透析クリニックが被災して 18
医療材料について、とある問屋さんから当時の状況をメールで教えていただきました。
ご本人の許可を頂いていますので、ここに紹介いたします。

会社にも寄りますが、週末に掛けて在庫が減り、週末に在庫発注した物が週明けに入荷というサイクルが一般的です。
まさに3/11は金曜日で在庫があまり無い状態でした。
運送会社のシステムダウン・ターミナルでの荷物の散乱などで、週末発注分がほとんど入荷しませんでした。
商品によっては在庫も尽きてしまいました。
交通の遮断と追い討ちを掛けるように原発の水素爆発。東北方面(岩手・宮城・福島)の運送会社がストップしてしまい、各メーカー毎の対応に委ねられました。
透析消耗品同様、一般治療材料(注射針・シリンジ・輸液セット)や吸引カテーテル・衛生材料(ガーゼ等)は毎日必要です。
主要メーカーに連絡を取り、メーカー単独でトラックをチャーターし各県のディーラーへ配送してもらえる事になりました。
他のメーカーも他社の動向をみて、チャーターを出してきました。それでも10tトラックが初めて来たのは震災から丁度一週間後の17日(木)でした。
医療材料メーカーのほとんどが東京・大阪に本社を置き、支店・営業所は仙台に置いていますが、配送センターは栃木や茨城が多いです。
メーカーによってはリスク分散と配送効率の観点から仙台を中心に東北に配置しています。
今回、○○社の仙台倉庫が被災し、物流がストップしてしまいましたが、トラックチャーターや営業が配送を行い一部規格変更は有りましたが、在庫を切らす事がありませんでした。

衛生材料は名古屋・大阪・三重から日本海ルートで青森から福島まで下りて来るコースでした。
ドライバーには「またお願いします」と声を掛けましたが、苦笑いしてました。
震災や高速などの交通機関の状況が明らかになるにつれ、また、ガソリン不足もあり、宅配は出来ませんが運送会社のターミナルでの持ち込み発送とターミナル止めで引取が可能になりました。
当社の営業車・配送車を緊急車両登録が出来たため、ガソリンは何とかなりました。
記憶では連休明けの22日か23日に浜通り以外の運送便が再開し、昨日までの状況が一変し、物流再開でここまで変わるのか。 と思い知らされました。
今回は首都圏のダメージが少なかった為、約2週間弱で物流が再開しましたが、もし首都圏が被災した場合を考えますと、おそらくもっと時間がかかり復旧の見通しが付かないと思うととても恐ろしくなります。
今回スピーディーだったメーカーは阪神淡路大震災の経験を教訓として行動してくれました。これを期にメーカー本社が被災した場合等ののストレステストを是非行って頂きたいと思います。
———————————————————————————
今回は医療材料の問屋さんの話ですが、薬品関連の問屋さんもとても頑張っていただき、とてもありがたかったです。
どうもありがとうございました。
スタッフ一同感謝いたします。
透析クリニックが被災して 17

当院のライフライン復旧経過です。
電気は、翌日200V電圧変電器を応急処理することで使用可能となりました。
水道は、翌日一時低水圧でしかも濁った水が流れてきましたが、その後改善しました。
かなり濁った水で、RO装置のプレフィルターが真っ黒となりました。
ガスは時間はかかりましたが、4日後には全て復旧しました。
ガスが復旧するまでの間、患者さんには寒い思いをさせてしまいました。

院内設備について教訓です。
鉄骨の建物は、地震時に揺れてしなることで地震の揺れを防ぐと言われています。
ですので、上に行けば行くほど揺れます。
鉄骨で揺れが強い施設では、貯水槽、変電器などの重要な構造物は出来るだけ地上に置くべきです。
そして、地震対策として透析室は1階に置く方がいいです。
ただ、東北腎不全研究会での発表で聞いた話ですが、
有る施設は1階は津波の被害に遭い、CTを含め医療機械の全てがやられてしまったそうです。
ただ、2階の透析室は津波の被害が無く次の日から透析可能だったそうです。
この話ですごいと思ったのは、この施設では非常用電源を屋上に置いたと言う事です。
周囲が津波の被害でひどい状態ですので、勿論電気も通っていません。
今回、通常は地上に置く非常用電源を屋上に設置したので、燃料を屋上まで持って行く労力は有ったが、電源を確保して透析を継続出来たという話でした。
設計士が通常は地上に置くと説明したが、院長先生がこの辺りは以前より津波にやられているので、屋上以外は譲れないと言う意見だったそうです。
結論としては、
その地域の特性や建物の構造を考えて透析室は設計すべきだと言う事です。
勉強になりましたが、当院はすでに作ってしまっているので参考に出来ませんが、このブログを見た方は参考にして下さい。
HDF研究会
9月3日(土)、9月4日(日)に横浜市で開催される第17回日本HDF研究会学術集会・総会参加してきます。
今回は、9月3日土曜日に第3会場で16:50から行われる一般演題③:性能評価①で、
O-3-01 「膜・透析方法の違いによるアルブミン漏出について」
を発表いたします。
発表内容ですが、以前よりオンラインHDFは栄養状態の改善に有用だと言われています。
また、矢吹病院の政金先生を中心にエバール膜やPMMA膜を使用することで栄養状態が改善されたという報告があります。
我々も、食事がたくさん食べられる方には前希釈で大量置換のオンラインHDFを行ってきました。
ただ、それではアルブミンやGNRIなどの栄養指標が下がってしまい、継続が難しい患者さんにはⅢ型やⅣ型のPMMA膜を使ったHDを選択してきました。
それならば、Ⅳ型のPMMA膜を使って前希釈でオンラインHDFを行うと言う方法もあるのではないかと考え、一昨年にトライアル的に行いました。
その結果を今回報告いたします。
HDF研究会に参加される先生方には、是非とも聞いて下さい。
よろしくお願いいたします。
被災地での長期処方

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新薬等の処方制限が期間限定ですが被災地で解除されるようです。
まだ連絡が来ていませんが、我々末端に情報が入るのは、来週14日くらいかもしれません。
原発から避難された患者さん達、着の身着のままで交通手段に困る方も多いようですので、朗報ではないかと思います。
追加です。
http://www.hospital.or.jp/pdf/14_20110906_01.pdf
東日本大震災に関連する診療報酬の取扱いについて
4.新薬に関する処方制限について
患者の周囲にあった保険医療機関が全て機能していない場合及び最寄りの医療機関までの交通手段の無い仮設住宅に入居した場合であってやむを得ない場合には、新薬につ いて14日を超えて処方しても差し支えない。
ただし、診療報酬明細書又は調剤報酬明 細書、処方せん、診療録及び薬歴簿に当該やむをえない事情を付記すること。
(適用は 9月12日から)
これを見るとかなり特定された条件のようです。
失礼しました。
HDF研究会に参加して 2
HDF研究会の報告 2 です。
いくつか印象に残った発表をご紹介いたします。
芦屋の坂井瑠実クリニックの喜田智幸先生のご発表で、頻回長時間透析のご発表がありました。
5時間から7時間の透析を週4-7回行っている患者さん達の報告です。
通常、週3回4時間の透析ですから、MAX週7回7時間透析はすごいですね。
勿論、在宅透析です。
在宅透析では回数の制限はございません。
7時間も夜間眠っている間の深夜透析です。
自分で回路を組んで、自己穿刺して寝ている間透析を行います。
在宅透析は全国で約200名くらいの方が行っている透析方法です。
十分な訓練の元で回路の組み立てとプライミングを行い、自己穿刺して在宅で透析を受ける方法です。
出来る方は限られますが、可能な方に取ってはとてもメリットがある治療法です。
残念ながら福島県で行っている施設はありません。
東北でも、山形県の矢吹病院のみとなります。
それで、今回の発表で何についてビックリしたのかというと、長時間頻回HDで血清アルブミンが上昇したと言うことです。
元々データ的にはアルブミン値が高い方に行っているのですが、さらに良くなったという結果を聞きました。
当院でも、可能な限り沢山の透析をしてもらうように努力しています。
身体の大きな方は、大きな膜を使い、5時間以上の透析で、血流も400ml/minくらいで行っています。
でも、そうすると少しアルブミンは低下するようです。
ただ、患者さん達はとても元気でもりもりご飯を食べます。
ガリガリに痩せていた方がふくよかになっていきます。
当院の患者さん達でゴルフ仲間も出来ているようです。
だから、透析量を増やすことでアルブミンが少し低下するのは当然と思っていました。
でも、さらにその上を行く透析を行うと、一般の方と同じようになっていくのだという事を知りました。
勿論、在宅でも膜を小さくしたり、血流を下げてはいないそうです。
お見それいたしました。
今後もさらに良い治療が提供できるように頑張ります。
それから、レストレスレッグ症候群(いわゆるむずむず足です。)に対して、β-2マイクログロブリンより大きなα-1マイクログロブリンを積極的に除去すると症状が改善するという発表が、橋本クリニックの櫻井健治先生を中心にありました。
α-1マイクログロブリンの除去量を35%以上とするとレストレスレッグ症候群の症状は消失するのだと言う話でした。
当院でも、α-1マイクログロブリンの除去量については一部の患者さんで測定した事はありますが、それほど重要視していませんでした。
早速、郡山に帰ってきて、全員でα-1マイクログロブリンの除去量を調べる事としました。
70人を透析前後で測定しますので、三菱化学メディエンスさんに大幅な値引きをお願いして来週測定してみます。
三菱化学メディエンスさま、ありがとうございました。
当院でも調べてみるとレストレスレッグ症候群の患者さんが数名いるようです。
とにかく症状が改善出来るように頑張ってみます。
以上、特に印象に残った2題をご紹介いたしました。
プロフィール

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。


