2010.01.17
診療
研究

高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討5

考察です。

透析者の治療困難な合併症の一つに筋肉量の減少、るい痩があります。
治療を続けていくことで痩せて言ってしまう患者さんをこれまでにもたくさん見てきました。

最近、HDFを行うと、レプチンの除去が増加し、食欲が増し、ドライウエイトが増加することが報告されてきています。

今回知りたかったし、注目していたのは、大量置換オンラインHDFでは、アルブミンが大量に除去されてしまうためアルブミンが低下してしまうと言われているのは本当かと言うことでしたが、実際にはアルブミンの低下は認めませんでした。

アルブミンと結合している毒素もたくさんあるので、有る程度のアルブミンも除去した方が良いと言うことも、最近耳にします。
ですので、アルブミン値が下がらなく、しかも生体と同じようにある程度のアルブミン除去が出来ていることは大量置換オンラインHDFが優れている治療法だと言えます。

ところで、今月、当院でもとうとうIn-bodyを購入いたしました。
In-bodyを使用することで、高透析量・大量置換オンラインHDFによるの筋肉量の変化も検討できるようになりました。
今後調査して報告したいと考えています。

そして、とても大切なことです。
今回は検討しませんでしたが、高齢者では、栄養摂取不良から低栄養となる可能性があります。
高透析量・大量置換オンラインHDFを高齢者に行うと栄養状態が悪くなってしまう可能性があります。
でも、高齢者でも良くなっている方もいますので、一概には言えませんが、栄養状態を注意深く見守る必要が有ります。

そのため、状態に合わせた透析を行うことや、積極的な栄養介入を行っていく必要が有ると考えています。

以前より、血流を上げることで高透析量の透析を行うと栄養状態が悪くなるので好ましくないと言う考え方が有ります。
しかし、オンラインHDFを併用していると言う事もありますが、高透析量の透析を行ってもアルブミンは下がらず、全体としては体重が増加し、GNRIも上がっていて栄養状態は良くなっているとの結論となりました。

僕の考えですが、

透析をやり過ぎるのは良くないと言う考え方は間違いです。
透析をどんどんやれば多くの方がとても調子が良くなります。
ただ、一部の食事摂取量が少ない方では痩せてしまう場合がありますので、注意深く栄養不良が起こっていないかを確認することも大切です。

2010.01.17
診療
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高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討4

この様に高透析量・大量置換オンラインHDFを行ったことで、栄養状態はどの様に変化したかです。

栄養状態としてAlb、ドライウェイト、GNRIを調査しました。

Albは

上昇もせず、低下もしませんでした。
個々のデータでは、多くの方が、高い人は高いままに、低い人は低いままに変化しない傾向でした。
一部の方では2.8→4.2と上昇した方もいましたが、逆に下がってしまった方もいらっしゃいました。

ドライウェイトですが、

ドライウェイトは、8ヵ月目から有意差が付き、9ヵ月目以降でさらに上昇しています。
これは、当院に転院した時点では、水分貯留傾向があり、数ヶ月後に溢水が改善され、その後ドライウエイトがきつくなって上げる様になっていくからだと思います。

GNRIは、

アルブミンは横ばいですが、体重が上場したため、9・10ヵ月目くらいからは上昇している傾向が有りますのが、有意差は付きませんでした。

2010.01.16
診療
研究
その他(医療関連)

高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討3

結果です。
透析量としてKT/Vは

オンラインHDFを開始した時点から血流は徐々に上げていきます。
おおよそ4・5ヵ月かけて200ml/min以下の状態から300ml/minくらいまで上げていきますので、KT/Vも1ヵ月目から5ヵ月目まで上昇していって、その後は横ばいになっているのかもしれません。

オンラインHDFにすると、当院で使用している東レ社の装置では、補液量を上げるとその分透析液流量が減ってしまい、尿素窒素やCrなどの小分子の除去率が下がるのではないかと考えていたのですが、血流を上げていることもあって、どんどん上がってくれました。

これまでにも何回も書いていますが、この様に透析効率を上げることで、多くの患者さんが体調がよくなり、食欲も増し、元気になってくれると考えております。

2010.01.13
診療
研究
その他(医療関連)

高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討2

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調査対象とした患者さんは、当院転院後オンラインHDFを開始 して10ヵ月以上経過した16名です。
性別は、男性が多く、年齢は、平均63.5歳と全国平均と変わらないのですが、当院では原疾患が糖尿病の方が多く、62.5%の方が糖尿病による腎不全でした。
透析導入後当院に紹介となり転院してくる方が多いので、透析歴は平均で4年弱でしたが、10年以上の方もいらっしゃいます。

透析時間は、オンラインHDF開始直前が3.97時間で、10ヶ月後には4.43時間となっています。
3時間や3.5時間透析は導入して間もない頃には行いますが、数ヶ月後には少なくとも4時間の透析をする必要があります。

オンラインHDFを開始する時点で、5時間透析の方は1名でしたが、10ヶ月後には7名に増え、4.5時間の方も1名から5名に増加しています。

この差は非常に大きいと思っています。
血流も10ヶ月後には、233ml/minから289ml/minまで増加しています。

今回評価した項目は、
透析量としてKT/V
栄養状態としてAlb、ドライウェイト、GNRI
を用いました。

GNRI につきましては、これまでも書きましたが高齢者を対象とした栄養スクリーニング評価です。
体重とアルブミンだけで算出出来ますので、全体の中で栄養状態が悪化している可能性がある人をピックアップするためには有用です。

次回は結果について書きたいと思います。

もしかして、グルメになったらごめんなさい。

2010.01.11
診療
研究
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趣味

高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討1

昨日日曜日に、家族みんなで映画を見に行きました。
『カールじいさんの空飛ぶ家』です。

郡山テアトルに開始40分前に行ったのですが、もうすでに長蛇の列となっていました。
でも、とても感動的な映画でした。

いつも仮面ライダーとかばかり見に来ていましたが、これからはこういう映画も見に来たいねと話して帰りました。

さて、
昨年末の福島腎不全研究会で演題を2題発表したことを書きました。
一つは記事としましたが、もう一つをまだ書いていませんでしたので、今回からもう一つの演題である、

『高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討』
について記事にしたいと思います。

研究の目的です。
援腎会すずきクリニックでは、以下の治療方針で透析治療を行っています。

透析液の清浄化
透析時間の延長(5時間透析を目指す)
血流量の増加(可能な場合は300ml/分)
オンライン前希釈血液濾過透析(12リットル/hr)

これまでも書いていますが、これらのことを行うことで透析量を増加させ、透析者の生命予後改善を目指しています。

ところが、高透析量の透析を行うことは、栄養状態を悪化させてしまい、生命予後を悪くする恐れがあるとも指摘されています。
 当院で行っている高透析量のオンラインHDFが栄養状態を悪化させていないかについて検討しました。

 

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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