急性腎不全=AKI 用語のこと
慢性腎不全は、医療者の間では、CRF( chronic renal failure)と呼ばれています。
そのままなのですが、chronic は慢性的な、 renal は腎臓の、failure は不全と言う意味です。
最近では、ESRD(End Stage Renal Disease)と言う呼び名も使われるようになってきました。
End Stage は終末像で、Renal Diseaseは腎臓病です。
まだまだ、僕の周りでは、使う人は少ないようですけれど。
急性腎不全は、ARF( acute renal failure)だったのが、最近では、AKI(acute kidney injury)と呼ばれるようになってきています。
急性腎不全とは,『急速な腎機能低下により体液のバランスが維持できなくなり,腎不全症状や検査異常をきたす疾患』です。
元々は、腎不全で無いことが前提であり、慢性腎不全が悪化した状態とは区別して考えなければいけません。
『急性腎不全の診断基準 』と言うものが最近発表され、
48時間以内での血清クレアチニン値の変動が、0.3mg/dl上昇
もしくは、前値の1.5倍上昇 である場合か
尿流量の減少が、体重あたり0.5ml以下で6時間 以上経過する場合と定義されています。
大学病院で診療していた頃は、他科の先生に依頼されて、急性腎不全の診療を行うことが多く、毎日のように持続的血液濾過透析の回路を夜遅く組み立てていたことを思い出します。
その頃は、大変な作業でしたが、今となっては懐かしい思い出です。
ちなみに、現在は臨床工学士が大学にも居るようになり、透析回路の組み立ては医師の仕事ではなくなったと聞いています。
僕が大学にいたのは、ほんの4、5年前のことですが。
ちょっとそれてしまいましたが、AKIは、早期で軽度な腎障害から透析を要するほどの重度な腎不全までを含めた用語として急速に広まってきている様です。
この名称の変更は,
①軽度な腎障害が予後と関連し、進行した腎不全ばかりでなく,早期で軽度な腎障害を含むと言うこと
②“failure”よりも“injury”のほうがより病態を表現することができること,
③ラテン語から派生した“renal”より“kidney”のほうが一般の人に理解されやすいこと
を考慮に入れて検討されたものである
臨牀透析 vol.24 no.7 2008
と書かれていました。
以前からある医学用語でも、一般の方に分かりやすい用語に変えていく姿勢がいいですね。
特別発言
先日、東レメディカルの方から、PMMA膜発売30周年記念講演会のパンフレットをいただきました。
その中に、以前にも紹介した「透析とともに生きる」と言う本の著者で、松江青葉クリニック院長の春木繁一先生が、特別発言として講演していました。
春木先生は、透析創成期の時代から35年以上も血液透析を受けており、23年前からPMMA膜を使って透析をされているということで、透析とPMMA膜についてお話をされたようです。
お話の中でもっとも大切な部分は、『長期透析を受けてきた経験から言えることは、透析で重要なのは「十分に時間をかける」と言うことに尽きる』という部分かなと思います。
透析が始まった頃は、8時間くらいの時間が必要だったようですが、透析膜が改良されるたびにその時間は短くなり、最終的には4時間まで減ってきています。
しかし、春木先生は6時間半よりは時間を短くすることなく現在に至っているとのことです。
透析を35年行っているのにもかかわらず、心臓カテーテル検査で、冠動脈の狭窄がなかった様です
それだけお元気で、学会等に飛び回って参加されていると聞きました。
PMMA膜は、生体にとって優しい膜であり、春木先生の話だと、『透析開始5時間半を過ぎる頃から「身体が軽くなる感覚」「気持ちの良いマッサージを受けた後の身体感覚」を覚え、非常に快適な独特な境地に達する様になった。』とあります。
それから、透析治療を受ける方の注意点についても述べられたようです。
蛋白摂取や貧血を改善させる方法などと共に、「無理な除水をしない」と言うことを強調されています。
『一週間以内に水の量を処理すればいいと考え、除水量は最高380ml/hrである。』と書かれています。
6.5時間の透析で、最高2.5kgの除水になりますね。
透析不足の症状についても触れており、かゆみ、軽いしびれ感、下肢の筋肉の凝り、皮膚の色つやの張りのなさ、イライラ、不機嫌な感じが生じたときは、十分に時間をかけて透析することで改善すると述べています。
我々医療者の使命は、患者さんに対して絶対に透析不足にさせないということではないかと考えています。
最後に述べているのが、「あそび」と「順病」だそうです。
長い透析人生です。『車のハンドルの「あそび」くらいのルーズさを持って透析をしながら人生をエンジョイする気持ちと、闘病ではなく病気と長く付き合うという「順病」の気持ちを持つことである』とおっしゃっています。
僕も、自分のクリニックで患者さんに透析を受けていただいていますが、ほとんどの方が一生付き合っていくことになるでしょう。
そう言う気持ちで、一緒に生きていくつもりでいたいと思います。
上野動物園
実家に2泊出来ましたので、日曜日は東京に出かけ、上野動物園に行ってきました。
子供たちは大喜びで出かけました。
まずはパンダを見てと思ったのですが、リンリンが昨年の4月に亡くなっていて、現在はジャイアントパンダはいませんでした。
代わりに、レッサーパンダが以前のジャイアントパンダのオリに入っていました。
そう言えば、そんなニュースがありましたね。
返りの新幹線で、長男に何が一番良かったか聞いたのですが、レッサーパンダと言っていたので、それはそれで良かったかも知れませんが、ちょっと残念でした。
その他、ライオン、虎、ゾウなどの動物が見られ、楽しめました。
家族で行くにはとてもいいところです。そして、入園料が家族4人で1200円は安いです。
近くに有ったら繰り返し行くのになという感じですね。
ただ、昨年旭山動物園に某病院の部長先生と二人で行ったのですが、やはり旭山の方が人気が有る通り、動物の数が少なくても楽しめたのは旭山の方でした。
でも、今週末に郡山で行われるゴーレンジャーショーが、家族4人で12000円なので、それに比べたらすごく安いですね。
初詣
お正月は実家の埼玉に帰省しておりました。
家の近くの公園で子供と遊んでいると、親父がやって来て、ちょっとドライブに行こうと誘われ、行ってきました。
うちの家族と甥っ子一人で車に乗せれれ、連れて行かれたのが金鑽(かなさな)神社でした。
同じ県でそれほど遠くない場所で生まれ育ったのに、一度も行ったことがないばかりか、存在も知らなかったのですが、毎年9万人もお参りをする神社だったようです。
ちょっとという話なので、皆手ぶらで出かけました。
ちょっと行くのだから小一時間くらいで帰ってくるのかなと考えていたのですが、行く道路は一本道で、3km手前から大渋滞。
1時間以上かけて、やっとたどり着きました。
ただ、特に信仰のない我々は、金鑽神社の手前にある金鑽大師で初詣を行い、だるま市でだるまを買って帰りました。
だるまは先ず初めに左目に筆を入れておくとのことです。
次回両親が来たときにクリニックに飾るつもりでいます。
実家の父は、運転中、最後までこんなに混んでいるのは初めてだと騒いでいましたが、帰ってから母が話すには、毎年正月はずらしてお参りをしているからなのよとのことでした。
でも、久しぶりにしっかりした初詣が出来たので、良かったです。
休日当番医
本日は、休日当番医です。
休日当番医は、小児科系、内科系、その他の3つの医療機関が当番医として診療を行います。
当院は、今回は泌尿器科として診療を行っていますが、午前中来院された方は、内科2:泌尿器科1の割合で、内科の患者さんでも、ほとんどの方が風邪や胃腸炎の方でした。
午前中はかなり混雑しましたが、午後からはそれほど混雑せず、のんびりとした診療になりました。
風邪の患者さんが多いと言っても、中には実は重症の疾患が隠れている場合もあります。
ただの咽頭炎と思っていても、扁桃周囲膿瘍や喉頭蓋炎などの入院を必要として命にかかわる疾患が有ります。
必要な方には、症状がまだ出始めの段階で、これから悪くなることがあることを説明し、悪くなった場合には必ず医療機関を受診するようお話ししました。
薬が有るからと言って安心して我慢してしまう方もいますので、状態が変わったときのことをしっかり説明する必要が有ります。
もうちょっとで休日診療も終わりになります。
明日、明後日はお休みなので、ちょっと楽しみです。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。