2013.12.03
診療
研究

長時間透析研究会in長崎のスライド4

次に、

高血流だと、心臓に負担がかかるのではないか?

です。

こちらは今年の透析学会で発表した内容です。
360-400 ml/分の血流量(QB)で透析を行っている33名の患者さんに対し、透析中にQBを360-400 ml/分の高血流からQB200 ml/分まで低下させ、その後再び高血流に戻して、1回拍出量(strong volume)、心拍数、下大静脈径を測定した検討です。
心機能が悪い駆出率(EF)50未満の方8名でも同様の検討を行いました。

血流を、高血流→低血流→高血流と変化させたても1回拍出量、心拍数、下大静脈径は変化せず、これは心機能の悪いEF50未満の方でも同様の結果でした。

わが国では、以前より血流量を上げる事は心負荷を増加させると言う考えが主流ですが、今回の検討では高血流量状態が心臓に負荷をかけると言う所見は見られませんでした。

高血流は死亡リスクを低下させることは知られています。
シャントに問題無ければ十分な血流で透析を行う事が重要だと言えます。

2013.12.01
診療
研究

長時間透析研究会in長崎のスライド3

まず、

時間延長と比べると、高血流の効果は少ないのではないか?

と言う疑問です。

それで、一般的に行われているQBであるQB250ml/分と当院ではかなりの人数で行っているQB400ml/分について、前希釈on-lineHDFで検討しました。

透析時間は、QB250ml/分が長時間透析である6時間
QB400ml/分が5時間で比較しました。

使用した透析膜は、ニプロ社製マキシフラックスMFX-21Secoを使用して、totalQD=600mL/min、QS=200mL/minで行いまいた。

 

対象とした方はスライドのごとくです。

長時間透析である6時間QB250ml/分よりも5時間QB400ml/分の方が、除去率でクレアチン、α-1MGで、除去量ではα-1MGで有意に多いと言う結果でした。

 

クリアスペースでも比較しました。
クリアスペースは、対象とする物質が透析後に何リットル分ゼロになったかを表す数値です。
指標によっては、全く同じ条件で透析しても前値の違いによってデータが変化してしまう事があります。
そのため、前値の影響がないように補正したものがクリアスペースです。

 

β2MGは両群ともに10リットルを超えていましたが、α-1MGは0.8リットル程度でした。
クリアスペースでみると、6時間QB250ml/分と5時間QB400ml/分で差がありませんでした。
血流を上げる効果が示せたのではと思います。

 

アルブミン漏出量は5時間QB400ml/分の方が有意に多かったです。
しかしアルブミン1g当たりのα1MG除去量は変わりなく、両群共にアルブミン漏出量は少なく、通常の使用でも全く問題ない結果でした。

 

6時間QB250ml/分と5時間QB400ml/分のデータ比較を行いましたが、有意な差は認めませんでした。
溶質除去のみから考えると、5時間QB400ml/分は6時間QB250ml/分に匹敵すると思われました。

じゃあ、6時間はしなくてもいいねという話になりそうですが、そうではありません。
透析はやればやるほど良いと思います。

 

可能な患者は6時間QB400ml/分にすればいいのです。
ただ、6時間だと体格の小さい方ではQB400ml/分は抜けすぎになるかもしれません。
現在、当院では週4回5-5-5-4時間QB400ml/分の方が3名いらっしゃいます。

たくさん食べる方達ですので、現時点ではQB400ml/分継続中です。
ただ、注意深く観察していないと、食べれない状態が続くと抜けすぎが起こる可能性はあります。これは付け加えておきます。

以上、高血流の効果がお示しできたのではと思います。

2013.11.30
診療
開業 / 病院経営
趣味

当院スタッフが新聞に取り上げられました。

当院臨床工学技士の入谷さんが新聞に取り上げられました。
当院でも個室透析センターの責任者として頑張ってくれています。
仕事に趣味にマルチな才能を発揮してくれています。

2013.11.29
研究

長時間透析研究会in長崎のスライド2

日本で高血流が浸透しない事には様々な理由があります。
代表的なものを上げてみました。

時間延長と比べると、高血流の効果は少ないのではないか?

高血流だと、心臓に負担がかかるのではないか?

長時間・高血流だと抜けすぎるのではないか?

これらの疑問を一つ一つ解消するために、スライドを作成しました。

 

2013.11.27
診療
仕事 / 職場

1年前と現在の『透析時間と血流量の関係』

1年前週辺りの透析時間と血流量の関係のグラフです。
通院中の70名の患者さんで、4.5時間以上でQB300ml/min以上の方が56名いらっしゃいました。
On-lineHDFを受けている方も59名でした。

今年は個室透析センターを開設して5時間透析のみでの受け入れとしました。
また、送迎の新規受け入れは5時間透析の方としました。

増床しましたので、ベットも増えました。
現在、通院する方は80名となりましたが、
5時間以上でQB300ml/min以上の方が42名と半数を超える様になりました。
On-lineHDFを受けている方も71名となっています。
直近の平均血流量は、332.6±64.4mL/minで、平均透析時間は4.9 ±0.3時間となっています。

スタッフが時間延長のメリットをとても理解していますので、患者さん達に勧めています。
そのため、昨年は4.5時間透析の方の多くが5時間透析にシフトしました。
5時間透析になった方の多くが透析後のだるさを訴えなくなり、とても良かったと言ってくれています。

5時間週3回の方が増えた分、血流量は昨年の400mL/minの方から300mL/minにややシフトしたようです。

5−5−5−4時間の週4回透析の方も7名まで増加しました。
中2日が空かない透析はとても楽だと言ってくれています。

今後もしっかり透析頑張りたいと思います。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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