医師法違反
無資格でインスリン注射 箕面の社会福祉法人
産経新聞 9月18日(土)1時33分配信
大阪府箕面市の社会福祉法人「あかつき福祉会」が運営するケアホーム(共同生活介護施設)で、介護職員が糖尿病の入所者に対するインスリン注射などの医療行為を7年間にわたり無資格で行ってことが17日、分かった。大阪府は、無資格の医療行為を禁じた医師法や保健師助産師看護師法などに違反する可能性があるとして、近く施設を立ち入り調査する方針を固めた。
あかつき福祉会によると、少なくとも平成15年1月以降、同法人が運営する箕面市内の授産施設に勤務する介護職員が、I型糖尿病の男性入所者に対し、1日2回、インスリン注射を投与。男性には重度の行動障害があり、入所前は自宅で男性の家族がインスリン注射を行っていたという。
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医師法や厚生労働省通知では、医療行為を「不特定の人に対する行為」と解釈し、糖尿病患者に家族がインスリンを注射する場合は「不特定」にあたらないとして認める一方、ヘルパーなど介護職員については、医師や看護師の指示があっても医療行為はできないとしているそうです。
なぜ、医学的知識の無い家族にインスリン注射を認めて、ヘルパーなど介護職員などの専門知識を持つ人にインスリン注射を認めないのか疑問です。
このような重度の障害がある人で、インスリン注射をやる人がいないために施設に入れない状況が有ることを世の中に知って欲しいし、このような現状を見直すべきだと思います。
さらに、どうしてもやむ得ない状況で行ったことに罰を与える事があってはならないと思います。
EDと糖尿病の関係
生活習慣病の代表格である糖尿病について、凄いことが言われています。
糖尿病の方では、無痛性心筋梗塞の頻度が高いことが知られています。無痛性心筋梗塞が起こっている方の死亡率が高いことも知られています。
そして、糖尿病以外の病気がない患者さんを調べた結果、EDが有れば無痛性心筋梗塞がある確率が88.2%も有ったということが報告されています。
その結果から、糖尿病の患者さんのEDと言う症状は、無痛性心筋梗塞の予知マーカーとして重要であり,EDを治療する前に運動負荷心電図検査を行う必要があると指摘されています。
EDと生活習慣病2
実は、EDとなるリスクファクターと心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクファクターはかなり似ています。
虚血性心疾患とEDが関連する理由は、虚血性心疾患とEDのどちらも血管内皮障害を共通の危険因子としていると言うことが有ります。
そして、勃起自体が、血流動態に依存していること。
さらに動脈硬化性病変があることで、EDも虚血性心疾患も起こり安くなると言う事です。
ここら辺から重要な話になってきます。
陰茎動脈は細い血管です。そして、内皮障害は細いところから始まり、徐々に太い血管が障害されるようになります。
しかも、他の血管は広がっても15%程度しか広がらないのに対し、陰茎動脈波、勃起時には血管が80%拡張すると言われています。
つまり、変化が大きいので、障害がはっきり出やすいのです。
さらに、他の血管ではその血管が詰まると別の血管が太くなり代わりに血流を臓器に流してくれるのですが、陰茎動脈では、側副血行路がないため、障害があるとダイレクトに結果が出てしまうと言うことです。
このスライドを見ると、陰茎動脈の虚血で起こるEDという症状が実は、もっと恐ろしい病気が起こる前に生じる症状であるということが分かるかと思います。
EDと生活習慣病1
EDの話が飛んでしまっていたのですが、再開します。
EDと生活習慣病についてです。
肥満とEDの介入研究が有ります。
BMI30以上の肥満の方で、なおかつ国際勃起機能スコアで21点以下であるEDの患者さん110人を55人ずつに分けて、10%の体重減を目標とした介入群55名と非介入群55名に分けた研究です。
介入群55名は、毎日の食事内容を日記に書かせ、1年目は1700kcal、2年目は1900kcalと指示して、運動についても歩行の仕方を指導。そして月1回はグループ会で守られているかチェックした群です。
そうしたところ、2年後には、体重、BMI、血圧、血糖値、TC値、TGが有意に低下し、HDLが上昇して、さらに31%の患者さんでEDが改善したそうです。
しかし、パンフレットを用いて、運動、食事の一般的な注意を口頭で伝えた非介入群55名では、2年後の体重、BMI、血圧、血糖値、TC値、TG値に変化は見られず、EDも5%の人しか改善しなかったという報告です。
この論文では、肥満ED男性には、運動と食事に関して濃厚な専門的指導によって減量すると、勃起機能が回復して、さらに心血管疾患のリスクも下がると結論づけています。
長時間透析の長所と課題
全国の透析患者さんの会である全腎協の会報『ぜんじんきょう241号』で、『長時間透析の長所と課題 』と言う特集が載っていました。
芦屋坂井瑠実クリニックの坂井瑠実先生が書かれていました。
長時間透析は、週3回6時間以上、または週合計18時間以上の透析と長時間透析研究会で定義されるそうです。
長時間透析の利点としては、とにかく生存率が良いという事です。
透析期間の生存率の推移の比較というグラフが載っていました。
そこには、日本透析医学会平均と、週4回6.6.6.4時間の透析を行っているIクリニックと週3回6.6.6時間の透析を行っているM病院の生存率が書かれていました。
どちらも長時間透析を行っている有名な施設です。
グラフは許可が無いので載せられませんが、
おおよそ
5年生存率が
日本透析医学会平均 約60%
M病院 約80%
Iクリニック 約80%
10年生存率が
日本透析医学会平均 約40%
M病院 約60%
Iクリニック 約70%
20年生存率が
日本透析医学会平均 約20%
M病院 約35%
Iクリニック 約50%
と言うグラフでした。
それにしても、Iクリニックのにの生存率はすごいです。
20年で50%の生存率ですね。
今まで、二次性副甲状腺機能亢進症の治療はとか、合併症に対する治療はとかの話しは良くされていました。
でも、もっと大切な生存率を高くするにはどうすればいいかと言う話はあまりされてきていない様な気がします。
このような話がどんどん広まっていくと良いですね。
現在当院で長時間透析に当てはまる方は1名ですが、当院でも〝透析を沢山する〟と言うことをもっと広めていきたいと考えています。
ちなみに当院の治療方針は、
透析時間延長
血流を上げる
ろ過透析を行う
で透析診療を行っています。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。