」と患者さんが思っても、体に蓄積した尿毒素はもう抜けませんし、傷んだ体は元に戻りません。正に「後悔先に立たず」です。

透析治療に慣れる時期、あるいは透析生活に慣れる時期、そういった期間だけ限定で、多少緩やかな透析をすることは必要です。
 しかし、その透析患者さんが「二十年、三十年透析で元気に生きること」を前提とした維持透析をするのなら、現在の血液透析の欠点は、一回4〜5時間という比較的短い時間に体液の量・性状が急に変化することです。これを少しでも生体腎に近づけようとするならば、「頻度を高くすること」が最も大事です。

しかし、現在の保健医療では月に15回以上の透析は認可されていません。それならば、「一回透析時間を長くすること」が重要になってきますが、これまでに認められていた時間区分が廃止され、透析施設が長時間の透析を行っていくのが難しくなってきています。これらの事から、その限られた透析時間で有効な治療を行う事が重要となってきます。

限られた時間で有効な治療を行うためには、一分間に流れる血液のスピードを上げることになります。しかし、普通のHD療法では血流を十分上げることは困難です。
解決する方法は、大量補液をダイアライザーの前で行うことで不均衡無く血流量を上げられる前希釈オンラインHDFを行うこととなります。
また、オンラインHDFにより、β2MGを代表とする大きな物質を効率良く除去することでき、『透析することで元気になる』が実現できると考えています。

当院では、すべての患者様にオンラインHDF療法を提供することができます。すべての透析装置でオンラインHDFが出来るシステムは、福島県では初めてとなります。
オンラインHDFが普及しない理由は、透析液の厳密な水質管理にかなりのコストがかかるためですが、当院では、東レ株式会社の最新透析システムにより高度な水質管理が可能なっています。

尚、この文章は前半の多くの部分をネット上の書き込みから引用して作成しました。そして、書かれた先生から掲載の承諾をいただいています。

以上です。

読んでいて透析についての考え方は変わっていない、ぶれていないなあと思いホッとしています。
逆に、透析時間延長や週4回透析、個室透析では進化したかなあと思います。
これからも頑張って行きたいと思います。

最近、ちょっと書くことが無くて、更新回数も減っていてごめんなさい。
今年も絶える事なく、記事を書いていきたいと思います。
どうかよろしくお願いいたします。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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