2011.04.17
研究
仕事 / 職場

クリニックでの累積放射線量

レントゲン室を持つ医療機関は6ヵ月毎に放射線の漏洩検査を行うことが義務となっています。
レントゲン室の地下は無理ですが、4方向と上面で放射線が漏れていないか測定します。

たまたま、当院では3月がこの漏洩検査を行う月でした。
当院では、フイルムバッチをレントゲン室の周囲に貼って1ヶ月間の累積放射線量を測定して記録しています。

3月の結果が届きました。

当然ですが、レントゲン操作室や廊下壁やドアなど感度以下であり、全く放射線は漏れていません。
そんなことよりも、注目すべきは外壁の累積放射線量です。

1.6ミリシーベルトでした。

つまり、東北電力福島第一原発から漏れた放射線の累積量です。
室内にある隣の内視鏡室が0.2ミリシーベルトで、2階にある透析室が0.3ミリシーベルトです。

結果を見てそれほど高くないので安心しました。
クリニックは以前氾濫したことが有る逢瀬川の近くにあり、郡山市内でも比較的低い場所に位置しています。

にもかかわらずこの程度の値でしたし、しかも室内はずっと低いことがわかりました。
少しほっとした次第です。

そこで、oxonさんが作った可視化の図に当院の位置を載せてみました。

元図は

http://dl.dropbox.com/u/16653989/NuclPlants/school/can_col.png

となっています。

2011.04.16
生活 / くらし

逢瀬川の桜が咲いてきました。

今週月曜日から徒歩通勤を再開させたのですが、月曜日に大きな余震があり、再度車での通勤に切り替えていました。

本日は土曜日でしたので、いつもより30分ほど早く家を出て歩いてクリニックまで来ました。

途中、逢瀬川の橋を渡りますが、桜が5分咲きでした。

思い起こせば、昨年は満開の桜に雪が積もっていましたね。
今年は震災と原発事故に立ち向かいながらの桜見になりそうです。

開成山球場でも屋台が出始めているようです。
いつもの年と同じようにお花見が賑わうといいですね。

本格的なお花見は来週末かなと思いながら眺めていました。

2011.04.15
研究
仕事 / 職場

原発作業員の自己末梢血幹細胞採取 2

原子力安全委員会の主張は、原発の作業員の被ばく線量の上限基準は250ミリシーベルトであり、250ミリシーベルトの被ばくでは、造血幹細胞移植は不要であるというのが根拠としてあるようです。

その後のことですが、国立がんセンターが「被ばく線量が250ミリシーベルト以下での職場環境が保たれない場合は、自己の末梢血幹細胞を保存しておくこと」と言う提案を出してきました。

事故発生直後から、一部の作業員しか線量計を持つことが出来なかったと言う話を聞いています。
累積線量も測っていない、作業員の所属、氏名すらわからないままと言う状況もあるようで、厚労省もやっと今週になって原発作業員の被曝線量、データベース化を行うと言って来ています。

つまり、前提となる250ミリシーベルトと言う数値が確認出来ない状況です。
今回のことでは想定外という発言がよく聞こえます。
一生懸命頑張ってくれているのですから、不測の事態に対応出来る準備をすることは当然の事のように思います。

もちろん、自己末梢血幹細胞採取を行うことによる副作用もあります。
だから、十分にそのメリットとデメリットを説明し、作業員の方が希望すれば行うことは善意ではないかと思います。

http://lohasmedical.jp/news/2011/04/14170717.php

 

2011.04.15
研究
生活 / くらし

国立がん研究センターの見解と提案

今回の震災に関連する放射性物質について、国立がん研究センターの見解が出ています。

国立がん研究センターの見解と提案

1. 現時点の放射性物質による健康被害については、チェルノブイリ事故等のこれまでのエビデンスから、原子炉において作業を行っている方々を除けば、ほとんど問題がないといえる。

2. 現在、暫定的に定められている飲食物の摂取制限の指標については、十分すぎるほど安全といえるレベルである。

3. 放射性物質に汚染されたと考えられる飲食物については、放射性物質の半減期を考えれば、保存の方法を工夫すれば、十分に利用が可能である。

4. 放射線量については、定点でかつ定期的に測定し、放射性物質の種類(ヨウ素-131、セシウム-134等)を、定期的に発表を行うことで、国民の方々が安全であることを理解し、安心が得られると考えられる。

5. 今回の問題となっている原子炉について、当該原子炉から放射性物質が含まれるちり等が拡散しないよう、いち早くの対応をお願いしたい。

6. 被ばく線量が250ミリシーベルト以下での職場環境が保たれない場合は、自己の末梢血幹細胞を保存しておくことを提案する。

7. 今後、国立がん研究センターでは、長期にわたる放射線の発がんへの影響について、臨床面と研究面から注意深く追跡を行って参ります。

http://www.ncc.go.jp/jp/

発がん物質と発がんリスクも興味深いですね。

http://www.ncc.go.jp/jp/information/pdf/shiryo2.pdf

 

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放射線治療もたくさん行っている癌の専門家がこのように書いていますと、我々も安心しますね。

原発事故後、ネガティブな情報や風評被害が沢山あります。
僕も小さい子どもを持つ親ですので、時々とても心配になります。
だから、信頼出来る専門家がきちんとした情報を出してくれるととても安心します。

昨日は、東京電力が福島第1原発事故収束までどのくらいかかるのかという見通しを立ててくれました。
少し希望が出てきたような気がします。

2011.04.15
研究
仕事 / 職場

原発作業員の自己末梢血幹細胞採取 1


東京都の虎の門病院は3月29日、同院内で記者会見を開き、「原発作業員を守るため、希望される方に自分の造血幹細胞を早急に採取・保存しておける体制を整えた」と発表しました。

http://lohasmedical.jp/blog/2011/03/post_2413.php

 

作業員の方が突発的な事故で大量被爆を受けた場合に、造血機能に重大な障害が生じ、線量が多ければ命を落とす事になります。
治療としては、骨髄移療を行うことになりますが、他人の骨髄を移植するとGVHD(移植片対宿主病)という重い合併症が出てしまいます。
しかし、事前に自分の末梢血幹細胞を採取出来ればGVHDは起こらなくなるのです。

実は、我々泌尿器科医も精巣癌の治療で大量に抗がん剤を使う場合に末梢血幹細胞の採取を行ってきましたので、その有用性はよく知っています。

詳しくは下記ページをご覧になってください。

http://expres-info.net/acv/2011/03/autopbsch.html

 

ところが、内閣府の原子力安全委員会はその必要が無いと行っています。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110403/plc11040301310001-n1.htm

 

その理由として
(1)作業員にさらなる精神的、身体的負担をかける
(2)国際機関での合意がない
(3)十分な国民の理解が得られていない

と言うのです。
作業している場所が、被曝を前提とするほど危険な場所ではないと主張しているのです。

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 今回、安全委が造血幹細胞の事前採取を「不要」と判断したことについて、事前採取の必要性を訴えてきた野党若手議員は「被曝を前提とするほど危険な場所で作業していることになれば、国民の不安感や諸外国の不信感をあおることになりかねないという政治的配慮があるのではないか」との見方を示している。

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政治的配慮だとしたら、一生懸命頑張ってくれている多くが地元の方である原発労働者の事を全く考えていなく、がっかりしてしまいます。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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