開院して1年が経過しました。
援腎会すずきクリニックは、昨年の5月12日に開院しましたので、本日で1周年となります。
感想としては、あっという間の一年でした。
開院した日から今日までのことが、走馬燈の様に思い出されます。
開院当初、不慣れなために患者様にはご迷惑をかけてしまったことが少なくは無いと思います。
これからも、職員一同全力で人工透析と泌尿器科の診療を行っていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
5月12日の診療時間について
5月12日所用にて、診療時間が17時までとなります。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
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ちょっと出身大学である福島県立医科大学へ、学術的なお仕事をするためにお出かけすることになりました。
現代の医療水準は、日々高度になっています。
あらゆる分野で、置いて行かれないように努力する必要が有ります。
また、クリニックの特徴である透析診療については、時代をリードしていく立場でありたいです。
泌尿器科診療のこと
4月になって、泌尿器科のことも書かなければと考えます。
ブログって書いて1年位すると埋もれていってしまうんですよね。
昨年開院前に一度記事としましたが、再度、シリーズで泌尿器科の病気の事を書きます。
まずは、患者さんの症状を聞くことから診療は始まります。
病名ではありません。
患者さんが来院するときは、自分はどういう病気だと言って来院するわけでなく、症状を言って来院しますよね。
つまり、どの様な症状の場合、どの様な検査と治療が行われるのかが、実際に知りたいこととなるかと思います。
それで、最初にお話ししますが、おおざっぱな話になります。
多数の方は、同じ診療の方針でいけますが、症状や既往歴、飲んでいる薬などから、これはちょっと病気が違うようだと考えられた場合には、方向性が違ってきます。
そのことを踏まえごらんください。
1,血尿がでた。
2,検診で血尿があると言われた。
3,オシッコが出にくい(排尿困難)
4,オシッコが近い
5,前立腺癌の数値(腫瘍マーカーPSA)が高いと言われた。
6,背中が痛く血尿が出る(尿管結石)
7,オシッコするときに痛みがある。
以上について、シリーズで連日投稿したいと思います。
血液ろ過透析(HDF)について
みなさん。血液ろ過透析(HDF)とは、どんな透析かご存じですか。
透析は、血液と透析液の間にある半透膜を介して、その濃度差で物質の移動がおこり、尿毒素が血液から透析液に移動して血液をきれいにする方法です。
ただ、その場合には半透膜の孔を通りやすい小さな物質しか除去できません。
透析が始まった頃は、小さな物質だけを抜くだけでも効果があったのですが、長期間透析ができるようになると、もっと大きな物質を抜かないとずっと元気でいられないことがわかってきました。その大きな物質の代表が透析アミロイド症の原因物質であるβ2マイクログロブリンです。
大きな物質を抜く方法で最も簡単なのは、孔を大きくすることですが、重要なタンパクまで抜いてしまいます。そのため考えついたのが、血液と透析液の間で水を大量に移動させることで、水と一緒に移動する性質の大きな物質を移動させて除去する方法です。これを血液ろ過と言います。
血液がダイアライザーに入る前に点滴を多量に入れてその分の水分を引っ張る前希釈という方法と、引っ張った後に点滴を入れる後希釈という方法があります。
濾過だけでは小さな物質の除去が悪くなるので、ろ過と透析を併用した血液ろ過透析が主流です。
具体的には、透析で2kg増えてきた方の場合は、2kg分の水分を取り去らなければいけないので、ダイアライザーを通してポンプで2Kg分水を引っ張って取り去りますが、HDFを行うときは、この除水に加え点滴をたとえば8L行います。そうすると、ダイアライザーを通しては、2L+8Lの合計10L水を取り去ることになり、それに伴い、大きな物質が除去できることになります。
説明に適した図を持っていないので、言葉では一般の方には難しいと思います。
ここまでの部分は、ふーん。と言って、流し読んでください。
それでは、HDFにはどのくらいの効果があるのでしょうか。
1.普通の透析で取りきれない老廃物の除去
β2マイクログロブリンを除去し透析アミロイドーシスを改善させる他にも、手根管症候群、心臓などの各種臓器へのアミロイドの沈着、破壊性脊椎炎などの合併症を予防し、全身の痒み、下肢のいらいら感などの不愉快な症状、不眠、色素沈着を改善すると言われています。
2.透析中および普段の血圧の安定
HDFは透析中に血圧が低下する透析困難症に有効だと言われています。そして、普段の血圧も落ち着いてきて降圧剤を減らせる場合があります。
3.貧血の改善
造血阻害因子の除去により貧血が改善すると言われています。
4.食欲の改善
不必要な老廃物が除去されることで、調子が良くなり多くの方が食欲が出てくるといわれます。
これだけ効果があると言われているのに、HDFが主流の方法とならない理由はなぜなんでしょうか。
HDFには専用の透析機械が必要であり、高価なため、普及していないという理由がまず1つです。
そして、ボトルタイプの点滴を大量に使用するので、そのコストがかかり、現在の医療費削減の方向では、全ての患者さんに濾過透析を行ってしまうと、やり過ぎであると見なされてしまう可能性があり、施設の中でも限られた患者さんに対し行っているのが現状です。
そのため、透析をはじめてからの期間が長い患者さんで、手根管症候群、異所性石灰化による関節痛があってアミロイドーシスなどの問題を抱えている方や透析困難症で透析中に血圧が下がってしまう方だけに、HDFを行うことが多いのです。
まず、透析の考え方です。
最初に掲げたのが、透析診療における三つの柱です。
1. 透析専門医がじっくり時間をかけて診療いたします。
2. 高度な水質管理を行い、全台オンラインHDF対応です。
3. 『透析をやって元気になろう』を目指します。
透析の診察は、月一回は診察室での時間をかけた診察を行いたいと考えています。
と書きました。
これは、開院当初より現在まで続けています。
一時期、月2回の面談を行っていましたが、透析が終わった後に少し待ってもらったりするので、やっぱり月1回でやろうと言うことで、現在は月1回の面談をしています。
すごく落ち着いていて、特に話すことも無い方もいらっしゃいますが、レントゲン写真やデータをきちんと説明し、困っていることが無いかを確認する良い時間になっています。
月1回では、栄養指導も月1回行っています。それは、とても重要なことだと思っています。
初回は、個室でじっくり時間を取って行いますが、その後は透析中のベッドサイドで、直近の検査データも含めて、管理栄養士が説明してくれます。
患者さんのデータや状態は刻々と変わってきます。
当院では、糖尿病の方が多いのでなおさらです。
数年前にやった栄養指導が、現在の状況に合っていることの方が珍しいのでは無いでしょうか。
次の透析液清浄化ですが、この点については、当院の優秀な技師たちに任せっぱなしです。
透析液が清浄化されていると言うことは、透析治療の土台になることですので、絶対に守らなければならないことです。
もちろん、清浄化をきちんと確認するために、エンドトキシンおよび細菌検査を月1回欠かさず行っています。
これは、ホームページや更衣室前の掲示板に載せていますが、きちんと清浄化されていることを示すことは大切だと思います。
これによって、全台オンライン濾過透析可能となっています。
それで、全ての患者さんに大量置換の濾過透析が行えるようになってます。
大量置換オンラインHDFの効果だと思いますが、当院に移られた患者さんの多くの方が、かゆみが良くなったとおっしゃっています。
そして、半年以上観察した患者さんのほとんどの方が心胸比が小さくなっています。
リンの値も下がり、炭酸カルシウムの内服量が減ったことは、昨年の福島腎不全研究会で報告させていただきました。
オンラインHDFの利点であるアミロイド症に対する効果は、長期透析の患者さんがいないためによく分からないのですが、透析が終わって帰られる患者さんと、これから透析を受ける患者さんの区別がつかないほど、透析後の患者さんたちは元気に帰って行きます。
もちろん、オンラインHDFの最大の利点である透析量は、全ての患者さんで増加することが出来ています。
当院に転院してきた患者さんは、全ての方が『元気で長生き出来る様になる』ということが、現在のクリニックの目標です。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。