『血液透析の修正可能な治療指標を用いた高透析量透析の検討』3
時間延長と血流増加により高透析量の透析を行っていますので、透析量の指標であるKT/Vは、日本人患者サンプルで69.3%であることに対し、全ての患者さんで基準となる1.2を超えており、平均値は1.84でした。
よく透析をやり過ぎるとダメだと言われる方がいらっしゃいますが、実例では、
KT/Vが2.3の方は、透析歴3年の57才男性で転院後DWが4.3Kg増加しています。
KT/Vが2.4の方は、透析歴9年の59才女性ですが、転院後DWが4.6Kg増加しています。
KT/Vが2.6の方は、58才女性で透析歴3年ですが、転院後DW5.6Kg増加増加しています。
透析者の予後は、BMIが高いほど良いと言われています。
あまり高すぎるのも問題のようですが、この方たちは皆さん、転院時は痩せていて、高透析量の透析を行っていくうちに太ってきて、現在は標準体重になってきている人たちです。
食べられる方ではそれに見合う量の透析をどんどん行った方が良いと思います。
ただ、高齢者では食べられない方がたくさんいらっしゃるので、そのような方では透析量を多くすると、それに見合う栄養が取れずに痩せてしまい、予後が悪くなる可能性がることも付け加えておきます。
『血液透析の修正可能な治療指標を用いた高透析量透析の検討』2
発表したスライドの目的です。
当院では、5時間透析を目指して透析時間の延長を行っています。
そして、血流量も可能な場合は300ml/minを目標に増加させています。さらに、大量置換前希釈オンラインに血液濾過透析を行っています。
これらの透析を行うことで、今回の指標がどのくらい達成できたかを発表しました。
当院に転院後3ヶ月以上経過した患者さん25名について調査しました。
性別は、男性22名・女性3名で平均年齢は63歳でした。
原疾患は、糖尿病の方が多く14名で、糖尿病でない方は11名でした。
年齢的には全国平均の65.3歳よりやや若く、糖尿病が原疾患の方が、全国平均の34.2%に比べ56%と明らかに多いです。
当院は開院してまだ1年半であり、導入直後に紹介され転院してくる方が多いので、平均透析歴は50ヶ月です。
オンラインHDFを希望しない1名を除いた24名でオンラインHDFを行っています。
患者さんには透析時間を延長することで、高血圧が改善し、心臓の負担が少なくなり、データが改善して食事制限が緩和されることを十分に説明しています。
4時間透析の方では、まずは 4.5時間をお勧めしています。
そして 希望される方には、5時間としています。
現在の印象では、オンラインHDFで血流を上げているからかもしれませんが、調子の悪い方で4時間透析の方を4.5時間にするとかなり違うと思います。
透析中の血圧低下がひどい方や、高血圧が改善しない方でも、多くの方が4.5時間にすると落ち着いてきます。
5時間透析では、血圧が落ち着かない方はいらっしゃいません。
ただ、4時間透析でも調子がいい人もいますので、それぞれの患者さんに適した透析方法を選択することが一番だと考えています。
透析量は少しでも多い方がいいという考えから、血流量は300ml/minを目標としています。
若い方で活動量の多い方では、最高で360ml/minの方がいらっしゃいます。
オンラインろ過透析の補充液置換量は毎時間12リットルですので、4時間透析で48リットル、5時間透析では60リットルとなります。
濾過量が多いのは、前希釈法ですので可能となっています。
現在、当院で一番透析をしている方は、5時間透析血流380ml/minの前希釈オンラインHDFです。
とてもお元気です。
クリスマスイブですね。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
今週の日曜日に新居に引っ越しましたが、未だに段ボールの数が減らず、悪戦苦闘中です。
でも、昨日やっとネットがつながりました。
なかなかつながらず困っていましたが、何とかつなぐことが出来ました。
今日はクリスマスイブ。
子供がチキン大好きなので、今年はターキーを買ってきてイブに食べたいと考えていました。
先週、ケンタッキーフライドチキンに電話したところ、午後2時から8時までの時間帯は全て売り切れでした。
いつもいつも後手に回っています。
先日、近くの山忠という定食屋さんで、『クリスマスにターキー焼きます。』という張り紙があったことを思い出し、予約してきました。
夕ご飯が楽しみです。
『血液透析の修正可能な治療指標を用いた高透析量透析の検討』
12月19日に第81回福島腎不全研究会で演題を2題発表したことを書きましたが、その発表をブログでも公開します。
演題名は、
『血液透析の修正可能な治療指標を用いた高透析量透析の検討』
です。
昨年の透析学会雑誌に、
血液透析の修正可能な治療指標に起因する日本の透析患者の推定生存年数-DOPPSより-
と言う論文が出されました。
大変御高名な先生方が連名で書かれた論文です。
その中の抜粋ですが、
血液透析療法のうち修正可能な6つの治療分野(指標)において,推奨レベル(目標値)を達成していない患者割合を算定するために,DOPPSから得られた日本人血液透析患者の代表サンプルを用いた.
日本人の血液透析患者の内,ごく少数の患者では5つないし6つの指標で目標値を達成していたが,殆どの患者(78.1%)で達成した指標は2つないし4つであり,20.5%の患者では1つ以下と,かなりの割合の患者が治療指標の推奨レベル(目標値)を達成していなかった.
とありました。
施設でのカテーテル使用の有無というのは、その透析施設でシャントや人工血管ではなく、留置カテーテルを使用して透析をしている方の割合が10%以上かどうかということです。
カテーテル留置をして透析を行っている方は、当院の様な外来透析を行っている施設よりは、入院できる施設で透析を行っている場合が多いので、この部分は当院に有利だと思います。
論文によると、各治療指数の目標値を達成していない患者割合は、DOPPSⅡに参加した時点の透析患者数1805名を元に計算され、その割合は施設の大きさに対する不釣り合いなサンプリングを無くすために、施設当たりの患者数で補正されたとあります。
つまり、日本で透析を受けている方の全てのデータではなく、代表的なデータだと言うことは付け加えておきます。
達成された治療指標項目数の割合は、かなり低く、
6個は0%、5以上で1.7% 、2−4個で78.1%、1個以下が20.5%と記載されていました。
この結果を見てしまうと、これらの目標を全て達成することは至難の業という感じですね。
そこで、高透析量のオンラインHDFを行うことでこれらの指標がどのくらい達成できるかについて、当院の治療成績を発表しました。
一つだけ付け加えておかなければならないことがあります。
僕が今回発表したことと、この論文の主旨は全く違うということです。
この論文では、透析者の生命予後を改善する目標値を検討することであり、血清アルブミン4.0g/dL以上の患者の割合を増やすことヘモグロビン値11g/dL以上の患者の割合を増やすことが、生存年数の延長に最も良い効果をもたらすと述べています。
そして、透析者の生命予後を改善するために、現在の貧血ガイドラインにあるヘモグロビン目標値≥10g/dLを11g/dLに変更するべきであると言う事を結論としています。
本来の主旨とは異なる部分を使用してしまって申し訳ないのですが、ただ、このようなデータは、本来は毎年学会から出される『我が国の慢性透析療法の現状』で公表すべき内容であるべきだと思っています。
全国の施設からデータを収集して『我が国の慢性透析療法の現状』を出していて、いろいろな統計解析を行っているにもかかわらず、このような目標値とそれに対する生存率の発表がされていない現状はおかしいと考えております。
2001年のデータは発表されているのです。
でも、それ以降出されていません。
前回の保険点数の改正時に時間区分を復活させる為に、時間についての生命予後は出てきたのですが、今回の目標値と生命予後については少なくとも毎年公表されるべきだと考えております。
第81回福島腎不全研究会
12月19日に第81回福島腎不全研究会が郡山市のビッグアイで行われました。
今回は臨床工学士の発表がなく残念でしたが、看護師、医師の演題が沢山あり、盛り上がっていました。
僕も
『血液透析の修正可能な治療指標を用いた高透析量透析の検討』
『高透析量・大量置換オンラインHDFでの栄養状態の検討』
という、2題の発表をさせていただきました。
『血液透析の修正可能な治療指標を用いた高透析量透析の検討』では、DOPPSの日本人データと当院の治療成績の比較を行い、発表いたしました。
また、
『血液透析の修正可能な治療指標を用いた高透析量透析の検討』では、当院で行っている高透析量のオンラインHDFでの栄養評価を行い、発表させていただきました。
発表内容については、このブログでも記載したいと考えています。
実は、昨日これまで住んでいた場所から同じ市内ですが引っ越しをしましたので、その準備もあり、途中で帰宅してしまいまいた。
特別講演が聴けなくて残念でした。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。