2010.09.13
診療
研究

EDと生活習慣病1

EDの話が飛んでしまっていたのですが、再開します。

EDと生活習慣病についてです。

肥満とEDの介入研究が有ります。
BMI30以上の肥満の方で、なおかつ国際勃起機能スコアで21点以下であるEDの患者さん110人を55人ずつに分けて、10%の体重減を目標とした介入群55名と非介入群55名に分けた研究です。

介入群55名は、毎日の食事内容を日記に書かせ、1年目は1700kcal、2年目は1900kcalと指示して、運動についても歩行の仕方を指導。そして月1回はグループ会で守られているかチェックした群です。

そうしたところ、2年後には、体重、BMI、血圧、血糖値、TC値、TGが有意に低下し、HDLが上昇して、さらに31%の患者さんでEDが改善したそうです。

しかし、パンフレットを用いて、運動、食事の一般的な注意を口頭で伝えた非介入群55名では、2年後の体重、BMI、血圧、血糖値、TC値、TG値に変化は見られず、EDも5%の人しか改善しなかったという報告です。

この論文では、肥満ED男性には、運動と食事に関して濃厚な専門的指導によって減量すると、勃起機能が回復して、さらに心血管疾患のリスクも下がると結論づけています。

 

 

 

 

2010.09.11
診療
開業 / 病院経営
研究

長時間透析の長所と課題

全国の透析患者さんの会である全腎協の会報『ぜんじんきょう241号』で、『長時間透析の長所と課題 』と言う特集が載っていました。
芦屋坂井瑠実クリニックの坂井瑠実先生が書かれていました。

長時間透析は、週3回6時間以上、または週合計18時間以上の透析と長時間透析研究会で定義されるそうです。

長時間透析の利点としては、とにかく生存率が良いという事です。
透析期間の生存率の推移の比較というグラフが載っていました。
そこには、日本透析医学会平均と、週4回6.6.6.4時間の透析を行っているIクリニックと週3回6.6.6時間の透析を行っているM病院の生存率が書かれていました。
どちらも長時間透析を行っている有名な施設です。

グラフは許可が無いので載せられませんが、
おおよそ
5年生存率が
日本透析医学会平均 約60%
M病院       約80%
Iクリニック    約80%

10年生存率が
日本透析医学会平均 約40%
M病院       約60%
Iクリニック    約70%

20年生存率が
日本透析医学会平均 約20%
M病院       約35%
Iクリニック    約50%

と言うグラフでした。
それにしても、Iクリニックのにの生存率はすごいです。
20年で50%の生存率ですね。

今まで、二次性副甲状腺機能亢進症の治療はとか、合併症に対する治療はとかの話しは良くされていました。
でも、もっと大切な生存率を高くするにはどうすればいいかと言う話はあまりされてきていない様な気がします。
このような話がどんどん広まっていくと良いですね。

現在当院で長時間透析に当てはまる方は1名ですが、当院でも〝透析を沢山する〟と言うことをもっと広めていきたいと考えています。

ちなみに当院の治療方針は、

透析時間延長
血流を上げる
ろ過透析を行う

で透析診療を行っています。

2010.09.09
診療
開業 / 病院経営

インフルエンザワクチンの接種料金 追伸

前回、インフルエンザワクチンの接種料金が市町村で固定となると言う話を書きました。
そのことについて、最新情報を入手しました。

「設定料金を上限とし、各医療機関で接種料金を設定することも可能とする」
といった内容になりそうです。

ちょっと安心しました。

2010.09.04
診療

第37回東北腎不全研究会 5

死亡リスクと関連する6つの治療指標の全てで、日本人透析患者のサンプルより、当院の治療成績の達成度が上回っていました。
kt/vを上げることの有用性が示されたと思います。

また、達成された項目数の割合でも、5個以上の達成が83.3%あり、達成率が高かったです。

さらには、高透析量群では、6項目全て達成された割合が50%あり、透析量を上げることが出来れば、それだけ死亡リスクと関連する6つの治療指標が改善される結果でした。

大量置換ろ過透析、高血流によるアルブミン漏出と言う問題はありますが、今回は示していませんが、栄養状態が不良と言われるアルブミン3.5g/dl未満の方は比較的少なかったです。

今後は、長期予後が改善したかどうか検討していきたいと思います。

2010.09.03
診療
研究

第37回東北腎不全研究会 4

日本人サンプルと当院での達成された治療指標項目数の割合です。
あまりにも差があるのでビックリしました。

日本人サンプルの数が少ない影響も有ると思います。
当院より優れている透析を行っている施設をいくつも知っています。
ただ、今回の日本人サンプルの治療成績は、世界の中でも一番の生存率と聞いています。

当院が凄い治療をしているとは思っていません。
週3回6時間以上の長時間透析を行っている施設、週4回や隔日透析を行っている施設などあり、とても優れた成績であると聞いています。

当院では、4時間では短いので、できれば30分で良いので延ばしなさいと言っています。
理解がある方は5時間透析をしてます。

血流は、一般的に200ml/分なのに対し、16ゲージで取れる最高の300ml/分にしています。
15ゲージでもいい方は、400ml/分としています。

そして、水がきれいなので、大量置換ろ過透析をしていると言うことです。
ただ、大量置換ろ過透析は、Ⅴ型の大きな膜を使った透析をすることで、効率的にはそれほど変わらないと思います。
大切なのは、少しでも時間を延ばし、血流を上げるということです。

少しだけですが、他の施設より多く透析をすることを目指し、kt/vを最低1.6以上とすることを目指しています。

ちょっとずつの積み重ねが大切だと思っています。

高透析量群は、さすがに6項目全てを達成している方が多いです。
中間透析量群は、それに次ぐ成績です。
非大量置換HDF群でも、それなりの項目数を達成していました。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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