2011.02.04
診療
研究

透析の考え方

現在、血液透析は「一回4時間×週三回、血流量200 ml/分」という透析が標準となっています。
この平均的な透析が、腎機能をどれだけ補っているでしょうか。

それは尿素の様に小さく抜けやすい毒素について、本来の腎機能の10%強程度と考えられます。しかし、尿素より大きな尿毒素を除去出来る能力はもっともっと低くなります。

そして、この平均的な透析を続けた治療成績は、5年生存率が60%程度、10年生存率が40%程度です。

患者さんの平均年齢が65歳とすれば、患者さんの4割の方は70歳にならずに亡くなられるという状況ですので十分な治療成績とはいえません。
5年生存率60%では、癌の治療成績に負けてしまいます。

さらに、長期予後が期待出来る若い方が、「二十年、三十年透析で元気に生きる」と言う事を考えれば、長期間貧弱な透析を続けた後で、「最初からもっと抜いておけばよかった。」と患者さんが思っても、体に蓄積した尿毒素はもう抜けませんし、傷んだ体は元に戻りません。
実際のデータをお見せします。

4時間透析に比べ、3時間透析はリスクが1.8倍、5時間透析で0.6倍です。
これは、1年間のリスクですので長期になれば相当なものです。

実際に、日本の平均と週3回6時間透析を行っている施設の差を示します。

日本の平均5年生存率と週3回6時間透析の10年生存率が変わらないのが分かるかと思います。

血流量も欧米に比べると日本では低くもっと上げてもいいのではと考えています。

米国では透析患者さんの予後が悪いと言うご意見も有りますが、それは3時間透析が主流だったり、ダイアライザーの使い回しをしていたり、透析をスキップする事が有ったりするからだと言われています。

もちろん、血流量や透析時間を掛け合わせた標準化透析量は少なくなればなるほど予後が良くなっています。

この様な考え方から、援腎会すずきクリニックでは、透析導入初期の段階よりしっかり透析を行って行くことが大切と考えて実践しています。

尿素より大きな毒素を抜く目的で、オンラインHDFやⅤ型ダイアライザーを用いて血流を300ml/min以上に上げ、時間を4.5〜5時間以上に延長しています。
さらには、週4回の頻回透析も希望する方に行っています。

実際に、このブログでもしっかり透析についての学会発表した内容をこれまで載せてきましたが、歴然とした治療成績の差が有ることが分かると思います。

ホームページの学会発表にも当院の治療成績が載ってますので、ご興味がある方はご覧になって下さい。

https://enjinkai.com/society/index.html

 

2011.02.04
診療
開業 / 病院経営

ピックアップブログに載りました。

最近、ブログの更新をさぼっていて、ちょっとネタ切れ気味なのですが、たまたまDoctorブログβを見たところ、このブログがピックアップブログに載っていました。

それならば、多くの方が見てくれる可能性が高いので、クリニックの透析に対する考えかたにつてい書いてみたいと思います。

以前も書きましたが、2年も経過していますので編集して再度掲載します。

なお、ピックアップブログにつきましては、ブログの先頭の部分にDoctorブログβと書かれたボタンが有ります。
ここを押していただけるとピックアップブログやブログの順位を見ることが出来ます。

現時点での月間ブログアクセスランキングは21位で、過去1ヶ月のアクセス数は62615回となっています。

2011.02.01
生活 / くらし
グルメ / お酒

WILD ROAST

クリニック近くを通るインター線を4号線方向に向かい、東邦銀行富田支店の手前道路を左に曲がりすぐ左側にWILD ROASTというローストチキンの持ち帰り専門店が昨年11月頃出来ました。

お店の中を除くと、ローストチキンを回転しながら焼いている姿を見る事が出来ます。
こんがり焼き上がった手作りローストチキンはやわらかく、とてもジューシーでした。

これは、ローストチキンを食べやすい様に切ってもらった物です。

コメントでも、あまり難しい話しばかり続くとご指摘が有りましたので記事としました。

インター線をもう少し進むと、以前もブログで紹介しましたフォンデュと言うパン屋さんが有ります。
こちらもお勧めです。

ここで売っている大きなお肉が入ったカレーパンが絶品ですが、今回の写真はまっくろくろすけです。
かわいいでしょ。

と言う事で、先日はWILD ROASTのチキンをフォンデュのパンで包んで食べて最高でした。
画像はないですが、美味しかったですよ。

2011.01.25
診療
研究

PDファースト

前回CAPDについて書きました。
今回は、ちょっと違った面について書いてみます。

腹膜透析(PD)は日本では透析患者さんの3.4%の方が行っている治療法です。
血液透析に比べ行っている方の人数はかなり少ないです。
全国的にはかなりの地域差があり、3年前の調査ですが、最も少ないのが佐賀県で0.6%、最も多いのが香川県で9.9%とかなりのばらつきがあります。
我が福島県は、4.9%で平均より高く、全国での普及率の順位は第9位で多い方です。

世界的に見ても日本での普及率は少ない方です。

オランダ  23.0% 
デンマーク 24.0%
英国    19.3%
米国    7.4%
韓国    21.3%
台湾    7.6%

実は、最も多いのが香港で、透析患者さんの81.3%が腹膜透析を受けています。
香港では国策でPDファーストが行われています。
腹膜透析が禁忌の患者さん以外で血液透析を希望する人には医療費還付を行わない方針です。

香港では、腹膜透析液の価格が安く、PDを選択することで透析治療費を安くしているということです。
日本では腹膜透析液が高額なため、血液透析よりPDの方が費用がかかっています。

でも、現在の日本では患者さんや診察している医師が、個々の患者さんに適した治療法を選択出来ています。
とても恵まれている状況だと思います。
我々医療者も患者さん達も、現在の恵まれた状況を続ける事が出来るように、真剣に向き合っていく必要が有りますね。

2011.01.24
診療
研究

日本透析学会総会の演題査読中

第56回(社)日本透析医学会学術集会・総会
一般演題筆頭演者 各位 

この度は、第56回(社)日本透析医学会学術集会・総会に
演題をご登録くださり、ありがとうございました。
現在、査読期間に入っており、採択につきましては査読終了後
ご連絡申し上げます。

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今年の6月に横浜で日本透析学会が開かれます。
巨大な学会で、演題数もとても多い学会です。
最近では、各演題の内容が詳しく載っている抄録集もとても厚くなって、毎年持って行くのが大変になっています。
と言うか、学会場で抄録集を持っている人自体が少なくなっている印象です。

それだけ演題数が多くなると、どうしてもレベルの低い発表も入ってきます。
今回、査読期間を設け、採用する演題を採択するという事ですので、レベルの高い学会となるのではないかと期待しています。

もっとも、僕の演題が採用されないかもしれませんが。。。

もう一つ、昨年の総会でビックリしたことが有りました。
それは、一つの会場では、長時間透析や頻回透析のセッションを行っていて、これらの透析についてたくさん議論されていいました。
しかし、途中で栄養のセクションに行ってみたら、どれだけ低たんぱく食にすれば透析の回数を減らすことが出来るかという話がされていました。
全く逆の話が両方ともあたかも当然のことの様に同じ学会の違う場所で同時に議論されている事についてとても違和感を感じました。

やはり、学会としてある程度の方向性を示してもらい、その上で議論する必要が有るのではと感じました。

今回の演題選別には期待を持っています。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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