学習講演会5
ちょっと空きましたが、再び学習講演会
透析時間と生命予後に対する危険率です。
4時間透析を1とすると、3時間透析では、リスクは1.8倍になります。そして、5時間透析では、リスクが0.65倍まで下がります。
と言うことは、5時間透析に比べ3時間透析は、リスク3倍になると言うことです。
短時間透析のリスクはかなり高いですね。
これだけ長時間透析を行うと生存率が良くなるのですが、それだけではありません。
血圧が下がります。
これは、腎不全が原因で血圧が高くなっている患者さんでは、まず血圧が下がり安定します。
もちろん、ゆっくり除水するので、透析中の血圧低下が少なくなります。
透析中の急激な血圧低下は、無痛性の心筋梗塞や脳梗塞を起こし、透析患者さんの生命予後に直接影響しています。
心胸比が小さくなります。
血圧が下がり、心臓に対する負担が減るので、当然かもしれませんが。
リンが下がります。
8時間透析をしているフランスのタサンでは、リンが下がりすぎるのが心配で、とにかくよく食べる事を指導されるようです。
だんだん話が大きくなって、そんなの絶対に出来ないと考えている方いらっしゃいませんか。
いきなり時間を延ばすことは難しいです。
でも、今まで3時間50分ぐらいでもうそろそろと終了していたのを、きちんと4時間とするだけでも、一年間では、10×13×12÷60=26時間も違うんです。
5分でも、10分でも延ばすことから始めましょう。
学習勉強会3
実はこのスライドが答えです。
しっかり透析です。
時間を延ばして、十分な透析量を確保すると。
これまでの報告から、β2MGは十分に除去され、貧血も改善され、血圧は下がり、心臓も小さくなることが知られています。
そして、十分な透析でリンが下がりますから、しっかり食事をとることが出来ます。
これにより、十分な蛋白質摂取が行え、良好な栄養状態、筋肉量の維持に結びつきます。
患者さんが行うのは、しっかり食事をとること。運動すること。そして、塩分制限を十分に行って、体重を増やさないようにすることです。
スライドには出てないのですが、カリウムにも気を付ける必要は有りますけどね。
となります。
学習勉強会4
十分に毒素を抜く透析はどんな透析なんでしょうか。
可能ならば、透析の回数を増やす事が一番大切です。
以前ご紹介した、ヘモダイアリシスプロダクト(HDP=時間×頻度×頻度)は70以上を目指せと言われていますが、
週3回5時間の方は、5×3×3=45ですが、週6回2時間の透析では、2×6×6=72であり、この理論によると時間は短くても回数が多ければ、十分な透析となると言われています。
実際に在宅で行う家庭透析では、そのような透析方法で、元気に過ごされている方もいらっしゃる様です。
当院でも、一部の方で週4回の透析を行っている方もいらっしゃいます。
ただ、当院の場合は、中2日空くと体重増加が多くなる方であり、本来は、透析量を増やすために回数を増やすことが一番なはずでけどね。
現行の保険制度では、一ヶ月の透析の回数は14回までと決まっており、なかなか週3回より多い回数の透析を常時提供することは難しい状況です。
そして、次は透析時間の延長です。
長時間透析の定義は、6時間もしくは、5,5時間以上のようです。
患者さんたちの合意を得るのはなかなか難しいことです。
そして、血流量を増やすこと。
毎分200mlの血流が一般的ですが、後のスライドで出てきますが、それは日本だけの話です。
もっともっと血流は増やせると思うのです。
そして、HDFを行うことで毒素はもっともっと抜けるようになります。
学習勉強会2
2002年の時点での平均的な血液透析の条件です。
ダイアライザーは高性能膜を使っており、血流量は約200ml/分。
透析液流量おおよそ500ml/分、除水量である限外ろ過量はDWの5%くらいです。
そして、透析時間は3時間59分と4時間を切っています。
さらに、この後時間区分の廃止で透析時間はさらに短くなっています。
この一般に行われている平均的な透析は、患者さんにとって一番いい透析なのだろうかということが今回のお話です。
それで、どういう透析をしている人が長生きしているのだろうか?
どの様な透析が望ましい透析なのかという話になります。
学会が出している望ましい透析条件・データです。
4.5〜5時間以上の透析時間
kt/Vureaで1.4~1.8の透析量を確保しなさい。
血中β2マイクログロブリンは30mg/l以下を目標に。
透析間体重増加は、基礎体重の2〜6%以内がいいです。
心胸比は50%以下
血圧の管理をしっかりしなさい。
栄養状態を良好に維持しなさい。
筋肉量を落とさないことが大切
蛋白質は十分とりなさい。
貧血もよくしなさい。
最後に、リンの管理もしっかりしなさいと。
11項目有るのですが、一つ一つ達成しようと考えると大変です。
しっかり自己管理しなくてはと言う気持ちになりますが、それ以上に大変だという感じになりますよね。
栄養をよくして、蛋白をしっかりとると、リンが上がっちゃいます。
どうすればいいのでしょうか。
学習勉強会を行って
日曜日に郡山腎友会で学習講演会を行わせていただきました。
『元気で長生きできる透析をめざして
—オンラインHDF治療の有効性について—』
と言う題名で行いました。
腎友会の方がほとんどで、来られなかった方もいらっしゃると思います。
それで、その時のスライドを用いて、少しお話をしてみたいと思います。
題名のスライドです。
次のスライドです。
どういう人が長生きしているか〜先人に学べ1〜
以前このブログでも紹介した『透析者と家族が元気になる本』について話しました。
20年、30年と透析を受けてきた患者さんが、今まで元気でいられた秘訣はなにかと。
基本は、透析の時間は長く受けること。
自己管理が大切なんだと言うこと。
透析は優れた治療法を選ぶべきだと言うこと
次のスライドです。
どういう人が長生きしているか〜先人に学べ2〜
サイコネフロロジーを専門とする著名な精神科医である春木繁一先生が、書いた『透析とともに生きる』です。
透析導入してから35年間、6時間半の透析を続けてきており、しっかり透析で毒素を抜くことを続けてきています。
そして、抜いた分は十分な栄養をとることで、合併症もなく過ごされ、最近行った心臓カテーテル検査では、心臓の冠動脈に石灰化が見られなかったという話です。
先生は、『5時間を超えたあたりから、心地よい気分になるんだよね。』と、おっしゃっています。
たまたま本日とある透析施設のホームページを見たのですが、『最長5時間の長時間透析』と宣伝していました。
ちょっと笑ってしまいましたが、実際のところ当院でも5時間を超える透析を行っている方は現在はおりません。
多くの方が時間を減らしていったのに、6時間半の透析を35年も続けてきていることは、とてもすごいことで尊敬いたします。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。