温故知新Vol8
人工透析を含めた体外循環療に関する製品を販売しているガンブロ社というメーカーがあります。
当院でもAN69膜という透析膜を使用しています。
ガンブロ社よりAN69 膜を使用した臨床研究集が定期的に発行されています。
今回、温故知新Vol8に文章を書いて欲しいと依頼がありました。
それで、今回『しっかり透析、時々積層型』
と言う文章を載せて頂きました。
現在、週3回4時間、血流200ml/分の治療が標準的な透析として行われている。ただ、これでは明らかに透析不足であり、生きていく為に最低限の治療であって厳しい食事療法や薬物療法が必須となる。
そこで、患者の生命予後を改善させるために①【透析時間を延長させる】②【血流量を増加させる】③【透析液清浄化の上オンラインHDF】を行うなどの方法が取られている。さらに、施設によっては【週4回透析】や【隔日透析】を行っている施設もある。これらは、元仙台社会保険病院の鈴木一之先生(現かわせみクリニック)が出版した『しっかり透析のヒケツ』にも書かれており、私も、透析時間延長、血流量増加、オンラインHDFを『しっかり透析』と名付け頑張っている。
開院当初、転院してきた患者は全て4時間もしくは4時間未満の透析患者ばかりであった。時間延長のメリットを繰り返し説明、説得し、時間延長を促してきた。転院患者のほとんどが高齢新規導入患者であったこともあり、透析時間延長のメリットを快く理解しても貰えることはなかった。4時間から4時間半に延ばしたら、「残りの30分で具合が悪くなる」とか、月曜日に除水量が多いので、透析時間を延ばせば、「月曜日は時間が長いから具合が悪くなる」などと言われてしまう。
何度も説得し、宥め、妥協させ、なんとか現在では全患者の平均透析時間が4.7時間となった。当院では患者送迎も行っているが、送迎の受け入れは5時間以上の患者のみとしており、そのことはHPにも記載している。
以前は、待合室で雑談している患者に声をかけると、後ろから『時間延ばされるぞ!』なんてヤジを飛ばされていたが、現在は5時間透析の患者が多くなり、そんなヤジも少なくなった。
透析時間を延長することで生命予後が改善する事は周知の事実であり、血圧も適正に低下し、栄養状態は改善され、腎性貧血のコントロールも良好となる。
我々は、患者に対し『減塩をしなさい』『水分を控えなさい』『リンに気を付けて』と日々教育している。それは、患者の状態を良くする為に必要なことだからだ。同様に『透析時間を延ばす』ことは、患者が質の高い生活をする為に大切なことである。透析時間は決して4時間とは決まっていないので、是非とも時間延長を患者に勧めて欲しい。
当院は当初から高血流透析を目指してきた。1,2年前までは最大300ml/分だった血流も、15Gや14Gの穿刺針を使用するようになってからは、400 ml/分の患者も増加してきた。このため、透析時間延長と高血流との効果でKt/Vの平均値が2を越えるまでになった。
過去には6時間透析していた患者もいたが、殆どが5時間にもどるか、週4回に移行している。もちろん、透析時間は長いほど良いと考えているが、高血流を行うことで患者が6時間透析のメリットを感じてくれないのかもしれない。
このしっかり透析は高齢患者に対しても同様に行っている。高齢者は活動量が少ないので透析量を下げても・・・と言う意見も聞くが、私は反対である。高齢者でもしっかり透析を行えば食欲が増加し体調が改善する患者もたくさん観てきた。例を挙げれば、80才を越える女性で転院後にドライウエイトが5kgも増加した患者を経験している。
ただ、高齢透析患者の場合、常に注意を促していないと急激に具合が悪くなることがある。特に、栄養状態が悪化する場合が多い。以前は、急激な栄養状態の悪化が見られた場合は、アルブミン漏出量の少ない透析膜に変更したり、栄養状態を保持すると言われているPMMA膜等に変更する事で対応していた。しかし、一度状態が悪くなった患者はすぐには改善しない。最近では栄養状態が悪くなった患者に対してはAN69膜を使用している。AN69膜で何事も起こらない透析を十分に行なってから、徐々に透析膜や条件を元に戻していく方法を取っている。AN69は炎症を下げ栄養を改善する効果があると聞く。炎症が治まらなければ栄養は改善しない。AN69膜は、高齢透析患者の栄養状態を短期間で改善するToolとしてはとても便利な膜なのである。多くの患者がAN69膜に切り替えた後、食欲(栄養状態)も戻り、オンラインHDFや、しっかり透析に戻っていった。
当院でのAN69膜は、“困った時の神頼み”的存在であり、今後もしっかり透析を続けて行く上で、重要な透析膜であると改めて認識している。
温故知新Vol8は、第58回日本透析医学会学術集会・総会のガンブロ社のブースで配布されるとのことです。
学会に参加される方は是非ともご覧になってみてください。
増築工事進捗状況
昨日は行程会議がありました。
行程会議も来週で終了です。
個室透析センターはもうすぐ完成です。
個室ブースもほぼ完成に近づきました。
早くここで透析を開始したいです。
新棟の廊下は木(もく)を強調した印象となっています。
既存棟とはちょっとイメージが違います。
でも、やわらかい雰囲気は同じです。
手術室も近くの総合病院と変わらない雰囲気です。
まあ、ぱっと見は余り変わらないですよね。
多目的ホールで講演会が出来る準備も出来てきました。
ここでは運動療法も出来るといいなと考えています。
もう少しで完成です。
とても楽しみです。
個室透析センター開設記念講演会と内覧会のお知らせ
いよいよ援腎会すずきクリニック個室透析センターの完成が近づきました。
援腎会すずきクリニックでは、個室透析センター開設に伴い記念講演会を行う予定です。
7月21日日曜日
10:00~12:00
ホテルハマツ3階左近の間で
かわせみクリニック院長の鈴木一之先生をお招きして、
『しっかり透析のヒケツ』
についてお話して頂きます。
鈴木先生の話の中には、透析を受けている方がどうすれば元気で長生き出来るかが詰まっております。
透析に従事している医療スタッフ、透析に興味のある方、そして現在透析を受けている患者さん
是非とも聞きにいらっしゃってください。
また内覧会を下記の日程にて行います。
第1回 7月13日(土) 14:00-17:00
第2回 7月21日(日) 14:00-17:00
お時間の許す方は是非ともいらっしゃってください。
じんラボ
皆さん『じんラボ』をご存知ですか。
慢性腎臓病・透析と正しく向き合い、知って、共感して、支え合って、自立を目指すサイトです。
透析の基礎知識やQ&A
透析管理ツールやサポート情報など
透析者が元気に生活するためのすべてがここにあります。
透析を受けている方必見です。
お勧めいたします。
目覚めの一服はリスクが大!
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130610-00037130-diamond-soci
目覚めの一服はリスクが大!?最低でも31分は我慢すること
ダイヤモンド・オンライン 6月10日(月)7時0分配信
先日、米ペンシルベニア州立大学の生物行動学講座の研究グループから「目覚め直後の一服は、肺がんや口腔がんの発症リスクを高める」という研究結果が、専門誌に報告された。
調査は全米健康栄養調査に参加した成人喫煙者、約2000人から採取した血液サンプルと喫煙習慣を分析。その結果、その日最初のたばこを起床後30分以内に吸う人は、31分以上たってから「最初の1本」に手を伸ばす人よりも、たばこ特有の発がん物質の血中濃度が高かったのである。
研究者は「起床後にすぐたばこを吸うと、より深く吸入するため肺がんや口腔がんの発症リスクを高める可能性がある」としている。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
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癌のリスクを高めるよりももっと重要な事が有ります。
起床時は副交感神経優位から交感神経優位に変わる時です。
起床時は血管が収縮し最も脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすいと言われています。
夜間における循環血液量の減少が明け方にピー クに達する結果、血液粘調度が最も増加する。そして、血小板凝集能も午前中に最も亢進します。
そのような状況で更に血管を収縮させるタバコを吸うなんて、癌になるリスクもありますが、脳梗塞・心筋梗塞になるリスクは非常に高くなるでしょう。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。