学習勉強会4
十分に毒素を抜く透析はどんな透析なんでしょうか。
可能ならば、透析の回数を増やす事が一番大切です。
以前ご紹介した、ヘモダイアリシスプロダクト(HDP=時間×頻度×頻度)は70以上を目指せと言われていますが、
週3回5時間の方は、5×3×3=45ですが、週6回2時間の透析では、2×6×6=72であり、この理論によると時間は短くても回数が多ければ、十分な透析となると言われています。
実際に在宅で行う家庭透析では、そのような透析方法で、元気に過ごされている方もいらっしゃる様です。
当院でも、一部の方で週4回の透析を行っている方もいらっしゃいます。
ただ、当院の場合は、中2日空くと体重増加が多くなる方であり、本来は、透析量を増やすために回数を増やすことが一番なはずでけどね。
現行の保険制度では、一ヶ月の透析の回数は14回までと決まっており、なかなか週3回より多い回数の透析を常時提供することは難しい状況です。
そして、次は透析時間の延長です。
長時間透析の定義は、6時間もしくは、5,5時間以上のようです。
患者さんたちの合意を得るのはなかなか難しいことです。
そして、血流量を増やすこと。
毎分200mlの血流が一般的ですが、後のスライドで出てきますが、それは日本だけの話です。
もっともっと血流は増やせると思うのです。
そして、HDFを行うことで毒素はもっともっと抜けるようになります。
学習勉強会2
2002年の時点での平均的な血液透析の条件です。
ダイアライザーは高性能膜を使っており、血流量は約200ml/分。
透析液流量おおよそ500ml/分、除水量である限外ろ過量はDWの5%くらいです。
そして、透析時間は3時間59分と4時間を切っています。
さらに、この後時間区分の廃止で透析時間はさらに短くなっています。
この一般に行われている平均的な透析は、患者さんにとって一番いい透析なのだろうかということが今回のお話です。
それで、どういう透析をしている人が長生きしているのだろうか?
どの様な透析が望ましい透析なのかという話になります。
学会が出している望ましい透析条件・データです。
4.5〜5時間以上の透析時間
kt/Vureaで1.4~1.8の透析量を確保しなさい。
血中β2マイクログロブリンは30mg/l以下を目標に。
透析間体重増加は、基礎体重の2〜6%以内がいいです。
心胸比は50%以下
血圧の管理をしっかりしなさい。
栄養状態を良好に維持しなさい。
筋肉量を落とさないことが大切
蛋白質は十分とりなさい。
貧血もよくしなさい。
最後に、リンの管理もしっかりしなさいと。
11項目有るのですが、一つ一つ達成しようと考えると大変です。
しっかり自己管理しなくてはと言う気持ちになりますが、それ以上に大変だという感じになりますよね。
栄養をよくして、蛋白をしっかりとると、リンが上がっちゃいます。
どうすればいいのでしょうか。
学習勉強会を行って
日曜日に郡山腎友会で学習講演会を行わせていただきました。
『元気で長生きできる透析をめざして
—オンラインHDF治療の有効性について—』
と言う題名で行いました。
腎友会の方がほとんどで、来られなかった方もいらっしゃると思います。
それで、その時のスライドを用いて、少しお話をしてみたいと思います。
題名のスライドです。
次のスライドです。
どういう人が長生きしているか〜先人に学べ1〜
以前このブログでも紹介した『透析者と家族が元気になる本』について話しました。
20年、30年と透析を受けてきた患者さんが、今まで元気でいられた秘訣はなにかと。
基本は、透析の時間は長く受けること。
自己管理が大切なんだと言うこと。
透析は優れた治療法を選ぶべきだと言うこと
次のスライドです。
どういう人が長生きしているか〜先人に学べ2〜
サイコネフロロジーを専門とする著名な精神科医である春木繁一先生が、書いた『透析とともに生きる』です。
透析導入してから35年間、6時間半の透析を続けてきており、しっかり透析で毒素を抜くことを続けてきています。
そして、抜いた分は十分な栄養をとることで、合併症もなく過ごされ、最近行った心臓カテーテル検査では、心臓の冠動脈に石灰化が見られなかったという話です。
先生は、『5時間を超えたあたりから、心地よい気分になるんだよね。』と、おっしゃっています。
たまたま本日とある透析施設のホームページを見たのですが、『最長5時間の長時間透析』と宣伝していました。
ちょっと笑ってしまいましたが、実際のところ当院でも5時間を超える透析を行っている方は現在はおりません。
多くの方が時間を減らしていったのに、6時間半の透析を35年も続けてきていることは、とてもすごいことで尊敬いたします。
無事に学習講演会終わりました。
本日行われた、郡山腎友会の学習講演会、無事に終わりました。
定期総会では、来賓席に座らせていただいて、某代議士さんのお隣の席で非常に緊張いたしました。
時間がおしていたこともあり、少し早口になってしまい、皆さんにご理解していただいたかが心配なのですが、伝えたい内容は全てお話しできたと思います。
漫然と、その日暮らしの透析を受けていてはいけないことと、しっかりとした透析を受けていれば、一般の人と変わらない生活を送ることが出来る事をお話しいたしました。
最近聞いたことですが、全国腎臓病協議会が、テレビ朝日の製作番組に抗議をしたようです。
腎不全の歌手が腎移植を受けた事を特集した「”生きて歌いたい~松原のぶえ決意の腎臓移植~”」と言う番組で、透析治療が非常に苦痛を伴う治療であると言う内容に、人工透析治療に対する誤った認識を印象付けるものであるとして抗議をしたのです。
僕も声を大きくして言いたいです。
『松原さん。貴方の受けていた透析は、時間も短く、透析不足の治療で苦痛が多かったかもしれませんが、十分しっかりした透析を受けている患者さんたちは、一般の方とそれほど変わらない生活を送られているんですよ。』
PK-PD理論
最近、レボフロキサシンと言う抗菌薬の剤形が変わり、飲み方も変わります。
これまでは、100mg錠を1日3回内服していたのですが、最近500mg錠を1日1回内服するように変わるのです。
これは、PK-PD理論と言う考え方に基づいた考え方です。
PKは、pharmacokinetics:薬物動態で、
PDは、harmacodynamics:薬力学で、
抗菌薬の有効性や安全性を高め,さらには耐性菌の出現を抑制することを目的としています。
具体的には、レボフロキサシンのようなニューキノロン系の抗菌薬は、薬剤と菌が接している時間を長くするよりも、菌と接する薬剤の濃度を高くした方が、殺菌作用が強いことが分かっています。
こうした「濃度依存性」の抗菌薬は、1回投与量を増やして血中濃度を上げることで、より効果が強くなり、耐性菌も出来にくくなると言われています。
これまでは、薬の副作用をおそれるあまり中途半端な使い方をしてしまい、耐性菌を多く作ってしまっていたので、今後は耐性菌を作らない投薬の仕方が大切であると言われています。
当院でも、もう少しで使用できますので、使用したいと考えています。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。