2011.01.24
診療
研究

日本透析学会総会の演題査読中

第56回(社)日本透析医学会学術集会・総会
一般演題筆頭演者 各位 

この度は、第56回(社)日本透析医学会学術集会・総会に
演題をご登録くださり、ありがとうございました。
現在、査読期間に入っており、採択につきましては査読終了後
ご連絡申し上げます。

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今年の6月に横浜で日本透析学会が開かれます。
巨大な学会で、演題数もとても多い学会です。
最近では、各演題の内容が詳しく載っている抄録集もとても厚くなって、毎年持って行くのが大変になっています。
と言うか、学会場で抄録集を持っている人自体が少なくなっている印象です。

それだけ演題数が多くなると、どうしてもレベルの低い発表も入ってきます。
今回、査読期間を設け、採用する演題を採択するという事ですので、レベルの高い学会となるのではないかと期待しています。

もっとも、僕の演題が採用されないかもしれませんが。。。

もう一つ、昨年の総会でビックリしたことが有りました。
それは、一つの会場では、長時間透析や頻回透析のセッションを行っていて、これらの透析についてたくさん議論されていいました。
しかし、途中で栄養のセクションに行ってみたら、どれだけ低たんぱく食にすれば透析の回数を減らすことが出来るかという話がされていました。
全く逆の話が両方ともあたかも当然のことの様に同じ学会の違う場所で同時に議論されている事についてとても違和感を感じました。

やはり、学会としてある程度の方向性を示してもらい、その上で議論する必要が有るのではと感じました。

今回の演題選別には期待を持っています。

2011.01.23
診療
研究
その他(医療関連)

CAPDについて

CAPDについては前にも書いた事が有るかもしれません。
ちょっと唐突ですが自分のCAPDに対する考えを今回書いてみます。

CAPDは泌尿器科医になった時点から血液透析と共にずっと診療してきた治療法です。
現在でも、CAPDの患者さんが若干名当院に通院しています。

昔から、血液透析とCAPDの比較が良くされてきました。
CAPDは、飲水制限が少なくてすむとか、野菜や果物をたくさん食べても大丈夫だとか、自宅でできることが血液透析より優れているなどの話がありました。

尿がたくさん出ている患者さんでは、これらの恩恵を受ける事が出来ます。
しかし、ぎりぎりまで頑張って無尿に近い患者さんでは、透析不足になりCAPDのデメリットばかり出てしまいます。

透析不足でかゆみが出る、体調不良がある、しかし血液透析はいやだと言うことになり、透析不足で体調不良が数年続き、どうしようもなくなってから血液透析になるストーリーです。

つまり、CAPDは通常透析を導入するよりもっと早い時期に行う治療法であり、血液透析と同等に考える治療法ではないと僕は考えています。

個人的見解なので異論はかなり有ると思いますが、僕が考えるCAPD導入を勧める対象となる方は、クレアチンが5くらいで半年以内に血液透析が必要となる糖尿病以外の患者さんです。

患者さんに、
『半年以内に血液透析となる可能性が高いです。オシッコの量が少なくなったら血液透析しか出来ませんが、現時点ですとCAPDという腹膜を使って透析をする治療法があり、血液透析が始まるのを数年遅くすることが出来ます。』
と言う説明を行って導入するのが理想ではないかと考えています。

数年後に、『そろそろ尿が少なくなり血液透析を導入する時期が来ました。シャント手術をしましょう。』
と言って、週1回血液透析併用のCAPD、そして血液透析に移行していくのです。

きちんとCAPDが血液透析を受ける前にする治療であり、時期が来たら血液透析に移行すると言う事を説明してあれば、CAPDをずるずる続けて透析不足になることを避けられるのではと考えています。

2011.01.20
診療
研究

デュタステリドのことで。

1月16日の記事でブログでデュタステリドが前立腺肥大症の方にとても効果が有る薬だと書きました。

ただ、先日来院した患者さんではちょっと気になる事がありました。
このデュタステリドを飲んでいる方で全然良くならないという方が来院されました。

お話を聞いたところ、通院中の内科の先生から、『高齢男性で排尿障害があるので前立腺肥大症だろう、それならば新しい薬が出たので飲んでみなさい』と言われたそうです。

実際に超音波検査を行い前立腺の大きさを測定しましたが、正常より小さいのです。
つまり、肥大症があって尿道が圧迫されて出が悪いのではなくて、膀胱の働きが悪い神経因性膀胱のため出が悪いことが分かりました。

この場合でも、尿道を広げるα-1ブロッカーと言う薬は、膀胱が縮まるときに尿道の抵抗を少なくするので有効ですが、デュタステリドは単に前立腺自体を小さくするので有効ではありません。

少なくとも、デュタステリドを投薬する場合には、超音波検査で前立腺肥大があるか確認してから処方すべきだと改めて感じました。

2011.01.15
診療
研究

LOH症候群にデュタステリドが有効かもしれない。

一昨日、デュタステリド(商品名アボルブ)の講演会がありました。
前立腺肥大症治療薬として発売1周年を迎えた薬です。
日本大学教授の高橋悟教授の講演でした。

当院でも、この1年で多くの方にこの薬を処方させていただきました。
そして、多くの方から良く効く薬だと評価されました。
これまでこの薬については前立腺自体を小さくする薬という認識しかありませんでした。
しかし、今回の講演を聞いて、この薬が実はとてもすごい薬かもしれないと感じさせられました。

それでは、この薬がどの様にして効果を発揮するのかから書いてみます。
精巣から代表的な男性ホルモンであるテストステロンが分泌されます。
活発なテストステロンである遊離テストステロンが5α還元酵素という酵素と結びついて、さらに活性の高いジヒドロテストステロン ( DHT ) に変化します。

DHTには、

薄毛
体毛の増加
精力減退
前立腺肥大

などの作用があります。

デュタステリドは5a還元酵素を阻害する薬で、DHTを抑制して肥大した前立腺が縮小させ、排尿状態を改善させます。
これまでの研究で、1年間投与することで、前立腺の容積が33.8%減少したと報告されています。


テストステロンが5α還元酵素によってDHTとなり肥大症を起こす


アボルブは1型2型の5α還元酵素両方をブロックしてDHTを作らせない

実は、2型の5α還元酵素をブロックする薬が男性脱毛症の薬であるフィナステリド(商品名プロペシア)です。
もちろん、デュタステリドにも育毛の作用が有ります。

 

それでは、タイトルとした『LOH症候群にデュタステリドが有効かもしれない』と言う話に移ります。

デュタステリドはテストステロンがDHTになるのを防ぐ薬です。
つまり、テストステロンが変化するのを防ぐ薬です。
研究の結果、デュタステリドを投与した後の血液中のテストステロンの値は18.8%上昇したそうです。
つまり、テストステロンが低下するLOH症候群に有効な薬である可能性があるという事です。

この薬は前立腺を小さくさせて効果を発揮する薬として知られており、前立腺を小さくするには半年かかると言われています。
しかし、この薬を投薬して間もない方からすごく良く効いたと言われる事が有ります。

もしかしたら、前立腺肥大症にLOH症候群を合併している方が内服すると、テストステロンの数値が上昇して飲んでから早期に症状が良くなった可能性があるというのです。

LOH症候群の治療薬は、これまでテストステロンの注射や塗り薬しかありませんでした。
しかし、デュタステリドがテストステロン値を上昇させるならば、LOH症候群を治療する内服薬として使えるかもしれないという事になります。

今後はさらに多くの方がこの薬を内服していくと思います。
その経過を見ていくことで、前立腺を縮小させる以外の効果がはっきりしてくるのだと思います。

今回は、デュタステリドの魅力がとてもよく分かった講演会でした。
今後の診療に役立てていきたいと考えております。

図はGSK社ホームページより引用
http://avolvebph.jp/info/page02/index.html

2011.01.14
診療
生活 / くらし

インフルエンザにご注意を

最近インフルエンザが流行ってきているようです。
当院でも、今月に入り数名の方がインフルエンザA型陽性でした。

県北では学級閉鎖した学校も有る様です。

日常生活では、体力をつけ、抵抗力を高めることが大切です。
無理をしないようにしましょう。

また、人混みではウイルスに感染する可能性が高くなりますので、人混みを避けましょう。

インフルエンザウイルスは湿度に非常に弱いので、加湿器などで室内を適度な湿度に保ちましょう。

そして、外出から帰ったら、手洗い、うがいを励行しましょう。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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