初雪ですね。
昨日の午後は休診でしたので、例年より遅くなりましたが普通タイヤをスタットレスタイヤに交換しました。
今朝、起きたところ今年初めての雪景色
危なかったです。
まあ、歩いてクリニックに行けば良いだけの話ですが、ラッキーでした。
山形県の鶴岡市では90cmも積もったという話ですが、郡山の路面はもう溶けました。
これから寒くなっていきます。
皆さん、気をつけて。
追伸)
当院の透析者の皆さんも、寒くなり血圧が高めの様です。
それから、泌尿器科の患者さんたちも、オシッコが近くなったという人がいらっしゃいます。
お大事にしてください。
IDPNについて
糖尿病性腎症研究会で、IDPNについてスライドを作っていったのですが、結局発表しませんでしたので、ここでお見せいたします。
IDPN(経静脈的栄養補充療法)は、透析中に高カロリー輸液+腎不全用アミノ酸製剤を点滴する栄養補充療法です。
具体例と適応となる患者さんについては、スライドの通りです。
効果として、体重増加、血清alb増加、死亡率の低下などや、透析中に行う点滴ですので、コンプライアンスが良いと言うことが上げられます。
ただ、効果が出るためには少なくとも半年以上の長期投与が必要であると言われています。
さらに、高カロリー補液の投与により高血糖や、投与後の反応性低血糖、そして除水過多による血圧低下などのリスクがあると言われています。
現在は、原疾患が糖尿病の患者さんが多いですが、糖尿病患者さんでのIDPNの有用性は確立されていないようです。
また、血清アルブミン値が3.4g/dl以下では有用であるが、正常値の患者さんではかえって死亡率を高めるという報告もあります。
続き
でも、透析をしすぎてしまうと状態が悪くなる患者さんがいることも事実です。
だから、透析をやり過ぎると悪いという話になるのだと思います。
一番大切なのは、透析をどんどん行うとそれに合わせていっぱい食べてくれる患者さんと、そうでなくあまり食べられない患者さんを注意深く見分けることではないかと思います。
データをチェックして、そして本人の状態の変化を注意深く観察することがとても大切だと思います。
食べられない患者さんの代表が高齢透析患者さんになります。
スライドに問題点をまとめました。
なかなか食べられない人が多いんですよね。
それから、まじめな方は保存期の食事指導が染みついています。
家族も保存期と変わったことに順応出来ません。
私見ですが、この様に発表しました。
高齢・糖尿病透析患者の栄養管理について
昨日は、郡山市内で福島県糖尿病性腎症研究会あり、特別講演でPEWという新しい概念が出てきたと言うことを記事として書きました。
その中で、ちらっと僕も発表したことを書きました。
こんなタイトルで、発表してみました。
透析をしっかり行うと、KT/Vは上昇します。
KT/Vが上がれば生存率が改善することは知られています。
これを米国では、KT/Vさえ上げればいいと勘違いしてしまい、非常に成績が悪くなってしまったことはご存じの方は多いかと思います。
つまり、血流を上げて効率を上げれば時間を短くしてもいいという風に考えてしまい、失敗しているのです。
ところで、栄養状態が悪くなれば、生存率が下がることも知られています。
そこで出てくるのが、透析をやり過ぎるとアルブミンが抜けてしまい、栄養状態が悪くなって生命予後が悪くなるのではないかという話です。
当院では現在、
透析液の清浄化
透析時間の延長(5時間透析を目指す)
血流量の増加(可能な場合は300ml/分)
オンライン前希釈血液濾過透析(12リットル/hr)
と言う治療方針で透析診療を行っています。
今回の発表で示しましたが、以上の透析を実践している(週当たり14時間以上の透析を行っている)6名中5名が、6から12ヵ月の期間で4kg以上のドライウエイトが上昇し、太ったことを発表しました。
この5名のKT/Vは1.6から2.6です。
実はKT/Vが一番高い2.6の方(女性)が転院後5.6kgも太っているんです。
時間当たりのKT/Vは予後が悪いと言われている4.5を超えています。
でも、やせの人が普通の体重になりました。
ただ、筋肉量については検討していないので、その部分は分かりません。
透析量を上げると、データが良くなるので、食事制限が緩和され、今まで我慢していた方が、我慢せず食べるようになります。
そうすると太っていくのです。
透析患者さんでは、痩せることが危険で太ることはいいことだと言われていますので、現在の治療法は間違っていないのではと現時点では考えています。
PEW(Protein-energy wastiung:蛋白・エネルギー消費状態)
昨日、郡山市内で福島県糖尿病性腎症研究会が行われました。
僕も演題を一題出していて、発表してきましたが、特別講演はとても興味がある内容でした。
「透析患者のPEW(Protein-energy wastiung:蛋白・エネルギー消費状態)についてと言う内容で、東邦大学医療センター大森病院の水入苑生先生が講演されました。
ここ数年、透析者の栄養障害、慢性炎症状態、動脈硬化をMIA症候群と命名し、最近やっと広まってきたと思っていましたが、時代はPEWに変わってきているようです。
栄養障害が有っても慢性炎症や動脈硬化につながらない場合も有り、MIA症候群よりもPEWの概念の方がいいと言うことになったようなんです。
しかも、水入先生のお話では、このPEWが世界基準になってきていて、日本でもPEWが基準となってくる様だとの話でした。
診断基準は、アルブミンなどの低下、BMIが18.5以下、筋肉量が2ヵ月で5%、6ヵ月で10%以上の低下、食事摂取量が0.8g/kg/day以下とのことです。
これらの項目が当てはまってくるとPEWに該当するようです。
でも、MIA症候群を診断するために開発されたMIS(Malnutrition―Inflammation Score)では、病歴の部分に体重変化、食事摂取があり、身体所見で筋肉量の変化があり、BMIも項目にあり、検査データではアルブミンも入っているので、ほとんど一緒の感じがします。
しかも、MISは項目の合計で点数的に評価出来るので、経時的にも見られるので、使いやすいですが、PEWは当てはまるかどうかだけですので、概念だけのもののような気がします。
ただ、世界基準には逆らえないとの話なので、ここ数年で慣れ親しんできたMIA症候群も忘れ去られ、透析者の栄養というとPEWとなっていくのかもしれません。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。