2017.08.11
一般

『透析効量を増やすと死亡リスクは低下する』のは本当ですか?

日本透析学会が発表しているデータによると、透析時間、血流量、透析量全てにおいて『透析効率が高くなるにつれて死亡リスクは低下する』ことが示されています。

これは、逆に考えると、『高効率の透析が出来る患者の死亡リスクは低い』

とも解釈出来ます。

ヨーロッパからオンラインHDFで予後が良かったと言う論文がいくつか出されていますが、いずれも20リットルくらいの濾過量で後希釈オンラインHDFを行った報告です。

20リットルの濾過量後希釈オンラインHDFを行うと考えると、元気な患者さんに限定されてきます。

ですので、『死亡リスクの低い方は高効率の透析が出来る』と言う風になってしまいます。

これを解消する為には、同じ状態の患者さんに対して、透析量を抑えた透析を行う群と透析量を増やした群で比べる前向き研究を行うべきなのですが、倫理上の問題点が多く行う事は出来ません。

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当院では高齢者に対しても積極的に高効率の透析を行っています。

図は当院に転院して1年以上経過した方達の転入時と比べたドライウエイトの推移です。

一般的にに高齢透析患者においては痩せることは死亡リスクが高くなる事です。

当院では、75歳以上の高齢者でも可能な方は積極的に5時間透析で血流量も300ml/min以上の透析を提供しています。

若年者に比べ、摂食障害や合併症があり、抜けすぎを考えなければならない方もおりますが、転入時75歳以上の17名中7名で5時間血流も300ml/min以上の透析を提供しています。

指標の一つでしか有りませんが、多くの方でドライウエイトが上昇していることが示されていると思います。

2009年の腎と透析 Vol.66 No.5で

矢吹病院の政金先生は

「高齢透析患者の予後が悪いのは高齢であるからだけでなく,その背後に透析不足が内在している可能性がある。

高齢透析患者の適正透析を考えるとき,患者の愁訴に注目し,活動性を落とさないことを確認しながら,できるだけ透析量をふやしていくことが重要である。」

と述べています。

我々は、高齢者だからといって初めから透析量を減らす必要は無く、医療者がリスクのある患者を十分に見極めることが大切だと考えております。

基本的な考え方として、現在多くの施設で行われている週3回4時間血流200ml/minの透析は多くの患者さんにおいて透析不足です。

透析不足は、痒み、イライラなどの訴えを増やし、透析中の血圧が不安定となります。

QOLが低下する原因となります。

透析が早く終わって帰れるかもしれませんが、透析が終わってもその日はだるさが続いて何も出来ないと言う方が多くなります。

まずは、通常の生活をしていく為に必要な透析時間・血流量を確保していくことが大切です。

2017.07.26
一般

『しっかり透析と援腎会の取り組み』

明日、米沢で

『しっかり透析と援腎会の取り組み』

と言う演題名でお話させて頂きます。

お呼びいただいて大変感謝しております。

お話の内容は

しっかり透析

オンラインHDF再考

リンについて考える

患者が元気になるには(当院の取り組み)

心に残る透析者の話

と言う内容です。

頑張りたいと思います。

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内容としては、しっかり透析の話ですので、透析時間の話は外せません。

直近の当院平均透析時間も5.1時間と5時間を越えるようになりました。

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このグラフは当院開院からこれまでの透析時間の分布になります。

開院当初は4時間透析の方が最も多く、5時間の方はいませんでした。

透析時間延長のメリットを繰り返しお話して、4.5時間と5時間の方が徐々に増えていきました。

震災の時には一律3時間透析を行いました。

通常5時間透析を行っている方がわずか1週間でもう耐えられないので時間を延ばしてほしいと言ったことは忘れられません。

5時間透析の方が急に増えたのは、個室透析センターを増築した頃かもしれません。

個室透析センターで透析が受けられる条件は、自立して透析中血圧安定している5時間透析の方としました。

個室透析室を作ったのは、出来るだけ多くの患者さんに5時間透析を受けてもらいたいという気持ちからでした。

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これも明日使用するスライドの一部です。

繰り返し透析時間延長のメリットを患者さんにお話していきました。

ラウンジに行き、患者さん達とお話しようとすると、

口の悪い方から、『院長来たぞ。5時間にされるぞ』

などのヤジを受けることもありました。

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今は、そんなヤジを言う方もいなくなりました。

患者さん達が、そして当院に勤務するスタッフも、

長時間透析の良さを

理解

納得

実行

するようになったからだと思います。

明日は、『しっかり透析』に込める想いがお話出来たら良いなあと思います。

2017.07.24
一般

高齢者の透析量について

今週、米沢で講演をさせて頂くことになりました。

米沢は医師となって2年目の研修をさせて頂いた懐かしい場所です。

今回、『しっかり透析と援腎会の取り組み』と言う演題名でお話させて頂きます。

その中で、高齢透析患者の透析量についての内容が含まれています。

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こちらは、DOPPS調査での年齢別透析時間と血流量です。

75歳以上の方の平均透析時間は225分ですから、3時間45分と4時間を切っています。

更に、血流量も184ml/分と低めに設定されています。

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高齢透析者の問題点としては

•合併症が多い

•消化管機能の低下

•摂取量減少

•習慣を変えられない

•理解不足

などがあり、栄養障害が生じやすいことが知られています。

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DOPPS調査の結果から見ると、高齢者では意識的に透析量を減らしているのではないか?と感じてしまいます。

平成21年の腎と透析という雑誌に、山形矢吹病院の政金生人先生が、

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高齢透析患者の予後が悪いのは高齢であるからだけでなく、その背後に透析不足が内在している可能性がある。
高齢透析患者の適正透析を考えるとき、患者の愁訴に注目し、活動性を落とさないことを確認しながら、できるだけ透析量をふやしていくことが重要である。」
と報告しています。

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高齢者だからといって初めから透析量を減らす必要は無く医療者がリスクのある患者を十分に見極め対応することが大切だと我々は考えています。

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このグラフは、昨年3月の当院の75歳以上の透析時間と血流量を示しています。

29名中 5時間以上&血流量が300ml/min以上の方が14名

On-lineHDFの方が19名となっています。

平均血流量:285.2±41.2mL/min

平均透析時間:4.8 ±0.3時間

透析時間は5時間を割っていますが、透析量は比較的多いのではないかと思います。

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こちらは、当院に転院して1年以上経過した方のドライウエイトの変化です。

転院時75歳以上の方が17名いらっしゃいますが、多くの方でドライウエイトが上昇しているかと思います。

もちろん、様々な原因で痩せてしまっている方もいますが、高齢透析者の方でも十分な透析を行うメリットは有ると言う事を示しているのではないかと考えております。

2017.07.14
一般

仙台で講演させて頂きました。

13日の木曜日に、仙台市で行われた講演会で一般演題を発表させて頂きました。

演題名は

『当院のリン管理の現状と スクロオキシ水酸化鉄への期待』

と言う題目で30分ほどお時間を頂き講演させて頂きました。

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特別講演は、埼玉医科大学総合診療内科教授の中元秀友先生から

『高リン血症治療の課題と対峙する ‐新規高リン血症治療薬への期待‐』

と言う演題名で、生命の誕生から最近話題のfgf23まで幅広いお話で大変勉強になりました。

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私は、当院で取り組んでいるしっかり透析とリン管理

そして、最近いろいろな場所で発表しているリンの出納について

そして、今年2月に透析学会雑誌に掲載させて頂いた、当院におけるスクロオキシ水酸化鉄の使用経験の詳細を発表させて頂きました。

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講演後、5時間透析を患者さんに理解納得してもらうための秘訣は何かという質問を受けて、当院での取り組みを少しだけお話させて頂きました。

3週間後、今度は米沢でお話させて頂ける機会をいただいています。

その時は、当院の取り組みについて解りやすくお話出来たらと考えております。

2017.07.11
一般

土屋病院新築移転記念講演会

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埼玉医科大学総合医療センター准教授熊谷洋一先生の講演会が15日に土屋病院で行われます。

熊谷先生は、太田西ノ内病院外科に長く勤務しており、私も太田病院時代はお世話になっていたDrです。

食道癌の権威です。

『検診に行こう!!食道がん胃がんの検査と内視鏡治療』

と言う演題名でご講演される予定です。

詳細は土屋病院にご相談ください。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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