- 2018.12.01
- 一般
シャントの穿刺失敗率について
先日、福岡の池田バスキュラーアクセス透析クリニックさんの施設見学をしてきた事を記事にしました。
エコー下穿刺を主に見学させて頂きました。
穿刺には痛みがありますので、出来るだけ失敗しないようにしたいです。
その為にエコー下穿刺は有用だと思います。
そして、まずは自施設の穿刺の成績を把握しておく事が大切だと思います。
以前より当院では穿刺の失敗率をチェックしていましたが、直近3ヵ月の穿刺成績を円グラフにしてみました。
以前講演会で聞いた失敗率は4−5%で、他施設の報告でも同様の結果でした。
それに比べ1.2%はかなり良好な成績だと思います。
ただ、当院にスペシャルな穿刺技術の高いスタッフがいると言う訳ではありません。
もちろん、かなり難しいアクセスにも穿刺出来る頼もしいスタッフはいます。
では、何故当院の穿刺成績は良いのでしょうか?
理由はいくつか考えられます。
一つは高血流透析をしているから脱血不良を発見し易いという事があります。
狭窄が出来て脱血不良が生じるようなシャントは穿刺を失敗する可能性が高くなります。
そして、院内でシャントエコーの出来るスタッフが3名いて、更に勉強中のスタッフもいます。
シャント造影が必要な方の場合も速やかに対応できます。
アクセスの管理がし易い環境のため、狭窄を早く発見出来て、穿刺の失敗が少ないのかと考えています。
こちらは年間のPTA数ですが、狭窄が解れば速やかにPTAが出来る環境にあると言う事も穿刺失敗が少ない理由となっているのではと思います。
今回、エコー下穿刺のテクニックを勉強させて頂きました。
更に穿刺成績が上げられるように精進していきたいと思います。
- 2018.11.30
- 一般
池田バスキュラーアクセス透析クリニックさんの施設見学
月曜日は先日の休日当番医の振替で外来はお休みとさせて頂きました。
私は、福岡市の池田バスキュラーアクセス透析クリニックさんの施設見学をさせて頂きました。
池田先生、安田先生無理矢理押しかけても快く見学させて頂きありがとうございました。
写真は、看護部長の水内恵子さんと
前職は、安田女子大学看護学部の准教授で、2020年に広島で開催される第23回日本腎不全看護学会学術集会・総会の大会長をされる方です。
見学では、エコー下穿刺を中心に診せて頂きました。
当院でもGE社製のポケットサイズエコーVscanを使用していますが、使い方で改善すべき部分がたくさん解りました。
ありがとうございました。
- 2018.11.27
- 一般
第14回長時間透析研究会に参加してきました。
11月24日の土曜日から25日の日曜日にかけて福岡県福岡市のアクロス福岡で開催された第14回長時間透析研究会に参加してきました。
今回は、シンポジウム 過剰透析はあるか?Pros and Cons
の座長と言う大役をさせて頂きました。
しかも、透析業界の若手ではホープと言われる谷口先生と一緒に座長をさせて頂き大変恐縮でした。
シンポジウム【SY-1~4 】過剰透析はあるのか? Pros and Cons10:00~11:30〈発表15分+質疑3分〉
座長:鈴木 一裕(援腎会 すずきクリニック)
谷口 正智(医療法人医心会 福岡腎臓内科クリニック)
SY-1 過剰透析はあるのか? Pros and Cons(賛否両論)
茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター、透析センター(茨城県)小林 弘明
SY-2 理論上過剰透析はあるが、臨床現場では問題になっていない
医療法人社団 坂井瑠実クリニック(兵庫県)喜田 智幸
SY-3 過剰透析はあるのか?
腎友会 岩見沢クリニック(北海道)千葉 尚市
SY-4 過剰透析への対応について
幸善会前田病院 腎臓内科(佐賀県)前田 篤宏
総合討論 18分
最初に私の方からintroductionを発表させて頂き各演者の先生方の発表となりました。
90分のシンポジウムで4名の先生方が発表してくれましたが、一題一題の質問が多数あり、議論も白熱していました。
そのため、総合討論の時間は無くなりましたが、会場の多くの方から大変良かったとお褒めの言葉を頂けました。
今回の長時間透析研究会は今年の4月に長時間透析に保険点数の加算が付いたこともあり、今まで以上に内容が充実した研究会だったと思います。
衝撃的だったのは、北海道の伊達クリニックさんのこの1年で長時間透析を受ける患者さんが1名から30名に増加したと言う発表でした。
長時間透析の良さを十分に説明し、お試し体験をして頂いた30名の方が皆さん現在も6時間透析を受けていると言う話でした。
当院でもしっかり透析を推奨していますので、透析時間延長の成果についてこれからも多くの患者さん達に啓蒙していきたいと思います。
- 2018.11.14
- 一般
第9回透析運動療法研究会のプログラムが公開されました。
http://www.exercise2019.jp/program.html
来年の2月10日に名古屋国際会議場にて開催される第9回透析運動療法研究会のプログラムが公開されていました。
大会長の森山 善文先生が考えられたプログラムさすがです。
聞きたい内容が盛りだくさんです。
ご興味のある方は是非とも来年2月に名古屋に集合してください。
尚、次回大会は第17回日本フットケア学会年次学術集会と同じ場所で行われます。
フットケア学会に参加される方で運動療法にご興味のある方に朗報かと思います。
しかもスタッフ参加費は2000円と格安です。
たくさんの方が参加してくれる事をお祈りいたします。
- 2018.11.14
- 一般
認知症で入院中に転倒し後遺症 病院に2770万円の賠償命令
http://news.livedoor.com/article/detail/15458686/
先日あった病院でスタッフが目をそらしている間に転んだ認知症の方が後遺症を残して裁判となり、2770万円の賠償が命じられたと言うニュースがありました。
傍聴した方の傍聴記が有りましたのでリンクしておきます。
これを見て私は大変困った判決が出たなあと思いました。
転倒して後遺症を残した患者様とご家族様にはお見舞い申し上げますが、要介護度5で認知症の長谷川スケールが0点の患者さんです。
長谷川スケールは30点中19点以下が認知症疑い、0-4点は高度認知症になります。
要介護度5は以下の状態です。
・身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話ができない。
・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作ができない。
・歩行や両足での立位保持などの移動の動作ができない。
・排泄や食事ができない。
・多くの不安行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
この裁判では、後遺障害慰謝料を約2000万円としています。
そして裁判所の判断は、「元々重度認知症ではあったが、上肢機能に異常はなく4月から歩行能力も改善しており,認知症と四肢麻痺は同系列の障害ではなく、新規障害と判断するので損害は2000万円を下らない」との旨の判断でした。
つまり要介護度5で高度認知症の方でも、部位が違うので普通の元気な方と同等の後遺障害慰謝料だと認めたと言う事です。
これを聞いて、10年前に有った裁判を思いだしました。
10年近く前の話ですが、それまでは帝王切開後の自然分娩は一般に行われていました。
しかし、ある大学病院で帝王切開後の自然分娩で出産されたお子さんに重度の障害が発生し、裁判で大学病院が負けてしまいました。裁判の内容を聞きましたが、どう見てもそれ以上の対応は困難と言うレベルで対応したが不幸な結果になったと言うものでした。
それ以来、日本中で帝王切開後の自然分娩を行う病院が無くなりました。それは全国の帝王切開を受けている妊婦さん達に取って不利益です。
今回もこの件から高度認知症の方は受け入れないと言う病院が増えてしまったら認知症の方を抱えるご家族はどうすれば良いのでしょうか?
ため息が出る話です。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。