安価な後発医薬品の普及促進策
後発医薬品(ジェネリック医薬品)、当院でも使っています。
しっかりした後発医薬品はどんどん出したいと考えています。
ただ、何でもかんでも後発医薬品をと言うのはちょっと考えてしまいます。
たとえば、カソデックスという前立腺癌治療薬のジェネリックでビカルタミド「NK」錠は、薬剤の有効性や副作用について市販後調査を行いしっかり確認しています。
この様なジェネリックは大歓迎です。
でも、同じ前立腺癌の治療薬プロスタールの後発品でクロルマジノン酢酸エステル錠25mgと言う薬が有ります。
プロスタールに後発品不可と記載していなかったため、僕の処方したプロスタールは薬局でこのクロルマジノン酢酸エステル錠25mgと言う薬に変更となっていました。
もちろん、薬局から変更の許可を求める連絡がありますから後発品が出ていることは知っていました。
その後あるときに、クロルマジノン酢酸エステル錠25mgの一錠の値段が15.4円で、プロスタール25の一錠の値段が113.4円だという事を知りました。
自分の出している処方が元々の薬の1/8の値段の後発品になっていると言うことにビックリしました。
それで、本当に100円以上するものが15円で出来るのか疑問に思いました。
我々が正規品を処方したときに、調剤薬局がしっかりした後発品を出してくれるかは、現在のところ分からないのです。
きちんとした効果がある薬かどうかを全く評価せずに、ただただ安く作った薬が大丈夫なのか、とても心配になりました。
結局、その後このことをクロルマジノン酢酸エステル錠25mgを処方している患者さん全てにお話したところ、以前のプロスタールが飲みたいと希望されました。
その後は、プロスタールには後発品不可を付けています。
以上の事から、安易な後発品の普及促進活動には疑問を持っています。
先発品は、厚生労働省の指導の下、ここまでやらなくてもいいのではと言う位の開発時の副作用研究や市販後調査をしています。
後発品にはそのような指導は一切ありません。
元々の成分は同じでも、添加物は違う場合があります。
後発品もきちんとした薬効があるのかは評価されるべきですし、タダ作っただけの薬を信用できないのは当たり前だと思います。
階段の手すり
今回、震災で裂けた壁の修復と一緒に、透析室に向かう階段の左側にも手すりを造設しました。
以前から、階段の右側には手すりが有りました。
でも、最近とある患者さんから左側に手すりがあるといいのにと言われました。
一般的に右利きの方が多いので、シャントは左に作ります。
そうすると、重い荷物は右手で持つことが多いようです。
右手で荷物を持つと階段の手すりは左側にあるとうれしいと言われました。
その話を聞いてなるほどと思いましたので、今回左側に手すりを追加しました。
その患者さんはかなり高齢のお婆ちゃんですが、2階の透析室にエレベーターを使わずに上って行ってくれます。
今後も元気に階段を上がってくれることを願っております。
慢性前立腺炎3
今回は、慢性前立腺炎の診断法についてです。
慢性前立腺炎は、慢性前立腺炎1・2で書いたような症状の疾患です。
この様な方が当院を受診した場合、先ず検尿をしてもらいます。
若い男性で多い尿道炎を否定するためです。
この時点でオシッコが汚れていた場合には、尿道炎や膀胱炎として治療を行います。
尿所見が無く、慢性前立腺炎の症状があれば、直腸診を行います。
肛門に指を挿入して、肛門の直上で腹側に位置する前立腺を触診します。
ただ、痔の有る場合には直腸診の痛みが強く出る場合も有りますので、事前にお知らせ下さい。
時々、肛門に指を入れる時の痛みが強い方がいますので、慎重に行っています。
前立腺を圧迫して痛みがあれば前立腺炎と診断します。正常の方は前立腺に痛みはありません。
ここで、前立腺のマッサージを行います。
マッサージで前立腺から膿を出して診断しますので、これは大切なことです。
また、マッサージはそれ自体を治療法として行っている施設もあります。
マッサージ後の尿検査で尿に白血球や細菌がないか確認します。
前立腺マッサージ後の尿 (VB3)を用いて慢性前立腺の分類を行います。
マッサージ後の尿で白血球が多数あり、細菌も確認されると慢性細菌性前立腺炎と診断しますが、これはあまり多くありません。
細菌が見当たらない場合は、慢性非細菌性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)と診断します。
白血球が見られるが細菌は無い場合、Ⅲa炎症性と言う分類になります。
白血球も細菌も無い場合、Ⅲb非炎症性です。
Ⅲb非炎症性は、以前は前立腺痛や前立腺症と言って、慢性前立腺炎とは別な病気と区別されていましたが、現在の分類では慢性前立腺炎の一部とされています。
そして、前立腺癌精査中や精液検査での異常などの他疾患精査中に偶然発見発見された者を無症候性炎症性前立腺炎としています。
- 2011.12.08
- 診療
高齢者等のインフルエンザ予防接種
郡山市で行っている65才以上の方へのインフルエンザ予防接種の公費助成は明日までです。
明後日からは助成が受けられなくなりますので、ご注意ください。
高齢者等のインフルエンザ予防接種について
高齢者等のインフルエンザの発病防止や重症化を予防し、さらにそのまん延の予防を目的に実施いたします。
1.対象者
(1) 郡山市に住民登録をしている65歳以上の方で、接種を希望する方(健康保険証をご持参ください)
(2) 60歳以上65歳未満の方で、心臓・じん臓又は呼吸器の機能に自己の日常生活が極度に制限される程度の障害を有する方及び、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する方(身体障害者手帳1級を所持する方又は、医師の診断書により同程度の障害を持っていると認められる方)
(3) (1)、(2)に該当する対象者のうち、意思疎通のできない方は除きます。
2.実施期間
平成23年10月11日(火)~平成23年12月9日(金)
※ 接種に伴う副反応に備え、日曜・祝日の接種及び午後5時以降の接種は行わないことになっておりますので、予防接種を受ける際にはあらかじめ医療機関に電話で御確認ください。
3.接種場所:郡山市内の指定医療機関
※ 「平成23年度高齢者等インフルエンザ予防接種の受けられる医療機関」については、下記のダウンロードファイル「インフルエンザ予防接種医療機関」をご覧ください。
高齢者等インフルエンザ予防接種のお知らせ(PDF:160KB)
平成23年度高齢者等インフルエンザ予防接種の受けられる医療機関一覧(PDF:117KB)
4.接種料金(自己負担金)
1,050円 (公費による助成は1人実施期間中1回です)
【自己負担金免除者】
[1]生活保護受給者 : 郡山市社会福祉課で発行する証明書をご持参ください。
[2]中国残留邦人等に対する支援給付受給者 : 本人確認証をご持参ください。
なお、期限は市町村によって異なりますので、郡山市以外の方はご確認ください。
カンジダ(Candida)
性感染症学会で、カンジダ症についての教育講演が有りました。
皮膚科の先生の講演でしたが、とてもまとまっていて判りやすかったです。
メモを取ってきましたので、一般的な知識と一緒に記事とします。
時々、当院にも亀頭部が赤くなったと言うことで来院する患者さんがいます。
カンジダを性病と考えている方も多いかもしれませんが、カンジダは口の中や消化管、膣粘膜にある常在菌です。
元々、カンジダの病原性は低いのですが、体調不良で免疫力が低下している方、高齢者、妊婦さんなどで、皮膚や粘膜の環境の変化(高温・湿潤・ステロイド外用)が有ると発症して来ます。
性感染によるものは5%以下と少ないですが、男性で繰り返して起こす場合には性感染症の場合を考えた方がいいそうです。
皮膚表面の一部を取って鏡検でカンジダ菌の菌糸を確認することで診断出来ます。
膀胱炎の検査では、細菌尿を培養検査に出して菌の種類を確認しますが、カンジダの場合は培養検査をしてはいけないそうです。
常在菌だから培養をして増やしたら感染の原因となっていなくても培養で増えるとのことで、なるほどと思いました。
治療は、ラノコラゾール軟膏などの抗真菌薬ですが、免疫力が低下して生じるので、基礎疾患の治療を行うこと。そして、病気が生じた部位が湿気の多い部位の場合はその対策を取る事も重要だと言う話でした。
講演を聞いたことで、これまでの知識が整理されました。
明日からの診療に役立てていきたいですね。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。