東北腎不全研究会に参加してきました。
昨日、本日と、第36回東北腎不全研究会に参加してきました。
東北6県と新潟県の透析施設が集まって、年1回行っている研究会です。
今回は仙台で行われたため、第76回北海道透析療法学会との合同学術集会でした。
北海道の透析の透析レベルはとても高く、素晴らしい成績を発表している施設がいくつも有りました。
東北も負けてはいられないと感じました。
当院のホームページでも紹介している山形県の矢吹病院がも素晴らしい発表を出していました。
当院もレベルの高い透析を行いたいと言う気持ちが高まった学会でした。
また、『しっかり透析』の仙台社会保険病院、鈴木一之先生が、
〝血流量をもっと上げよう~日本透析医学会の統計調査結果の解析から〟
と、
〝透析時間をもっと延ばそう~日本透析医学会の統計調査結果の解析から2 〟
と、発表をしていました。
しっかり透析についての発表を続けて聞くことが出来ましたので、これからの診療に役立てて行きたいと考えています。
展示場では、インフルエンザの患者さんの透析を行うクリーンブースが展示されていました。
ブース内は陰圧になっているため、患者さんが排出したウイルスはフィルターを通り外部に出て、外部にウイルスが出ない仕組みだそうです。
枕元に有るのは、換えのフィルターだと思います。
その上の方に、ファン付きのフィルターがあります。ブース内の空気はそのフィルターを通ってブース外に出る仕組みです。
懇親会も盛大で、懇親会後は米沢の某大先輩に連れられ、久しぶりに天下一品ラーメンを体験しました。
お酒を飲んだ後のラーメンにしては重すぎる一品でした。
僕は、ハーフラーメン、これは大学の先輩が頼んだあっさりラーメンです。
透析者の栄養障害
透析は、長期間の体力勝負です。
短時間透析などの〝足りない〟透析を行っていると、リンなどのデータが簡単に悪くなります。
この状態でデータを悪くしないようにするには、食事制限を厳重にする=食事量を減らすと言うことになります。
そうすると、どんどん痩せていくのです。
だから、〝しっかり透析〟を行って、食事はたくさん食べる事が大切なのです。
でも、全ての患者さんが十分な食事が取れる訳ではありません。
糖尿病による消化管の障害などで、消化吸収の障害がある方では、なかなか十分な栄養摂取が難しいです。
この場合は、安易に透析時間を短くしたり、膜を変えたりして透析量を落とすことは勧められません。
透析中に高カロリー輸液+腎不全用アミノ酸製剤を点滴するIDPN(intradialytic parenteral nutrition) と言う方法が良いと言われています。
この方法は、
①蛋白あるいはエネルギーの栄養不良の証拠がある場合、あるいは食事中の蛋白あるいはエネルギー摂取不良の証拠が有る場合
②食事としてのサプリメントやチューブ補給などの経口栄養に耐えられない場合
③経口あるいは経腸栄養とIDPNの組み合わせが個人の栄養の必要性に合致する場合
の3つの基準を満たす時に推奨されています。
一般的には、
50%ブドウ糖 200 mL あるいは70%ブドウ糖 350 mL
+キドミン 200 mL あるいは ネオアミユー 200 mL
を点滴しますので、400-1000kcalくらいのエネルギー摂取とアミノ酸の摂取が出来ます。
経鼻チューブなどを必要とせず、透析中に透析のラインにつないで点滴するだけなので、そのための手間が要らないことがメリットです。
しかし、IDPNだけでは1日の必要エネルギーを満たす事が出来ないこと、経口摂取を増やす動機づけにならないこと、そしてブドウ糖や糖尿病の時に付加するインスリンを請求できないなどの経済的な難点も有ります。
透析者の栄養状態を改善することはとても大切です。
IDPNが保険で認められることを期待します。
糖尿病療養指導士会講習会
昨日、2009年第3回糖尿病療養指導士会講習会に参加してきました。
以前も書きましたが、6、7,8月の最終日曜日に一日かけて講習会を受けます。
糖尿病の勉強ってこんなに奥が深いんだというのが、実感でした。
でも、みっちり毎回5時間の講義は疲れました。
10月には、福島県の糖尿病療養指導士の試験が有るのですが、まあ今回は講習だけで十分と考えていました。
でも、帰りに知り合いの講師の先生方に、『必ず試験を受けるように』と声をかけられてしまいましたので、もう少し勉強しなければいけないかもしれません。
インフルエンザ対策のお知らせ
連日、新型インフルエンザのニュースが盛んに報道されており、かなり蔓延した状態になっている様です。
当院でも、重症化しやすいと言われる腎臓病の方が治療を受けられています。
透析の患者様は、院内に入るとすぐに透析入り口から2階の透析室に向かうことになりますが、レントゲンや検査を受けるために1階で待っていただくこともあります。
そのため、発熱のある方、咳や喉の痛みなどのインフルエンザが疑われるような症状のある方は、入り口にあるブザーで職員をお呼びください。
マスクをかけていただき、職員が誘導いたします。
よろしくお願いいたします。
夜間頻尿について
今回から、少し夜間頻尿について書いてみます。
夜間頻尿の定義ですが、夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴えを言います。
一般的には、ご高齢の方では夜間1回くらいは起きるので、2回以上の訴えの方が多いです。
頻度は、高齢者で40−80%くらいなのですが、若年者でも10−30%の方が訴えています。
では、夜間頻尿の何が問題であるかということですが、不眠を一番に考えるかと思いますが、高齢者においては夜間トイレに行くことで転倒、骨折を起こす場合があり、このことはとても問題だと言われています。
以前、夜間頻尿と骨折との関連についての報告が有りました。
2回以上の夜間頻尿の高齢者では、3年間での骨折のリスクが、1回以下の方の2.63倍に上昇する結果でした。
しかも、夜間頻尿が2回以上の高齢者で有意に死亡率が高かったことも報告されています。
これまで、『脳梗塞や心筋梗塞は夜間に多いので、その予防の為に寝る前にコップ一杯の水を飲みなさい。』という生活指導が、当然のことのようにされていました。
しかし、最近では、急性心筋梗塞、心臓虚血、心臓突然死の発症時刻の報告が相次いで行われています。
これらの報告では、ほぼ例外なく早朝に多発することが明らかになっています。
国際的な大規模研究ISIS-2では、午前6時から午後11までにピークがあると言わており、他の3000例の研究でも、午前9時における発症が午後11時の約3倍の発症リスクであると報告されています。
また、脳卒中についても、脳梗塞患者1137例の研究で、午後8時から正午までの時刻の頻度が最も高く、深夜から午前6時までが最も少なかったと報告されています。
原因としては、夜間高血圧と血小板凝集能が午前中に亢進しやすいことなどが有るようです。
寝る間は夜間頻尿を防ぐために水分を控え、目が覚めたらゆっくり床から離れ、しっかり水分を取ることが大切です。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。