透析学会合同緊急企画 オンデマンド視聴
6月に横浜で日本透析学会が開催されました。
学会では、震災に対する特別企画
「東日本大震災と透析医療:被災地からの報告」
司会: 田熊淑男(仙台社会保険病院)
渡辺 毅(福島県立医科大学)
演者1 木村朋由(仙台社会保険病院腎疾患臨床研究センター)
演者2 大森 聡(岩手医科大学)
演者3 川口 洋(いわき泌尿器科)
演者4 荻原雅彦(雅香会おぎはら泌尿器と目のクリニック)
追加発言 渡辺 毅(福島県立医科大学)
「東日本大震災と透析医療:支援地からの報告」
司会: 内藤秀宗(内藤医学研究所)
山川智之(仁真会白鷺病院)
演者1 風間順一郎(新潟大学)
演者2 秋葉 隆(東京都区部災害時透析医療ネットワーク代表世話人/東京女子医科大学)
演者3 伊東 稔(清永会矢吹病院)
演者4 戸澤修平(クリニック198札幌)
と言う2つの緊急シンポジウムが行われました。
http://blog.m3.com/ennjinnkai/20110619/2
演者の皆さんが、経験された被災地での状況をとても詳しく話してくれました。
僕は、自分の発表があり、前半は途中からの参加になってしまい、前半が聞けなかったのがとても残念でした。
そうしたところ、とある方に透析学会の合同企画がオンデマンド視聴出来る事を教えて頂きました。
http://jsdt56.umin.ne.jp/ondemand/
是非、たくさんの方に聞いて頂きたいと思い、紹介させて頂きます。
透析クリニックが被災して 11
個々について詳しく説明します。
ゲルセーフは、GEL上に粘着性をプラスしたウレタン素材のステンレス板を使用して、衝撃や振動を90%以上吸収することができるものです。
以下、販売会社のホームページをご覧ください。
http://www.wmsnet.co.jp/gel.htm
多人数用透析液供給装置を上に設置した免震装置です。
こちらは耐震でなく、免震となります。
コンソールに設置してある地震検知装置の構造です。
難しくて仕組みはよく分からないので、詳細は東レメディカル社の方に聞いてくださいね。
地震が発生するとポンプが自動停止して透析が一時止まる仕組みになっています。
以上、当院の設備としての地震対策です。
次回は、実際に震災に逢ってこれらの装置が役だったかについてスライドに示します。
透析クリニックが被災して 10
何度も書きますが、今回の地震では、郡山から須賀川にかけて建物の損壊が大きかったんです。
左上の写真、手前がいつも行っている床屋さんです。
その奥のきしもとと書いて有るビルですが、斜めになっています
4回立てのビルなのですが、1階が潰れてしまいました。
現在は、取り壊されて更地になりましたが、震災後2ヶ月くらいはこの道路が通行止めになり、とても不便でした。
その事もありますが、この建物の脇は通学路になっていまして、我が子が5分前に通っています。
いつもなら2時45分くらいは、ちょうどこの建物の脇を通るくらいの時間ですが、その日は家でTVゲームをする約束をしていたので、走って帰ってきたので難を逃れました。
地震時にはちょうど玄関にたどり着いたところでした。
この建物の中で、1階に人がいたそうですが、運良く助かったとのことです。
その事を聞いて本当に良かったと思いました。
あまり、無駄話をしていてはいけません。
援腎会すずきクリニックは、建物が出来てまだ3年足らずでした。
これまでの地震の経験から透析室ではたくさんの地震対策が行われています。
まず、機械室では、重いRO装置は転倒防止器具であるゲルセーフの上に設置されています。
また、背の高い多人数用透析液供給装置は免震装置上に設置されています。
配管は、フレキシブルなチューブ配管にて施工されています。
透析室
透析監視装置は自立型で、福島県で初めて地震検知システムを搭載した装置です。
もちろん、キャスターはフリーロックとなっています。
第38回東北腎不全研究会
毎年夏の終わりに開催されている東北腎不全研究会が今年は8月27日(土)、28日(日)に盛岡市で開催されます。
http://rf-t38.umin.jp/outline/index.html
27日(土):ホテルメトロポリタン盛岡
28日(日):いわて県民情報交流センター(アイ―ナ)
今年は27日の土曜日が、研修会、イブニングセミナー、懇親会だけで、28日の日曜日がメインです。
今回の東北腎不全研究会は、今回は「東日本大震災(災害と透析医療)」に関する演題だけに絞って、演題募集が行われました。
本日抄録集が届いたのですが、震災についてとても中身が濃い内容です。
実際に経験した東北の透析に関わる人達の発表ですので、とても参考になると思います。
ちなみに私も、
14:30〜15:20 一般演題2 臨床的検討で
O-10 震災前後における血圧の変動〜家庭血圧の評価〜
援腎会 すずきクリニック 鈴木 一裕
を発表させて頂きます。
と言う事で、お盆中は演題のスライド作製に励んでいました。
日曜日1日で震災への対策を全て見ることが出来ます。
是非ご参加ください。
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震災から5ヵ月が経過しました。
3月11日に透析治療中、緊急離脱した時の状況ですが、ベッドから患者さんが転落したり、針が抜けてしまう様なことはありませんでした。
ただ、揺れはとても強く、透析装置につり下げていた鉗子が落下して地面に散乱してしまうくらいでした。
透析を始めたばかりであり、止血バンドがバックの中にあったり、回収セットに消毒液が入っていなかったり、さらに一部はベット上から落下し散乱していました。
回収を行える状況でなかったため、緊急離脱をすることになりましたが、離脱法が統一化されてなかったため、回収方法は個々のスタッフの判断で行いました。
皆必死でした。
緊急離脱を行った10名の離脱方法です。
スタッフが落ちた鉗子を拾い集め、鉗子をかけて離脱させ、シートで包んで、シャント肢を保護するように患者さん達に持ってもらい、1階へ誘導させました。
年配の看護師はが鉗子をラインにかけて切断して離脱させましたが、その操作がとても早かったとのことです。
院長が駆けつけたところ、まだ離脱出来ていない患者さんが残っていて、サイドテーブルにはベルトとガーゼが置いてありましたので、抜針してベルトで止血しました。
最近では、切断法は危険であり行うべきではないと言われています。
それは、いつもやっていない切断という非日常的な方法を緊急時に行うことは出来ないと言う考えからです。
今回、一部の看護師ですがこれまでの知識から切断法を知っていたためスムースに行う事が出来ました。
しかも、最も早く離脱させることが出来ました。
これは、きちんとした訓練を行っていれば、とても有効な方法であると皆実感しました。
火災などでとにかく早い離脱を行わなければならない場合には、最も早く離脱出来る切断法は有用であると思います。
この方法は、常日頃より練習することも出来ますので、当院では超緊急時には切断法で離脱することを選択することにしました。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。