2009.09.15
診療
研究
その他(医療関連)

夜間頻尿の原因3

今回は、高血圧と夜間頻尿の関係について書きたいと思います。

加齢と共に高血圧、高カテコラミン血症となる事はよく知られています。
日中のカテコラミン高値の状態では、腎血流量が低下して昼間の尿量が減少します。そして、夜間にカテコラミン分泌が低下すると、腎血管抵抗の低下が起こり、腎臓への血液が増え夜間多尿となり夜間頻尿を起こします。

さらにカテコラミンは、脊髄の排尿反射求心路を刺激して尿意を起こす物質です。
また、カテコラミン高値では、尿道や前立腺に作用し尿道平滑筋を緊張させ尿道抵抗が増加します。
この状態では、膀胱は尿道抵抗に負けない力で排尿を起こしますので、過敏な膀胱となり頻尿になります。

睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸後に息を吸い込むときに静脈の血液が大量に心臓に戻る事によって利尿状態が生じ、夜間多尿を起こします。
睡眠障害があると睡眠物質のメラトニンが低下して、浅い眠りになるため少しの刺激で尿意が起こり、夜間頻尿となります。

この様に、高血圧や睡眠時無呼吸症候群などの一見夜間頻尿と関係ないような病気が夜間頻尿の原因となっているのです。

2009.09.15
診療
開業 / 病院経営
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透析送迎サービス開始のお知らせ。

援腎会すずきクリニックでは、10月より透析送迎サービスを実施することになりました。

当院は、市街地より外れており、自家用車で来院される以外の患者様には、ご不便をかけておりました。
そのため、週3回の透析患者様を対象とした透析送迎サービスを開始することといたしました。

送迎対象患者様は、ご自分で乗降可能な方に限ります。
送迎は巡回バスによるルート送迎となります。

送迎範囲は、郡山市内ですが、送迎していない地域も有りますので、ご希望の方がいらっしゃいましたら、お電話で問い合わせください。

2009.09.13
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夜間頻尿の原因2

まずは、夜間頻尿の原因となる泌尿器科疾患についてです。
いくつかの病気が書いてありますが、この中で最近注目されている疾患が過活動膀胱(overactive bladder;OAB)です。

以前も数回記事にしていますが、再度記載したいと思います。

過活動膀胱の症状は3つです。

1. 尿意切迫感〜急にトイレに行きたくなり、我慢することが難しい。
2. 頻尿(夜間頻尿)〜日中8回以上トイレに行き、夜間も1回以上尿意で起きる
3. 切迫性尿失禁(尿漏れ)〜尿意切迫感が強く、トイレまで我慢できずに尿が漏れてしまう。

これらの症状のうち、尿意切迫感だけでも、過活動膀胱と診断されます。

最近の調査では、日本の40歳以上男女の8人に1人が、過活動膀胱の症状を持っていることが分かっており、高齢になるほど頻度も高くなると言われています。
夜間頻尿を訴える方でお年寄りが多いのはこのためかと思います。

過活動膀胱の治療法は、抗コリン剤と言う薬の内服が非常によく効きます。しかし、「口の乾き」「便秘」などの副作用が有ります。また、前立腺肥大症の方に安易に抗コリン薬を処方すると尿が出にくくなりますので、処方には注意が必要です。

また、膀胱訓練や骨盤底筋を鍛える骨盤底筋体操などの運動療法も有効です。
過活動膀胱の治療で簡単に誰でも出来るのが、膀胱訓練です。

方法は、
尿意を我慢する練習を、短い時間から始めて、少しずつ時間を延ばしていきます。

・トイレへ行くのを1回だけ我慢してみましょう。

・最初は5分くらい我慢し、1週間ほど続けます。尿意を感じるたびにではなく、1日のうちの時間や回数を決めて、少しずつ始めてもいいのです。

・10分、15分と、我慢する時間をだんだん延ばしていきます。

・最終的に2~3時間我慢できるようなる事を目指します。

実は、僕も以前より過活動膀胱の症状があり、頻尿で急におしっこがしたくなることがよくありました。
でも、以前つとめていた太田西ノ内病院の外来は大変混雑しており、なかなかトイレに行けない状態でした。
そのため、トイレに行くのを我慢することが多くなっていたところ、自然に尿意切迫感はよくなっていました。

これは、必要に迫られてやった膀胱訓練と言うことになります。
このように、膀胱訓練は今すぐ出来る治療法ですので、一番お勧めの治療法だと思います。

さらには、低周波治療器を使って骨盤底筋の収縮力を強化する治療法もあり、健康保険が適応されています。

この治療法は、口渇などの副作用で抗コリン剤が使えない方や、抗コリン剤だけでは効果が不十分な方に対して有効な方法です。

当院にもウロマスターという低周波治療器があり、定期的に治療を受けている患者さんが多数いらっしゃいます。

2009.09.13
診療
研究
その他(医療関連)

夜間頻尿の原因1

夜間頻尿の原因となる病気としては、泌尿器科的な病気、多尿、夜間多尿、泌尿器科の病気以外の原因で起こる蓄尿障害に分けられます。
ただし、高齢者では、原因は1つだけではなく、様々な要因が入り交じっている事が多いです。

泌尿器科の病気としては、慢性膀胱炎、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、前立腺肥大症、尿道狭窄、過活動膀胱や萎縮膀胱などが原因で起こる蓄尿障害(尿が貯められない状態)で起こります。

通常、成人で500-600ml程度の量が貯められると言われています。上記の様な病気が原因で十分に尿が貯められないようになると、寝ている間に排尿のために起きなければならなくなると言うことです。

そして、500-600ml以上の尿量が夜間産生されてしまい夜間の排尿をしなければならなくなるのが、②多尿と③夜間多尿となります。

多尿は、24時間尿量が体重あたり40ml/kg以上の状態です。
60kgの方では、1日尿量が2.4リットルとなると書くと分かりやすいでしょうか。
水分摂取過剰、糖尿病、尿崩症などの場合に見られます。

そして、夜間多尿は夜間尿量/24時間尿量>33%(若年者20%)の場合を言います。
なぜ、33%かと言うと、睡眠時間を8時間としているからです。
つまり夜間多尿は、寝ている8時間の間に、一日尿量の1/3の尿量が排泄されることを言うのです。
原因としては、入眠前の水分摂取過剰、高血圧、睡眠時無呼吸症候群などが有ります。

最後に、夜間の膀胱容量低下が低下する為に起こる夜間頻尿があり、これは通常夜間の方が日中よりも尿が貯められるはずなのに、夜間貯められなくなってしまう場合を言い、原因として夜間高血圧や睡眠障害などが上げられます。

2009.09.13
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生活 / くらし

夜間頻尿について

8月27日に夜間頻尿について記事を書き始める予定でしたが、ずいぶん間が空いてしまいました。
今回から数回に分けて書いてみたいと思います。

その定義ですが、
夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴えの事を言います。
実際、現実的には夜間2回以上の排尿で目が覚める事を訴えとする方が多いです。

それでは、どのくらいの頻度で見られるかですが、若年者で10−30%、高齢者では40−80%の方が夜間排尿で1回以上目が覚めるようです。

このことで何が問題かですが、
やはり、せっかく寝ているのに排尿の為に起きなければならないと言う事が一番の苦痛ですね。
夜間頻尿が頻回に起こると、日中眠ってしまい、昼夜逆転なんて事も起こってしまいます。
そして、高齢者では、夜間くらい中を排尿のためにトイレに行くことは、転倒して骨折することで、寝たきりになるなど、生命予後を悪くするとも言われています。

実際に、米国で70歳以上の住人788名を対象として行った研究で、夜間に排尿のために2回以上起きる必要がある患者患者は、死亡のリスクが有意に高い可能性があると言う結果が出ています。

それでは、どの様な原因で起こるのかを次回より書いてみたいと思います。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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