学習講演会10

なぜ、そのような症状が有るときだけしかHDFを行わないのでしょうか。
透析の機械はコンソールと呼ばれています。
一般のコンソールでは、HDFは出来ません。
HDF専用のコンソールが必要です。このコンソールには、輸液ポンプが別に付いていて、輸液ポンプから点滴を注入するラインの分も計算して除水しますので、その分厳密な除水管理が必要な機械となりますので、一般のコンソールよりも高価な機械になります。
そして、通常の透析液以外に補液する分の液が必要になりますので、コストが高い治療となります。
そのために、現状の医療保険では限られた患者さんしか適応としない治療となるのです。

そこで考えられたのが、オンラインHDFです。
この方法は透析液を点滴出来るほどきれいしてしまい、この透析液を点滴してろ過を行います。
通常のボトル型HDFの置換液10L位までなのに対し、オンラインHDFでは置換液が50リットルくらいまで行えます。
そして、この方法のもう一つの利点は、出入り口が同じなので、ボトル型HDFより安全に行える治療法であると言うことです。

前希釈オンラインHDFの模式図です。
流れてきた透析液が、透析液とろ過の部分となる補液(点滴)に別れます。そして、補液は血液と混じります。
ここからは、一般の透析と同じで除水が行われますが、このときに除水されるのは、体重増加分と補液分となります。除水した液は透析液と共に捨てられます。
つまり、初めに透析液と補液に分けられた透析液は、最終的には、透析液として出てくるのです。
除水分だけ出口で増量するのは、一般の透析と同じであり、補液様に別の点滴を用意するボトル型HDFに比べて安全な治療となるのです。
どうですか。
オンラインHDFは、透析液をきちんときれいに出来るならば、安全でとても優れた治療なんです。
学習講演会9
再び、学習講演会です。
実は、通常の透析でもろ過は行われています。
それは、除水をするからです。
除水量が多い方がろ過が多くなるので、物質の抜けも良くなると声を大きくして言う人がいますが、除水量が多い事は体重増加が多いという事になり、心臓に大きな負担がかかりますので、それは間違った考えです。

それならば、点滴をしてその分除水すれば、ろ過の量が増えるという事から行われているのがろ過透析HDFです。

ろ過透析は、小さい物質に対する効率が良い透析と、大きい物質の除去がいいろ過を合わせたものですので、透析治療の中ではもっとも優れた治療法になります。
腎臓は、ろ過で尿を出していますので、それを積極的に取り入れたろ過透析(HDF)は透析(HD)より生理的な方法であると言えるでしょう。

一般的には、HDFはスライドの様な病態に対して行われています。
通常の透析では改善しないような病状に対して行われています。
学習講演会8
さて、学習講演会ですが、これまでと違った話となります。
今回からは、透析の仕組みについて説明します。
透析の仕組み、つまり拡散とろ過についてです。

一般的に行われている透析では、透析の主体であるダイアライザーは、その中にマカロニみたいな中空糸と呼ばれる管がたくさんあり、血液が流れていて、その外側に透析液が流れています。
そして、その管には、たくさんの小さな穴が空いており、水分、毒素、電解質や、分子量の小さな物質が自由に移動出来るようになっています。
電解質や尿素などの小さな物質は、拡散によりどんどん中空糸の外に広がっていきますが、穴に近い大きさの物質は、小さな穴を通り抜けるよりは血液の流れに乗って流れて行きやすく、なかなか中空糸の外に出にくいのです。

これは拡散を説明する図です。
理科の実験で、半透膜を通して物質が移動する事を習ったと思いますが、拡散では、穴より小さい物質はその濃度差で移動します。
拡散での移動は、穴の大きさに比べて非常に小さい物質の方が移動しやすく、移動できる物質は濃度差で動きますので、効率も良いようです。

それに対して、ろ過は、圧をかけることで、穴を通れる物質は水と共に同じ濃度で移動しますので、大きい物質でも移動しやすいと言えます。しかし、水の移動の分なので効率は悪いです。

ここで、一般的に行われるろ過透析は、拡散だけの透析に圧をかけてろ過も一緒に行っている透析となります。
この場合、抜けにくい物質はろ過で移動させ、小さな物質は拡散で移動させるので、非常に効率が良くなるのです。
人工蛹室
日曜日にカブトムシ用の人工蛹室を作りました。
仕切りがついている昆虫の飼育ケースと、切り花を差す粗大となるオアシスを買ってきて、オアシスにカブトムシが入るくらいの穴を空けたのですが、ちょっと大きかったので、トイレットペーパーの芯をその中に入れて人工蛹室としました。
クワガタの人工幼室は横穴ですが、カブトムシは縦穴です。
オアシスにたっぷりの水を含ませて、カブトムシをそっとトイレットペーパーの芯ですくい上げ、人工蛹室に入れました。
角しか見えませんが、右が雄で左がメスです。
でも、さなぎって全く動かないと思っていたのですが、おしりを振りふりすることを知ってビックリしました。
何とか成虫になってほしいです。
ブログの名前変えようかな。
カブトムシと透析と、そして泌尿器科
かな。
学習講演会7
時間の次は血流量と来ましたので、1回の透析で行う透析の量である標準化透析量Kt/Vについて説明します。

Kは、そのダイアライザーが除去する尿素の量であり、透析の効率を示します。これは、ダイアライザーの性能や、血液流量、透析液流量、濾過量に左右される数値です。tは透析時間, Vは尿素の溶解している体液量となります。
Kt/V=1とは、理論的に「全体を『一通り』きれいにしたこと」を意味するそうです。

Kt/Vも数値が高くなるにつれて、生存対するリスクは低くなっていくようです。
この調査では、Kt/Vが1.6以上になると生存のリスクは変わらない結果ですが、フランスのタサン病院で行われている8時間透析では、Kt/Vも1.85まで高くなり、非常に高い生存率となっています。(時間は独立した因子であるという考え方も有るので、高い生存率は長時間透析によるものではないかという指摘も有るかもしれませんが、他に紹介するものがなく、タサン病院を書きました。)
透析はどのくらいまでやっていいかという議論が出てきますが、僕は透析はどんなにやってもやり過ぎと言うことはないと思います。
それは、一般の人の腎機能が100とすると、腎不全末期では10未満の腎機能しかなく、透析をどんなに行っても20を超えることは難しいからです。
ただ、食事の取れない人では、いっぱい透析をやると痩せてくることが有ります。透析量を増やすことにについて行けない人がいます。
そのような方では、まずは栄養指導をしっかり行い、エネルギー摂取量を増やす様に指導すること、そして透析中に栄養改善の点滴を行ったりしています。
それでも改善しない場合には、透析膜を変えたり、ろ過を落としたり緩やかな透析にしています。
対応として時間を短くすることは誤りです。
特に高齢者では、データが良いから時間を短くしていいと言う考えがありますが、高齢者では、ゆっくり時間をかけて抜くことがいいのです。
プロフィール

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。


