2011.09.11
診療
研究
仕事 / 職場

福島県常勤医師の増減状況

9月10日(土)の福島民友新聞に、福島県における常勤医師の増減状況が掲載されていました。

県の調査では、8月1日現在で45人の常勤医師が県外に流失しているそうです。
原発事故の被害が大きい相双地区では、58人の常勤医師が減少しています。

相双に次いで郡山市では16人の医師が減少していました。
相双地区から移ってきている先生方もいるにもかかわらず、16人の減少です。
福島に比べて明らかに減少しているのは、なぜでしょうか。

福島の医療環境は、たくさんの医療関係者の努力でなんとか現状維持していますが、今後は福島に来てくれる医師が減っていく恐れがあります。
来年度の臨床研修医が大きく定員割れする恐れがあります。

さらには、現在若い先生方でも妻子を県外に行かせ、単身で頑張っている先生もいますが、その先生方がいつまで頑張る事が出来るかわかりません。
でも、福島に来てくれる医師が減っていく状況で、出て行く事を責めるのはおかしな事です。

今後、福島県では、医師不足の状態が徐々に悪化していく可能性が有ります。

ここに東大の上昌広特任教授のグループが発表した福島の震災の影響シミュレーションが有ります。

震災が無い状態でも、現状では医療状況は決して良くありません。
25年後も変わらないです。

ここで、震災の影響を考慮したシミュレーションでは、医師数も労働時間も更に悪化してしまいます。

行政も医師会もメディアもその事に対して危機感が無いようです。
とても心配です。

 

2011.09.11
診療
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仕事 / 職場

透析クリニックが被災して 18

医療材料について、とある問屋さんから当時の状況をメールで教えていただきました。
ご本人の許可を頂いていますので、ここに紹介いたします。

会社にも寄りますが、週末に掛けて在庫が減り、週末に在庫発注した物が週明けに入荷というサイクルが一般的です。
まさに3/11は金曜日で在庫があまり無い状態でした。

運送会社のシステムダウン・ターミナルでの荷物の散乱などで、週末発注分がほとんど入荷しませんでした。
商品によっては在庫も尽きてしまいました。

交通の遮断と追い討ちを掛けるように原発の水素爆発。東北方面(岩手・宮城・福島)の運送会社がストップしてしまい、各メーカー毎の対応に委ねられました。
透析消耗品同様、一般治療材料(注射針・シリンジ・輸液セット)や吸引カテーテル・衛生材料(ガーゼ等)は毎日必要です。

主要メーカーに連絡を取り、メーカー単独でトラックをチャーターし各県のディーラーへ配送してもらえる事になりました。
他のメーカーも他社の動向をみて、チャーターを出してきました。それでも10tトラックが初めて来たのは震災から丁度一週間後の17日(木)でした。

医療材料メーカーのほとんどが東京・大阪に本社を置き、支店・営業所は仙台に置いていますが、配送センターは栃木や茨城が多いです。
メーカーによってはリスク分散と配送効率の観点から仙台を中心に東北に配置しています。
今回、○○社の仙台倉庫が被災し、物流がストップしてしまいましたが、トラックチャーターや営業が配送を行い一部規格変更は有りましたが、在庫を切らす事がありませんでした。

衛生材料は名古屋・大阪・三重から日本海ルートで青森から福島まで下りて来るコースでした。
ドライバーには「またお願いします」と声を掛けましたが、苦笑いしてました。

震災や高速などの交通機関の状況が明らかになるにつれ、また、ガソリン不足もあり、宅配は出来ませんが運送会社のターミナルでの持ち込み発送とターミナル止めで引取が可能になりました。

当社の営業車・配送車を緊急車両登録が出来たため、ガソリンは何とかなりました。
記憶では連休明けの22日か23日に浜通り以外の運送便が再開し、昨日までの状況が一変し、物流再開でここまで変わるのか。 と思い知らされました。

今回は首都圏のダメージが少なかった為、約2週間弱で物流が再開しましたが、もし首都圏が被災した場合を考えますと、おそらくもっと時間がかかり復旧の見通しが付かないと思うととても恐ろしくなります。

今回スピーディーだったメーカーは阪神淡路大震災の経験を教訓として行動してくれました。これを期にメーカー本社が被災した場合等ののストレステストを是非行って頂きたいと思います。

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今回は医療材料の問屋さんの話ですが、薬品関連の問屋さんもとても頑張っていただき、とてもありがたかったです。

どうもありがとうございました。
スタッフ一同感謝いたします。

2011.09.11
診療
仕事 / 職場

透析クリニックが被災して 17

当院のライフライン復旧経過です。

電気は、翌日200V電圧変電器を応急処理することで使用可能となりました。
水道は、翌日一時低水圧でしかも濁った水が流れてきましたが、その後改善しました。
かなり濁った水で、RO装置のプレフィルターが真っ黒となりました。

ガスは時間はかかりましたが、4日後には全て復旧しました。
ガスが復旧するまでの間、患者さんには寒い思いをさせてしまいました。

院内設備について教訓です。

鉄骨の建物は、地震時に揺れてしなることで地震の揺れを防ぐと言われています。
ですので、上に行けば行くほど揺れます。

鉄骨で揺れが強い施設では、貯水槽、変電器などの重要な構造物は出来るだけ地上に置くべきです。
そして、地震対策として透析室は1階に置く方がいいです。

ただ、東北腎不全研究会での発表で聞いた話ですが、
有る施設は1階は津波の被害に遭い、CTを含め医療機械の全てがやられてしまったそうです。
ただ、2階の透析室は津波の被害が無く次の日から透析可能だったそうです。
この話ですごいと思ったのは、この施設では非常用電源を屋上に置いたと言う事です。
周囲が津波の被害でひどい状態ですので、勿論電気も通っていません。
今回、通常は地上に置く非常用電源を屋上に設置したので、燃料を屋上まで持って行く労力は有ったが、電源を確保して透析を継続出来たという話でした。
設計士が通常は地上に置くと説明したが、院長先生がこの辺りは以前より津波にやられているので、屋上以外は譲れないと言う意見だったそうです。

結論としては、

その地域の特性や建物の構造を考えて透析室は設計すべきだと言う事です。
勉強になりましたが、当院はすでに作ってしまっているので参考に出来ませんが、このブログを見た方は参考にして下さい。

2011.09.11
診療
研究

HDF研究会

9月3日(土)、9月4日(日)に横浜市で開催される第17回日本HDF研究会学術集会・総会参加してきます。

今回は、9月3日土曜日に第3会場で16:50から行われる一般演題③:性能評価①で、

O-3-01 「膜・透析方法の違いによるアルブミン漏出について」

を発表いたします。

発表内容ですが、以前よりオンラインHDFは栄養状態の改善に有用だと言われています。
また、矢吹病院の政金先生を中心にエバール膜やPMMA膜を使用することで栄養状態が改善されたという報告があります。

我々も、食事がたくさん食べられる方には前希釈で大量置換のオンラインHDFを行ってきました。
ただ、それではアルブミンやGNRIなどの栄養指標が下がってしまい、継続が難しい患者さんにはⅢ型やⅣ型のPMMA膜を使ったHDを選択してきました。

それならば、Ⅳ型のPMMA膜を使って前希釈でオンラインHDFを行うと言う方法もあるのではないかと考え、一昨年にトライアル的に行いました。
その結果を今回報告いたします。

HDF研究会に参加される先生方には、是非とも聞いて下さい。
よろしくお願いいたします。

2011.09.09
診療
仕事 / 職場
生活 / くらし

被災地での長期処方

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新薬等の処方制限が期間限定ですが被災地で解除されるようです。
まだ連絡が来ていませんが、我々末端に情報が入るのは、来週14日くらいかもしれません。

原発から避難された患者さん達、着の身着のままで交通手段に困る方も多いようですので、朗報ではないかと思います。
追加です。

http://www.hospital.or.jp/pdf/14_20110906_01.pdf

 

東日本大震災に関連する診療報酬の取扱いについて

4.新薬に関する処方制限について
患者の周囲にあった保険医療機関が全て機能していない場合及び最寄りの医療機関までの交通手段の無い仮設住宅に入居した場合であってやむを得ない場合には、新薬につ いて14日を超えて処方しても差し支えない。
ただし、診療報酬明細書又は調剤報酬明 細書、処方せん、診療録及び薬歴簿に当該やむをえない事情を付記すること。
(適用は 9月12日から)

これを見るとかなり特定された条件のようです。
失礼しました。

 

 

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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