透析と血流
では、血流に関してはどうでしょうか。
DOPPSで日、欧、米での血液流量と死亡の相対危険度を調べたデータがあります。
愛腎協ホームページより引用
欧米では、血流300-400ml/minが当たり前のようです。
日本では標準として、血流200ml/min、4時間というのが一般的ですが、血流を上げることによって、死亡の危険度は下がることは証明されているようですね。
当院でも、転院後、不均衡が起こらないように徐々に血流を上げてきています。
まだ、シャントの問題もあり、300ml/min以上の方はいらっしゃらないのですが、可能な方は上げていきたいと考えています。
ただ、アメリカのように透析時間は3時間で血流は300-400ml/minまで上げようという考え方は間違っていると、付け加えておきます。
基本は、透析時間を延長することです。 その上で、さらなる効果を上げるために血流を上げましょうということですから、誤解の無いようにお願いします。
愛腎協ホームページより引用
透析の時間
現在、援腎会すずきクリニックでは、10名の方が透析をされており、来週から新たな患者さんを迎えることになっています。
新しい臨床工学士が入ってくれたので、当分の間、転院のご紹介をお断りしなくても良さそうです。
患者さんに透析の時間を延ばすことをお勧めしても、なかなか同意していただけません。
やっぱり、なるべく早く終わりたいというのが本音だと思います。
ただ、長期的な予後を考えますと、時間は長い方がいいというのは、明らかです。
以前、DOPPSという、血液透析の治療方法と患者の予後についての調査が行われました。世界12カ国、340施設で、2万人の規模の参加人数で行われたものです。
このDOPPSより、透析時間の短縮が生命予後を悪くするというエビデンスが示され,日本透析医学会の統計調査からも,長時間透析の良好な治療成績も報告されています。
3時間透析が主流のアメリカに対し、日本の透析患者さんの死亡リスクは1/5だそうです。
透析法法や、やアメリカは移植が多いなどの状況もありますが、やはり、透析時間は長い方がいいとしか言えないと思います。
快気宣言!
火曜日の記事で、寝込んでしまったことを書きましたが、現在、風邪直りました。
というのは、月曜日までは、患者さんが順調にいらしていたのですが、火曜日からは、非常に寂しくなってしまっています。
スタッフから、もしかしたらブログを見ている人たちが、来院するのを手控えているのではないか、快気宣言しないと患者さんが来てくれないのではないかとアドバイスがありました。
全然、なるほどとは思わなかったのですが、
おまじないみたいなものですので、
ここに快気宣言いたします。
何人か、うちの透析患者さんからもブログ見てますと言われます。
ブログは、クリニックの方針や、診療に向き合う気持ちを多くの皆さんに伝える一つの道具と思っていますので、大いに発信していきたいですね。
エルゴメーター導入
以前、透析中の運動療法について、お話ししたことがありましたが、やっと当院にエルゴメーターがやってくることとなりました。
名前は『エスカルゴ』です。
なんか、旨そうな名前ですが。
昨日、メーカーさんが持ってきました。
まずは、お試し期間として置いてもらい、良ければ購入になります。
実際に、私やスタッフがやってみました。
マジックテープで足が外れないようになっており、電動式で、スピードが変えられるようです。
電動式ですが、安全装置が付いており、動かさないようにすると勝手に止まります。
透析患者さんは、
1,心機能の低下・貧血などがあり、運動が難しい
2,運動すると、乳酸が作られ、体液が酸性に傾く
3,透析日には、運動が行えず、運動量が低下する。
と言われています。
これらを解決するために、近年下肢エルゴメーターを使った運動を透析中に行うことが勧められてきています。
透析開始30分後から1時間ぐらい、負担にならないくらいの労力で自転車運動を行うのです。
これなら、乳酸による血液の酸化は透析により改善されます。
そして、運動中は透析スタッフが目を配っていますので、一人で行うより安心です。
この効果は、
運動耐容能の改善で死亡率が低下する。
心筋細胞の機能改善
筋の廃用予防
耐糖能改善
交感神経活性の安定性
などがあります。
透析中に運動を行うことで、透析中の血圧低下を予防出来たという報告や、尿毒症物質の除去効率が上がったという報告もあります。
エスカルゴ、期待したいですね。
クリニックに臨床工学士が増えました。
援腎会すずきクリニックでは、透析業務を行うための臨床工学士を開院時より募集していました。
開院当初より勤務してくれている優秀な臨床工学士が一名おります。
しかし、彼女の業務の負担が多くなってしまうために、血液透析は月・水・金のみでしか行えませんでした。
今回、経験豊富な臨床工学士が8月より勤務してくれることとなり、月・水・金のベッド数が満床になり次第、火・木・土の透析も開始することが出来そうです。
ただ、早くても火・木・土の透析が開始するのは、10月以降となると思います。
これまで、準備不足のため、当院での透析を希望されてもお断りする事が何件かありましたが、今後はなるべく対応していくよう努力していきます。
透析治療は安全に行うことが一番大切ですので、その事を念頭におきながら、今後も受け入れ体制を確立していきたいと考えております。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。