第98回日本泌尿器科学会総会
4月27日から本日30日まで岩手県盛岡市で、第98回日本泌尿器科学会総会が行われています。
これまで、泌尿器科学会総会はウィークデーに行われていましたので、出席することは諦めていました。
でも、今回は祝日である29日を挟んだ開催となっていました。
そこで、患者様の協力の下、今週の透析を
月水金→月水土
火木土→火金日
に変更させていただき、学会出席させていただきました。
泌尿器科学会でも、透析に絡んだ講演や発表はありますが、今回は泌尿器科の最先端を学ぶという目的で行ってきました。
盛岡に到着したのが28日夕方でしたので、学会参加は実質29日のみでしたが、性機能障害診療 、前立腺癌再燃後の治療、蓄尿障害の最先端研究などの講演を聞いて勉強してきました。
もちろん、夜はこれまで一緒に研究してきた福島医科大学泌尿器科の仲間たちと楽しい時間を過ごしてきました。
本日からの診療に役立てたいと思います。
ホールシング
よく飲み会の帰りはミスタードーナッツを買って帰ります。
昨日のコマーシャルで、ホールシングというドーナッツが発売されたと宣伝されていました。
今日、たまたま買ってきてくれた方がいらっしゃいました。
森永ミルクキャラメルソースがドーナッツの生地に練り込まれているそうです。
美味しかったですよ。
本日発売と聞いて、ますます美味しく感じました。
透析者の虚血性心疾患3
透析者の虚血性心疾患のお話に戻ります。
糖尿病を持つ患者さんでは、冠動脈に病変がある方が多く、透析導入時にすでに58%の患者で冠動脈病変が認められるそうです。しかも、その冠動脈病変は、重症の2枝3枝病変が35%もあるとのことです。
糖尿病を持たない方でも39%の患者が冠動脈病変があるそうですが、2枝3枝病変は13%と比較的少ないようです。
透析導入時にこれだけ冠動脈病変が多くて、しかも除水過多によって透析後半に血圧が下がると透析中の無痛性心筋梗塞が多いというのは分かるような気がします。
スクリーニングとしては、心電図や心エコーなどになるのでしょうが、心エコーを常に行える施設は限られてしまいます。
透析中の血圧低下が時々見られる透析者の方では、機会が有ったときに総合病院や循環器内科で心エコーをしてもらうことをお勧めします。
心電図や心エコーで異常が有った場合には、
1.冠血管造影coronary angiography(CAG)
2.マルチスライスCTでのCT coronary angiography (CTCA)
3.薬剤負荷心筋血流シンチグラフィ
が有ります。
冠血管造影は、動脈にカテーテルを挿入し行う検査ですので、侵襲の有る検査と言えます。
そのため、最近では造影CTで冠動脈造影ができるCTCAを行う機会が増えてきている様です。
しかし、透析者の場合、全身の石灰化が進んでいることが多く、冠動脈が石灰化している場合には、病変が特定できないことが有るようです。
最近では、侵襲が少なく感度も一般人と比べ劣らない薬剤負荷心筋血流シンチグラフィが有用だと言われています。
ただし、シンチグラフィーは高額な検査ですので、透析導入する患者さん全てに行うことはできず、必要な方のみに行う検査であり、できる施設も限られています。
現状では、循環器専門医が必要と考えた場合に行うべき検査であると考えています。
以上、透析者の虚血性心疾患について書いてみました。
透析者の虚血性心疾患2
透析者に発症する心筋梗塞の症状で一番多いのは胸痛で44%ですが、実は心不全も42%もあるそうです。
しかも、心電図所見は半数が有意な所見無しなんだそうです。
そこら辺は、泌尿器科医ではなかなか知り得ないところかもしれません。
ある患者さんが、中2日の月曜日の朝方呼吸が苦しいとやって来ます。
肺は真っ白で心臓も大きく、心電図所見でも異常なしです。
もちろん、溢水による心不全として治療を行うことになります。
患者さんには、管理が悪いからこうなるのだと言って透析を回し除水をします。
そうして起こった心筋梗塞は見逃されてしまうのかもしれません。
実は、先日も透析後帰宅した患者さんから血圧が下がってとても具合が悪くなったと連絡がありました。
連絡が来たのが遅い時間であり、紹介されたばかりの方だったので、紹介してくれた病院を受診する様にお話ししました。
ただ、その時は体調が改善したようで病院は受診しません泥sた。
次の透析日に胸部レントゲンを撮影しましたところ、心臓が大きくなっていました。すぐに当院臨床検査技師に依頼し心臓超音波検査を行ったところ心臓の壁に動きが悪い部分があることが分かりました。
その後、病院の循環器科に紹介したところ、緊急で心臓カテーテル検査を行うことになりました。
たまたま、今回の講演を聞いた直後でしたので、注意していたところ起こったことですが、もしかしたらよく起こっていることなのかもしれません。
そう考えると恐ろしいです。
透析者の虚血性心疾患1
最近、日常生活の話題が多いこのブログです。 たまには透析のことを書きます。
先日、東邦大学医療センター大橋病院長谷弘記先生の「透析患者における心血管機能評価と予後」という講演を聞いてとても勉強になったことを書きました。
それで、いくつか調べましたのでまとめてみました。
透析学会の調査によると、昨年の死亡原因は心不全(24.0%)、感染症(20.0%)、不明(10.2%)、その他(9.9%)、悪性腫瘍(9.2%)、脳血管障害(8.6%)の順です。
心筋梗塞は4.2%で死因の9番目です。
日本人全体でみた死因は、第1位は悪性腫瘍、2位は心臓病、3位は脳卒中ですので、透析者では非常に心不全が多いことが分かります。
しかも、長谷先生の話では、心不全の原因のほとんどが虚血性心不全ないしは心筋症ではないかと言うのです。
米国では、虚血性心疾患による死亡率がとても高く41%もあるそうです。しかも心筋梗塞が9%であり、心不全は含まれていません。
つまり、日本では心不全と考えられているものが、米国では虚血性心疾患と判断されていると考えられます。
他にも、透析者の死因の約2割が心臓突然死で、その半数以上が目撃されずに死に至っていたという報告も最近ありました。
突然死の中にも虚血性心疾患が多く混ざっている可能性が指摘されています。
そして、透析者が虚血性心疾患(心筋梗塞+狭心症)を合併している割合は非常に高く、62.5%もあるそうです。 この中で無症状の方が30.2%もいらっしゃると言うことです。
次回に続きます。
プロフィール

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。