2011.03.20
診療
研究
仕事 / 職場

放射線量について

放射線量についての講演のビデオをネットで見ました。
1時間くらいの内容です。
朝5時に目が覚めてしまい、その後3回見て内容をまとめました。

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放射線量の基準

現在の基準は、原子炉を通常に運営している時の基準
科学の進歩によりどんどん小さい値まで調べられるようになったため出てきた数値で、不測の事態の基準としてはどうか。

放射線影響を基準にした区分が必要

非常時なので、健康影響の無い上限・緊急作業時の線量の限度100mGyを基準にすると良いのでは。

ちなみに実際の健康被害は400mGy以上で生じる可能性がある
宇宙飛行士の線量限度は300mGyである
100mGy以下の放射線では、妊娠中の胎児にさえ影響がない
(Gy=Sv:グレイとシーベルトはほぼ同じもの)

全く問題が無い状態の何倍の数値であるかを考えるのではなく、健康被害が生じる可能性がある100mSvを基準として、どのくらい少ないかを考えた方が妥当である。

現在の評価は、
1時間当たりの線量 健康被害の評価 レベル区分
 1mSv/h       1/100    福島原発
0.1mSv/h       1/1000    避難区域
10μSv/h       1/10000    福島県内
0.2μSv/h       1/500000   県外

メディアは通常の100倍の危険と言うが、健康被害が生じる基準から考えると郡山の放射線量は基準の1万分の1である。

冷静に考えて下さい。

また、放射線の影響として長崎原爆で考えると、放射線量は距離の2乗に反比例するするから、
爆心地から1.5kmでは1グレイの放射線も、3.5km離れると1ミリシーベルトになっており、5km離れた場合の放射性被爆はほとんど無いと言われています。

最悪の場合が起こっても、現在の退避範囲は妥当であり、それ以外の場所に放射線の直接被害は無いです。
退避範囲は、何か起こってもこの範囲に入らなければ大丈夫という範囲として設定されています。
放射線被曝と甲状腺癌発生リスクですが、

対象         線量      服用基準
5才未満       50mGy
10〜19才未満   300mGy
20〜40才未満   1000mGy    100mGy
40才以上 影響なし

となっています。

安定要素の服用レベルは100mGy(妊婦・授乳中・小児50mGy)で、40才以上は飲んでも意味が無いそうです。
ただし、ヨウ化カリウムを妊婦・授乳中・小児に投与する場合は核医学学会の意見も参考にした方が良い

投与時期
ブロック率が高ければ高いほど甲状腺癌の発生リスクが下がると言われています。

被爆24時間前で93%ブロック
被爆後2時間までなら80%ブロック
被爆8時間後だと40%ブロック

いわきや三春では、混乱の中で配布が行われ、すでに飲んでしまった方がたくさんいるようですが、全く無効であり、副作用の可能性もあるそうです。
投与時期は大切です。

http://lib-stream0.jichi.ac.jp/contents/all/201100000029.htm

2011.03.20
診療
生活 / くらし

核医学会の声明

現在、日本核医学会が

『被災者の皆様、とくにお子さんをお持ちの被災者の皆様へ』

と言う文面をホームページに載せています。

参考になると思いますので、ご紹介いたします。

http://www.jsnm.org/japanese/11-03-18

 

2011.03.20
診療
開業 / 病院経営
仕事 / 職場

行政の対応がお粗末です。

郡山市内は多くの店舗が店を閉めています。
ただ、飲食店の中でもお弁当を出していたり、やっている飲み屋さんも有ります。

昨日は、牛門という高級焼き肉屋さんのお弁当を食べました。
高そうなので行ったことなく、初めて行きました。
カルビ弁当が1000円でしたが、もちろん美味しかったです。
閉めているお店が多い中でありがたいことです。

ここ数日とても苦労したのがスタッフのガソリンです。
院長は、たまたま満タンだったので全く問題無しでしたが、多くの職員がガソリンが無くなり通勤出来なくなる不安をかかえていました。
遠方の職員やガソリンが少なかった職員が、連日の様にクリニックに泊まり込んでいました。

現在泌尿器科の診療は処方のみ行っています。
透析自体は僕が行わなくても出来るので、院長の仕事は行政に電話をかけてスタッフへのガソリンを分けて欲しいと訴える事でした。

医師会、保健所、県の災害対策本部、市の災害対策本部に何度も電話をかけました。
週の前半は通じないことが多く、何度電話をかけたか分かりません。
県立医科大学第三内科や日本透析医会にもお願いし行政に働きかけていただきました。

時々、他病院のスタッフから医療機関の職員だと入れてくれるガソリンスタンドがあるという情報が入りました。
週の後半は夜間透析がない分すこしは余裕が出来てましたので、そのような情報が入るとスタッフをスタンドに行かせました。
情報が入って早い段階だと入れてもらえますが、時間が経過すると入れてもらえませんでした。

この様なことを繰り返して、現在ではガソリンが危機的なスタッフはごく少数になりました。
これで、ガソリンについてはなんとかなりそうです。

でも、悔しいことがあります。
大学や医会から県に働きかけてもらいましたが、金曜日の午後に県の災害本部から電話がかかってきました。
やはりガソリンが入手出来ないという返事でした。

ところが、土曜日の出勤時に大渋滞を見つけたのです。
どうやら土曜日からガソリンの販売をはじめたスタンドがいくつか出てきていました。

良かったねと言われるかもしれませんが、当院では通常の倍の患者さんを受け入れています。
一時的には夜間透析もやっていました。
そんな、大行列に職員が並べる時間がある訳無いじゃないですか。

本当に行政には裏切られた感じでした。
我々の事を見捨てて、市民のガス抜きを優先させたんだなと思いました。
もしくは、行政が縦割りなので情報の共有が出来ていないのかなと感じました。
まあ、後者でしょうね。

今回は非常に落胆はし、腹立たしいのでブログに書きました。
でも、そんなこと気にしていられません。
目の前に僕らを頼ってくれる患者さんたちがいますので、職員一同頑張ります。

2011.03.19
診療
研究
仕事 / 職場

放射線障害について

本日夕方、郡山医師会で核医学を専門とする先生に来ていただき、ご講演してもらいました。

放射線についての正しい知識を身につけようということで、ちょっと書いてみます。
先ず用語です。

放射性物質:放射線を出す物質
放射能  :放射線を出す能力
電球にたとえると、放射性物質が電球で、放射線は光、放射能はワット数みたいなものと言っていました。
放射線の性質は光と同じで、放射線量は距離の2乗に反比例するするそうです。
1シーベルトは、10km離れると100マイクロシーベルト、20kmで25マイクロシーベルトまで減少します。

阿武隈山地も有りますので、実際に放射線が直接郡山に届くことは無いです。
原子炉は原爆にならない

原爆は、ウラン235を100%近く濃縮した燃料を使用しています。
→莫大なエネルギーが一瞬のうちに放出される

原子炉は適量のエネルギーが放出できるようにウラン235を3%程度に低濃縮しています。
さらに、反応をコントロールするために中性子を吸収する制御棒を使用していますので、原爆の様な爆発は起こらないそうです。
現在福島原発で確認されている放射性物質は、ヨード131が80%、ヨード132が20%であり、他の物質はなしだそうです。
緊急炉心停止が適切に行われた事から、それ以来核分裂が起こっていません。
そのため、中性子は出ていないそうです。

セシウムは検出されていませんが、もし出てもセシウムのキレート剤が全国から福島に集められています。

原子炉から大量のヨードが放出されても、60km離れた所にくるまでにかなり拡散されます。これは、風向きでも違ってきます。
雨が降ると落ちてくるので、状況によってはもっと遠くで落下する可能性もあります。

風に流されてくるくらいなので、時間的余裕は十分あると思われます。

ヨードが飛んできた場合の予防としては、ヨード製剤を飲むことですが、日本人は海の物をたくさん食べているので、あまり必要でないのではと言われています。

ただ、小児の甲状腺癌発生が減少したという報告もあり、40才未満の方は、飲んでおいても良いそうです。

しかし、ヨード製剤を飲むタイミングは難しく、被爆後6時間経過すると意味がなく、早すぎても駄目なのでタイミングが大切だそうです。

以上ですが、ポイントは、

放射線が郡山に届くことはない

原子炉は原爆にならないので、原爆の様な爆発は起こらない

爆発しても時間は十分ある

これらのことから、最も怖いのは風評被害のようです。

以上でした。

 

 

 

 

2011.03.19
仕事 / 職場
生活 / くらし

福島原発の放射能を理解する

http://ribf.riken.jp/~koji/jishin/zhen_zai.html

 

福島原発の放射能を理解すると言うpdfを見つけました。
福島原発がどのようなもので、どのような状況になっているか海外の専門家がスライドにして、日本人の専門家が訳したものです。

これを見ると、60km離れている郡山は比較的安全であると分かります。
参考にしてください。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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