朝日新聞大丈夫?
10 月15 日の朝日新聞1 面トップに、
「『患者が出血』伝えず 東大医科研、提供先に」
と言う記事が有りました。
東大医科研で開発した「がんワクチン」に関して附属病院で行った臨床試験中、2008 年に膵臓がんの患者さんに起きた消化管出血について、『重篤な有害事象』と院内で報告されたのに、医科研が同種のペプチドを提供する他の病院に知らせていなかったという記事です。
この記事に対し、医療ガバナンス学会のメールマガジンに、医科研の教授が事実が巧妙に歪曲されていると感じられると書いています。
http://medg.jp/mt/2010/10/vol-32720101015.html#more
今回の『重篤な有害事象』である消化管の出血が、病気の進行に伴い一般的に起こりうる事象であること。
「重篤な有害事象」とは、「薬剤が投与された方に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごとであり、当該薬剤との因果関係については問わない」と国際的に定められていること。
つまり、風邪を引いて入院が長引いても「重篤な有害事象」となるそうです。
医科学研究所は朝日新聞社からの取材に対して、「今回のような出血は末期のすい臓がんの場合にはその経過の中で自然に起こりうることであること」を繰り返し説明してきたこと
さらに、朝日新聞の取材に対する厚生労働省のコメントとして「早急に伝えるべきだ」との見解が掲載されているのですが、「因果関係が疑われるとすれば」というような前置きが削除されたコメントである可能性があること。
などが書かれています。
さらに、今回はオンコセラピー・サイエンス株式会社と言う会社から朝日新聞に抗議文も出されました。
http://www.oncotherapy.co.jp/news/20101022_01.pdf
この抗議文には、掲載記事にねつ造の疑いがあると書かれています。
掲載記事には「記者が今年7月、複数のがんを対象にペプチド臨床試験を行っ ているある大学病院の関係者」に取材した旨の記載がありました。
東大医科研の独自調査では、「複数のがんを対象にペプチド臨床試験を行っている大学病院」に該当するすべての大学病院に問い合わせを行ったところ、今年の7月に記者から取材を受けたのは大阪大学のみで、大阪大学で取材を受けた関係者は掲載記事に記載されているような回答は全くしておらず、取材をした記者に対して電話で抗議したというのです。
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現在一番力を持っていて、世の中をコントロール出来るのはマスメディアかもしれません。
政治家では無いです。
だからこそ、中立的で公平な立場でなければなりません。
もちろん、自分の考えを通すために、目の前にある事実を曲げてしまうような事はやっては行けないことです。
我々は、いつも常に自分の目で見て報道されている事が正しいのか確認していく必要が有りそうです。
透析時間が長いと血圧が下がるのか。
12月に福島腎不全研究会が行われます。
他にも腎不全の研究会が有ります。
毎年福島腎不全研究会では演題の発表を行っています。
現在考えているのは、当院で積極的に行っているPTA(経皮的血管形成術)の発表。そして、昨年購入した24時間血圧計を使った当院患者さんたちの血圧の検討です。
どちらもデータがそろったので、集計中です。
当院では24時間血圧計をもちいて、患者さんたちの透析前日の血圧を計っています。
それは、透析後よりは透析直前にいろいろな病気が発生することが多いからです。
僕たちは以前より透析時間は長い方が良いと主張しています。
それで、今回のデータ(52回分)を集計して実際に時間が延びると血圧が下がるのか調べてみました。
透析時間を4時間以下、4.5時間、5時間の3つの群に分けて、透析時間別に内服している降圧剤の数を調べました。
内服は3剤以上を多剤としました。
患者さんによっては、血圧を下げる理由以外でも降圧剤を飲んでいる方もいますので、内服なしと1-2剤も分けてみました。
透析時間が4時間以下の方では、降圧剤を多剤内服している方が多いのが分かります。
5時間透析の方は、多剤が少ないです。
次に、透析時間別の収縮期血圧の平均値を調べました。
こちらも時間が延びるにつれてきれいに血圧が下がる事が確認出来ました。
特に、4時間以下の方と5時間の方では収縮期血圧の平均が20以上も違っています。
他にも透析量や当院転院後の期間での検討も行いました。
どういう形で24時間血圧計の結果を発表するかは検討中ですが、我々の主張がアピール出来れば良いと考えています。
過活動膀胱の臨床治験
援腎会すずきクリニックでは、10月より過活動膀胱の臨床治験を開始しています。
おしっこの回数が多い
突然、強い尿意が起こる
我慢出来ず漏れることがある
などの症状が有りましたら、是非来院ください。
治験のメリットは、いち早く新しい薬の治療を受けることが出来ることです。
新薬だと、副作用が心配と思われる方もいらっしゃるでしょうが、当院で行っている臨床治験はフェーズⅢです。
臨床治験は、
少人数の健康な成人対象として治験薬の安全性や吸収・排泄などを確認するフェーズⅠ
少人数の患者さんを対象として治験薬の用法や用量を確認するフェーズⅡ
そして、最後に多数の患者さんを対象として、既存の薬やプラセポなどと比較するフェーズⅢ
が行われます。
フェーズⅢでは、もうすでに重篤な副作用は分かっており、その薬が他の薬やプラセボと比べて有用性が有るかどうかの試験ですので、副作用に対する心配は少ないと思われます。
さらに、今回の治療薬はこれまで長期に使用され副作用も全て分かっている薬の投与方法を副作用の少ない形に変えた薬の臨床治験です。
他のメリットとして、通常の治療より詳しい検査や診察が受けられることです。治験参加の期間中は、治験のために必要な薬代や検査などの費用を製薬会社が負担します。そのため治療費が軽減されることがあります。
また、治験期間中の通院費の負担を軽減するために、一定の交通費の補助があります。
そして、治験コーディネーターが、治験開始から終了まで心理的なサポートも含め、来院時の面談や電話でのご相談や質問などに対応します。
過活動膀胱の症状があり、治験にご興味のある方は、クリニックにお問い合わせください。
へそから腎臓摘出 〜 え、膣からも!!
土曜日の民報新聞に、会津若松市の竹田綜合病院泌尿器科で、へそから内視鏡や鉗子を挿入して、腎臓を摘出する腹腔鏡手術(単孔式腹腔鏡手術)を導入したと記事に有りました。
実は、この手術を導入した細井先生は、大学の同級生で太田西ノ内病院でも一緒に頑張った先生です。
ほぼ同時期に西ノ内病院に勤めることとなり、手術も一緒にやっていましたが、その頃からすでに手術がとても上手であり、細井先生を超える事は出来ないと感じていました。
手術では勝てないけど、大学時代からずっと取り組んでいた透析に対する情熱では負けないと考えているうちに、現在の道を選んだ次第です。
選んだ道は違いますが、私も細井先生に負けないように頑張りたいと改めて思いました。
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それで、たまたま見つけた記事ですが、
肥満女性の腎臓を膣から摘出、フランスで画期的手術
【9月17日 AFP】仏リヨン(Lyon)で、肥満過多の女性の腎臓摘出手術を手がけた医師チームが、腹部脂肪を切開するのは危険と判断し、膣から摘出するという前代未聞の方法で無事、手術を成功させた。
17日の現地での発表によると、患者は体重117キロの女性で、複数の感染症によって機能不全となった腎臓の摘出手術を受けた。
しかし、医師らは腹部脂肪を切開しての手術はリスクが高いと判断、代わりに膣の最深部を切開して腎臓を取り出した。病院によると「膣経由での摘出のほうが切開部分がかなり小さく、痛みは軽減され、合併症のリスクも抑えることができた」という。
リヨンでは2月にも、別の女性の腎臓をへそから摘出するという革新的な手術が行われている。(c)AFP
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2756720/6191192
解剖的には何となく出来そうな気はしますが(もちろん僕がと言う意味では無いですよ。)、そう言うのも有るんだとビックリしました。
細井先生、次はこの方法での腎臓摘出はどうでしょうか。
アロテックとアテレックとアレロック
喘息治療などに使われているβ刺激薬〝アロテック〟の国内販売が中止になったそうです。
頻脈、動悸などの心臓系の副作用のリスクが、喘息などの有用性を上回ってしまっていることが最近になって分かり、販売が中止になるそうです。
最初、その記事を見て、〝アテレック〟どうした。と思ってしまいました。
降圧剤で〝アテレック〟と言う薬があり、腎保護作用が有る薬と言うことで当院でもよく使っている薬が販売中止になったのかと思ったのです。
すぐに、〝アロテック〟であることに気づきましたが、非常にそっくりな名前ですよね。
さらに、抗アレルギー剤の〝アレロック〟も紛らわしいかもしれません。
名前が似ていて間違えやすい薬はいくつかあります。
また、「クスリはリスク」なんて言葉も有りますので、我々も十分気を使って処方していく必要が有ります。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。