高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討4
この様に高透析量・大量置換オンラインHDFを行ったことで、栄養状態はどの様に変化したかです。
栄養状態としてAlb、ドライウェイト、GNRIを調査しました。
Albは
上昇もせず、低下もしませんでした。
個々のデータでは、多くの方が、高い人は高いままに、低い人は低いままに変化しない傾向でした。
一部の方では2.8→4.2と上昇した方もいましたが、逆に下がってしまった方もいらっしゃいました。
ドライウェイトですが、
ドライウェイトは、8ヵ月目から有意差が付き、9ヵ月目以降でさらに上昇しています。
これは、当院に転院した時点では、水分貯留傾向があり、数ヶ月後に溢水が改善され、その後ドライウエイトがきつくなって上げる様になっていくからだと思います。
GNRIは、
アルブミンは横ばいですが、体重が上場したため、9・10ヵ月目くらいからは上昇している傾向が有りますのが、有意差は付きませんでした。
高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討3
結果です。
透析量としてKT/Vは
オンラインHDFを開始した時点から血流は徐々に上げていきます。
おおよそ4・5ヵ月かけて200ml/min以下の状態から300ml/minくらいまで上げていきますので、KT/Vも1ヵ月目から5ヵ月目まで上昇していって、その後は横ばいになっているのかもしれません。
オンラインHDFにすると、当院で使用している東レ社の装置では、補液量を上げるとその分透析液流量が減ってしまい、尿素窒素やCrなどの小分子の除去率が下がるのではないかと考えていたのですが、血流を上げていることもあって、どんどん上がってくれました。
これまでにも何回も書いていますが、この様に透析効率を上げることで、多くの患者さんが体調がよくなり、食欲も増し、元気になってくれると考えております。
高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討2
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調査対象とした患者さんは、当院転院後オンラインHDFを開始 して10ヵ月以上経過した16名です。
性別は、男性が多く、年齢は、平均63.5歳と全国平均と変わらないのですが、当院では原疾患が糖尿病の方が多く、62.5%の方が糖尿病による腎不全でした。
透析導入後当院に紹介となり転院してくる方が多いので、透析歴は平均で4年弱でしたが、10年以上の方もいらっしゃいます。
透析時間は、オンラインHDF開始直前が3.97時間で、10ヶ月後には4.43時間となっています。
3時間や3.5時間透析は導入して間もない頃には行いますが、数ヶ月後には少なくとも4時間の透析をする必要があります。
オンラインHDFを開始する時点で、5時間透析の方は1名でしたが、10ヶ月後には7名に増え、4.5時間の方も1名から5名に増加しています。
この差は非常に大きいと思っています。
血流も10ヶ月後には、233ml/minから289ml/minまで増加しています。
今回評価した項目は、
透析量としてKT/V
栄養状態としてAlb、ドライウェイト、GNRI
を用いました。
GNRI につきましては、これまでも書きましたが高齢者を対象とした栄養スクリーニング評価です。
体重とアルブミンだけで算出出来ますので、全体の中で栄養状態が悪化している可能性がある人をピックアップするためには有用です。
次回は結果について書きたいと思います。
もしかして、グルメになったらごめんなさい。
高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討1
昨日日曜日に、家族みんなで映画を見に行きました。
『カールじいさんの空飛ぶ家』です。
郡山テアトルに開始40分前に行ったのですが、もうすでに長蛇の列となっていました。
でも、とても感動的な映画でした。
いつも仮面ライダーとかばかり見に来ていましたが、これからはこういう映画も見に来たいねと話して帰りました。
さて、
昨年末の福島腎不全研究会で演題を2題発表したことを書きました。
一つは記事としましたが、もう一つをまだ書いていませんでしたので、今回からもう一つの演題である、
『高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討』
について記事にしたいと思います。
研究の目的です。
援腎会すずきクリニックでは、以下の治療方針で透析治療を行っています。
透析液の清浄化
透析時間の延長(5時間透析を目指す)
血流量の増加(可能な場合は300ml/分)
オンライン前希釈血液濾過透析(12リットル/hr)
これまでも書いていますが、これらのことを行うことで透析量を増加させ、透析者の生命予後改善を目指しています。
ところが、高透析量の透析を行うことは、栄養状態を悪化させてしまい、生命予後を悪くする恐れがあるとも指摘されています。
当院で行っている高透析量のオンラインHDFが栄養状態を悪化させていないかについて検討しました。
今日はちょっと性病の話
援腎会すずきクリニックは泌尿器科ですので、性行為を介して感染する性感染症(STD)で受診する患者さんも時々いらっしゃいます。
男性STDの80%以上が尿道炎で、その大部分がクラミジア尿道炎か淋菌性尿道炎となります。
しかも、両方とも同時にかかる場合もあります。
淋菌性尿道炎は、性行為後4日前後で発症することが多く、排尿時痛と黄色い膿が出てきたという訴えで受診される方が多いです。
尿検査を行うと、白血球が増加し、球菌が確認されます。
1回の性交渉で感染する可能性は30%くらいだそうです。
クラミジア尿道炎は、性行為後10日から2週間後に発症することが多く、排尿時痛などの症状は弱く、尿道分泌物は水っぽく少量です。淋菌性尿道炎と同様に検尿で白血球が増加します。
クラミジアの場合は、感染しても自覚症状に乏しく、80%が無症状と言われており、無症状の感染者が感染源となって感染が拡大しています。
クラミジア感染患者の大部分が10代から20代の若者だと言われており、本邦の高校生での感染率は11.4%で欧米よりも高率になっていると報告されています。
クラミジア及び淋菌感染が持続していると難治性不妊症が起こる可能性がありますので、少しでも症状があり可能性が考えられる場合は、泌尿器科を受診してきちんと検査を受けた方が良いでしょう。
検査方法は、以前は尿道に綿棒を挿入し尿道分泌物を採取して検査を行っていましたが、現在では初尿で検査が可能となっています。尿検査だけで分かりますので、心配されないようにしてください。
ただ、パートナーが感染しているときに保菌者かどうか調べる場合は、尿道分泌物を採取する必要がありますので、ご了承下さい。
検査で陽性の場合は、適切な抗生物質を飲むことで完治可能です。
多少の症状なら我慢してしまおうと考えず、きちんと泌尿器科を受診することをお勧めいたします。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。