新しいタイプの前立腺肥大症薬
6月にこのブログで、秋頃に、男性ホルモンを働きにくくすることで前立腺の肥大を改善する新しいタイプの薬が出ることを記事としました。
今回、正式に「アボルブ0.5mg」(一般名=デュタステリド)と言う薬が承認されました。
前立腺自体の大きさを減少させることで、排尿困難を軽減させ、尿流を改善させる作用があります。
この薬は、テストステロンをジヒドロテストステロンへ変換する酵素である5‐α還元酵素のタイプ1とタイプ2の両方を抑制する薬です。
実は、5‐α還元酵素タイプ2のみを抑制するのが育毛剤として有名なプロベシアです。
本当はプロベシアも前立腺肥大症の薬として開発されたのですが、効果が弱く、そして別に育毛剤としての効果があることが分かり、現在は育毛剤として販売されています。
だから、今回のアボルブも同様の効果があるようです。
従来、前立腺肥大症の薬として抗アンドロゲン薬と言う薬が用いられてきましたが、性機能の低下や前立腺がんをマスクする可能性があり、最近ではあまり使用されていません。
また、前立腺がんの発症のリスクを減らす作用があることも、最近の研究で分かってきている様です。
久しぶりの甲子園
先週の土曜日、全国高校野球福島県大会決勝で聖光学院が勝利した試合を見ていました。
今日の午後はとても暇ですることが無く、そういえば自分の出身高校のある群馬県はどうなったかとネットを見たのですが、なんと、母校である東京農大二高が本日甲子園出場を決めていました。
15年ぶりだそうです。
上毛新聞より
20年前は、甲子園の常連で、僕自身も甲子園まで応援に行ったことも有るのですが、その後はいつも途中で負けてしまっており、残念に思っていました。
久しぶりの甲子園出場、おめでとうございます。
今年は、甲子園でダイコン踊りが見られそうです。
透析者のサプリメント2
その他のサプリメントです。
αーリボ酸
「アンチエイジング作用」と「ダイエット作用」があるサプリメントとして知られています。
透析者でも抗酸化作用があり、特に糖尿の病合併症に効果があるようです。
イソフラボン
抗酸化作用があり、栄養状態の改善や炎症の改善が見込まれます。
ただ、大豆食品などから摂取するとリンの過剰摂取になりますので、サプリメントとして服用するのがいいようです。
エイコサペンタエン酸(EPA)
中性脂肪を下げる効果があり、IgA腎症の進行を遅らせる効果があります。
ウコン
抗酸化作用、抗炎症作用があり、肝機能改善や前立腺肥大症予防作用がありますが、腎不全では特に有効な情報は無いです。
Lーカルニチン
食肉によく含まれていて、透析者に取っては、慢性的な全身症状の改善効果があります。
疲労感も改善されるようで、一度試してもいいかもしれません。
試してはいけないもの=青汁
これはカリウムの含有量が多く、透析を受けられている方に取っては、非常に危険な飲み物です。
決して飲まないでください。
他にもたくさんのサプリメントがありますが、代表的なものを載せてみました。
透析者のサプリメント
最近、サプリメントの摂取について教えてほしいという要望があり、ちょっと調べてみました。
まずはビタミン剤からです。
透析者では、ホモシステインが蓄積して動脈硬化が起こりやすく、葉酸、ビタミンB6,ビタミンB12のサプリメントはホモシステインを低下させる効果があり、透析者ではこれらのビタミンを積極的に服用する必要があると言われています。
さらに、現在の透析はハイパフォーマンスの膜を使用することが多く、水溶性ビタミンが喪失しやすいと言われています。
欧州のガイドラインでも、ビタミンBを代表とする水溶性ビタミンをサプリメントから積極的に補充することを勧めています。
欧米では、水溶性ビタミンを多くの患者さんが飲んでいますが、日本では服用している人がほとんどいません。
これは、米国では、腎不全患者用のビタミンの製剤があるのに対し、日本では処方できる薬が無いことが一番の原因ではと考えられます。
さらに多数の薬を飲んでいる人が多いため、積極的にこれらのビタミン剤を内服することを勧めていないためと思われます。
でも、最近の研究では、水溶性ビタミンを飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて有意に生存率がいいと言う結果も出ています。
また、ビタミンA,ビタミンC,ビタミンEはエース(ACE)と呼ばれていて、抗酸化ビタミンとしていろいろな病気を防ぐ作用があると言われています。
しかし、ビタミンCについては、腎不全では正常人と同じ量を飲んでいては多すぎてしまい、マルチビタミンを内服することが勧められています。
現在、腎不全患者用のマルチビタミン剤が市販されています。
可能な方はを服用することを試みてはどうでしょうか。
コレステロールの講演会
金曜日に悪玉コレステロールの講演会に行ってきました。
コレステロールでは、一般的にHDLコレステロールは善玉コレステロールで、LDLコレステロールが悪玉コレステロールです。
善玉のHDLコレステロールは、40mg/dl以上が正常で、悪玉のLDLコレステロールは、病状によって160−120mg/dl以下にしなさいと言う目標があります。
一般的に、動脈硬化を防ぐためには、LDLコレステロール/HDLコレステロール比が大切で、この比率を「2.0未満」に、そして、心筋梗塞や脳梗塞を起こしている人手は、「1.5未満」にすることで、病気の発症を防げると言われています。
ただ、以前から、悪玉のLDLコレステロールがそれほど高くなくても動脈硬化がひどい人が沢山いることは知っており、なぜなんだろうと思っていました。
先日の講演会で答えを知ることが出来ました。
LDLコレステロールは、蛋白と脂肪で成り立っており、脂肪を切り離した部分が、”アポリポ蛋白質”と言う部分になるそうです。
すなわち、LDLコレステロールは、アポリポ蛋白に脂肪が付いたものですので、脂肪が大きければ、大型になり、LDLコレステロールの数値が高くなります。
逆に脂肪が小さくてもアポリポ蛋白の数が増えれば小型のものが多数となり、LDLコレステロールの数値はやはり高くなるのです。
そして、大型のものがそれなりに有る場合と、小型のものが沢山ある場合では、動脈硬化のリスクが全然違うというのです。
LDLコレステロールの数値が同じでも、アポリポ蛋白の多い患者さんでは、心筋梗塞や脳梗塞のリスクは高くなり、大型のコレステロールのため、アポリポ蛋白の数が少ない患者さんでは、リスクが少ないそうです。
最近では、アポリポ蛋白Bも保険適応になってきており、専門家は積極的に検査しているそうです。
やはり、我々も常に勉強していないと、どんどん知らないことが増えていきそうです。
プロフィール

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。