2009.08.06
診療
開業 / 病院経営
研究
その他(医療関連)

シャント狭窄について

透析を受けていく上で、十分な透析量を確保することが大切だとこれまで書いてきました。
そのためにはしっかりした血流量が取れる内シャントを持つことが必要です。

初回手術時に、十分に血流が取れる動脈に静脈をつなぐことが大切ですが、手術がうまくいっても、シャントが詰まってしまうことはよくあります。

一番詰まる原因として多いのが、血管の一部が狭くなる狭窄です。
この狭窄を発見する為に、Beathardと言う人が、『血管狭窄の臨床指針』と言うものを提唱しています。

①静脈圧が上昇する
②血栓が繰り返えし出来る
③止血に時間がかかる
④穿刺が困難である
⑤シャントに痛みがある
⑥シャント肢が腫れている
⑦再循環が起こり、効率が悪い

これらの症状が見られる場合には、シャントに狭窄が出来ている可能性があります。

これらの項目は、スタッフだけでなく、患者さん自身が自覚出来ることも多いので、是非とも覚えていて、そのようなことが起こっていないか常に気にするようにしてください。

現在は、シャントトラブルスコアリングというものが出来ています。
活用することで、未然にシャント閉塞を防ぐ試みがされています。

当院でも、高血流の透析を行うためにシャント管理にも重点を置いています。
こまめに血管をチェックして、必要な方に対しては経皮的血管形成術(PTA:手術でなく、風船を血管の中で膨らませて狭窄の治療を行う)を行っています。

幸いなことに、開院以来、15か月の間、詰まってしまったため手術となった方はいらっしゃいません。

今回はシャント狭窄について書いてみました。

2009.08.01
診療
研究
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掻痒が強くなると死亡率が上がる

先日届いた透析学会雑誌に載っていた論文の考察に、

透析患者に掻痒が伴うと死亡率が17%高くなると言う報告があり、Naritaらも透析患者に伴う掻痒はその予後に大きく影響すると報告している。これらの報告からも掻痒の治療は透析患者の予後を改善する上でも重要な問題であると言える。

と言う文面がありました。
これは本当なんだろうかと思いました。

というのは、僕が思うのは、

掻痒がある=透析不足

だからです。
当院で、大量置換のろ過透析を行っていると、ほとんどの方がかゆみを訴えなくなります。
大量置換ろ過透析で、血流を上げ、時間延長も行っていますので、透析量は多いです。

もちろん、十分な透析を行えば、予後がよくなり死亡率が下がります。
だから、  掻痒がある→予後が悪い
ではなく、 掻痒がある→透析不足→予後が悪い
ではないかと思うのです。

考察では、かゆみが睡眠障害を起こし、生命予後が悪くなっているとまとめていますが、本当にそれだけ17%も違うのでしょうか。

2009.07.31
診療
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仕事 / 職場
その他(医療関連)

あさか透析医療懇話会

昨日、あさか透析医療懇話会という研究会があり、当院の臨床工学士が『当院の透析液清浄化に対する試み』という演題で発表をさせていただきました。

その後、特別講演として、九州保健福祉大学の教授である竹澤真吾先生から、

『日本は透析液水質の国際基準をクリアできるのか?』

と言う演題で、水質管理についてとても為になる講演を聴かせて頂きました。

講演では、いろいろ為になるお話がありましたが、一番印象に残ったのは、透析液をしっかり管理してきれいにすれば、患者さんが元気になるということでした。

毎年、透析学会では、我が国の透析療法の現状を報告しています。
透析学会のホームページでご覧になることが出来ますが、そこで、透析液の清浄化が達成されているかどうかを判断するための、エンドトキシン濃度及び細菌検査の結果が公表されています。

透析学会によると、調査した施設の87.7%でエンドトキシン測定が行われているが、頻度としては、年1回から数回の施設が半数以上であり、学会で推奨する月1回以上の測定は、依然として33.2%の施設で行われているのみとなっています。

さらに、細菌検査は45.4%の施設が行っておらず、学会で推奨する月1回 以上の検査は、20.8%で行われているのみとなっています。

透析液をきれいにすれば、それだけで患者さんは元気になります。
透析はやればいいだけではありません。
しっかり清浄化された透析液を使用する必要があります。
さらに、本当にきれいになっているかを確認する必要もあります。

先生のお話では、もっと多くの施設に透析液清浄化に対し関心を持ってもらい、より多くの施設が、エンドトキシンや細菌検査を行ってほしいとおっしゃっていました。

2009.07.29
診療
研究
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新しいタイプの前立腺肥大症薬

6月にこのブログで、秋頃に、男性ホルモンを働きにくくすることで前立腺の肥大を改善する新しいタイプの薬が出ることを記事としました。

今回、正式に「アボルブ0.5mg」(一般名=デュタステリド)と言う薬が承認されました。

前立腺自体の大きさを減少させることで、排尿困難を軽減させ、尿流を改善させる作用があります。

この薬は、テストステロンをジヒドロテストステロンへ変換する酵素である5‐α還元酵素のタイプ1とタイプ2の両方を抑制する薬です。
実は、5‐α還元酵素タイプ2のみを抑制するのが育毛剤として有名なプロベシアです。

本当はプロベシアも前立腺肥大症の薬として開発されたのですが、効果が弱く、そして別に育毛剤としての効果があることが分かり、現在は育毛剤として販売されています。
だから、今回のアボルブも同様の効果があるようです。

従来、前立腺肥大症の薬として抗アンドロゲン薬と言う薬が用いられてきましたが、性機能の低下や前立腺がんをマスクする可能性があり、最近ではあまり使用されていません。

また、前立腺がんの発症のリスクを減らす作用があることも、最近の研究で分かってきている様です。

2009.07.28
生活 / くらし
その他(一般)

久しぶりの甲子園

先週の土曜日、全国高校野球福島県大会決勝で聖光学院が勝利した試合を見ていました。

今日の午後はとても暇ですることが無く、そういえば自分の出身高校のある群馬県はどうなったかとネットを見たのですが、なんと、母校である東京農大二高が本日甲子園出場を決めていました。
15年ぶりだそうです。


上毛新聞より

20年前は、甲子園の常連で、僕自身も甲子園まで応援に行ったことも有るのですが、その後はいつも途中で負けてしまっており、残念に思っていました。

久しぶりの甲子園出場、おめでとうございます。
今年は、甲子園でダイコン踊りが見られそうです。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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