2011.04.07
研究

累計放射線量

年間被曝限度量の引き上げを検討 枝野氏

産経新聞 4月7日(木)1時6分配信
 枝野幸男官房長官は6日の記者会見で、年間1ミリシーベルトとしている住民の被曝(ひばく)限度量について「現在の基準値は、短期間に大量の放射線を受ける場合だ。放射性物質を長期間受けるリスクを管理して安全性を確保しなければならない。原子力安全委員会を含め、専門家と何度か話をしている」と述べ、引き上げる方向で見直しを検討していることを明らかにした。

 その上で「まだ福島第1原発の状況は予断を許さないが、この1、2週間の放射線量は事故直後より相対的に低い」と述べた。

 文部科学省の調査によると、福島県浪江町で累計放射線量(3月23日〜4月5日)が11ミリシーベルトを超えており、何らかの対応が必要だと考えたとみられる。

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前に累積放射線量のグラフを載せました。


http://expres.umin.jp/fukushima/0401.pdf

3月23日頃まで累積される量が多く、その後落ち着いて来ています。
データも出ているのに、なぜ23日以前の放射線量は出さないのでしょうか。
おかしいとおもうのですが、出すとかなり不都合がでるのかなあ。
過ぎちゃった事は仕方がないし、今の郡山での線量は微量であり、今すぐ健康に影響はないはずなのに。
我々行くところも無いのだから、困ったなあ。

2011.03.20
診療
研究
仕事 / 職場

放射線量について

放射線量についての講演のビデオをネットで見ました。
1時間くらいの内容です。
朝5時に目が覚めてしまい、その後3回見て内容をまとめました。

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放射線量の基準

現在の基準は、原子炉を通常に運営している時の基準
科学の進歩によりどんどん小さい値まで調べられるようになったため出てきた数値で、不測の事態の基準としてはどうか。

放射線影響を基準にした区分が必要

非常時なので、健康影響の無い上限・緊急作業時の線量の限度100mGyを基準にすると良いのでは。

ちなみに実際の健康被害は400mGy以上で生じる可能性がある
宇宙飛行士の線量限度は300mGyである
100mGy以下の放射線では、妊娠中の胎児にさえ影響がない
(Gy=Sv:グレイとシーベルトはほぼ同じもの)

全く問題が無い状態の何倍の数値であるかを考えるのではなく、健康被害が生じる可能性がある100mSvを基準として、どのくらい少ないかを考えた方が妥当である。

現在の評価は、
1時間当たりの線量 健康被害の評価 レベル区分
 1mSv/h       1/100    福島原発
0.1mSv/h       1/1000    避難区域
10μSv/h       1/10000    福島県内
0.2μSv/h       1/500000   県外

メディアは通常の100倍の危険と言うが、健康被害が生じる基準から考えると郡山の放射線量は基準の1万分の1である。

冷静に考えて下さい。

また、放射線の影響として長崎原爆で考えると、放射線量は距離の2乗に反比例するするから、
爆心地から1.5kmでは1グレイの放射線も、3.5km離れると1ミリシーベルトになっており、5km離れた場合の放射性被爆はほとんど無いと言われています。

最悪の場合が起こっても、現在の退避範囲は妥当であり、それ以外の場所に放射線の直接被害は無いです。
退避範囲は、何か起こってもこの範囲に入らなければ大丈夫という範囲として設定されています。
放射線被曝と甲状腺癌発生リスクですが、

対象         線量      服用基準
5才未満       50mGy
10〜19才未満   300mGy
20〜40才未満   1000mGy    100mGy
40才以上 影響なし

となっています。

安定要素の服用レベルは100mGy(妊婦・授乳中・小児50mGy)で、40才以上は飲んでも意味が無いそうです。
ただし、ヨウ化カリウムを妊婦・授乳中・小児に投与する場合は核医学学会の意見も参考にした方が良い

投与時期
ブロック率が高ければ高いほど甲状腺癌の発生リスクが下がると言われています。

被爆24時間前で93%ブロック
被爆後2時間までなら80%ブロック
被爆8時間後だと40%ブロック

いわきや三春では、混乱の中で配布が行われ、すでに飲んでしまった方がたくさんいるようですが、全く無効であり、副作用の可能性もあるそうです。
投与時期は大切です。

http://lib-stream0.jichi.ac.jp/contents/all/201100000029.htm

2011.03.19
診療
研究
仕事 / 職場

放射線障害について

本日夕方、郡山医師会で核医学を専門とする先生に来ていただき、ご講演してもらいました。

放射線についての正しい知識を身につけようということで、ちょっと書いてみます。
先ず用語です。

放射性物質:放射線を出す物質
放射能  :放射線を出す能力
電球にたとえると、放射性物質が電球で、放射線は光、放射能はワット数みたいなものと言っていました。
放射線の性質は光と同じで、放射線量は距離の2乗に反比例するするそうです。
1シーベルトは、10km離れると100マイクロシーベルト、20kmで25マイクロシーベルトまで減少します。

阿武隈山地も有りますので、実際に放射線が直接郡山に届くことは無いです。
原子炉は原爆にならない

原爆は、ウラン235を100%近く濃縮した燃料を使用しています。
→莫大なエネルギーが一瞬のうちに放出される

原子炉は適量のエネルギーが放出できるようにウラン235を3%程度に低濃縮しています。
さらに、反応をコントロールするために中性子を吸収する制御棒を使用していますので、原爆の様な爆発は起こらないそうです。
現在福島原発で確認されている放射性物質は、ヨード131が80%、ヨード132が20%であり、他の物質はなしだそうです。
緊急炉心停止が適切に行われた事から、それ以来核分裂が起こっていません。
そのため、中性子は出ていないそうです。

セシウムは検出されていませんが、もし出てもセシウムのキレート剤が全国から福島に集められています。

原子炉から大量のヨードが放出されても、60km離れた所にくるまでにかなり拡散されます。これは、風向きでも違ってきます。
雨が降ると落ちてくるので、状況によってはもっと遠くで落下する可能性もあります。

風に流されてくるくらいなので、時間的余裕は十分あると思われます。

ヨードが飛んできた場合の予防としては、ヨード製剤を飲むことですが、日本人は海の物をたくさん食べているので、あまり必要でないのではと言われています。

ただ、小児の甲状腺癌発生が減少したという報告もあり、40才未満の方は、飲んでおいても良いそうです。

しかし、ヨード製剤を飲むタイミングは難しく、被爆後6時間経過すると意味がなく、早すぎても駄目なのでタイミングが大切だそうです。

以上ですが、ポイントは、

放射線が郡山に届くことはない

原子炉は原爆にならないので、原爆の様な爆発は起こらない

爆発しても時間は十分ある

これらのことから、最も怖いのは風評被害のようです。

以上でした。

 

 

 

 

2011.03.06
診療
研究
その他(医療関連)

日本透析医会 研修セミナーに参加しました。

本日、東京の品川駅そばにあるコクヨホールで行われた日本透析医会 研修セミナーに参加してきました。

http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/06_seminar/doc/20110306_seminar.pdf

 

このセミナーは毎年3月初めの日曜日に行われています。
昨年は参加しませんでしたが、これまでに数回参加してきました。

元々、前日の土曜日にバスキュラーアクセスインターベンション治療研究会が東京であり、せっかくだからと言うことで参加してみたセミナーですが、その内容の濃さに圧倒され、参加するようになりました。

午前中は、1時間ずつ3つの講演がありました。

維持透析患者の体重管理の講演では質疑応答が30分ぐらいになり、当院でも行っているインボディについて話題となりました。
そこで、インボディは浮腫率からドライウエイトを決めるだけでなく、筋肉量や体脂肪が計れるため、栄養状態の指標となる事を発言させていただきました。

HDFの講演では、大きな分子量の物質を抜くことと、アルブミンの漏出について新たな知識を得ることが出来ました。

副甲状腺摘除術(PTx)の講演では、年間250例と日本で最もPTxを行っていた施設で、シナカルセットと言う薬が発売されてから手術件数が1/5に減ったと言う話を聞きました。

昼休みの1時間を挟んで、午後も1時間ずつ3つの講演でした。

末梢動脈疾患(PAD)の早期発見と治療戦略の講演、C型肝炎の診断・治療についての講演、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患の治療法の講演が行われ、午後4時までびっしりという感じでした。

さすがに帰ってきて疲れました。

でも、明日からの診療に役立てる知識を得ることが出来て、とても有意義な一日でした。
そして、他にも昨年のHDF研究会で仲良くなった腎内科クリニック世田谷の菅沼先生と昼ご飯を食べることが出来たり、ネット上で知り合いになった有名な病院の理事長先生と名刺交換が出来たりと講演以外にも良かったこともありました。

秋のセミナーは福岡で開催ですので参加することは出来ませんが、来年の春は是非とも参加したいと考えています。

2011.03.03
診療
研究

腹膜透析が向いている人

臨床透析1月号の〝特集 多様化する透析医療の最前線〟で、埼玉医科大学の鈴木洋通教授が、PDファースト(透析が必要となった時点で、腹膜透析を選択すること)の適応として、腹膜透析に向いている人と向いていない人について書いています。

PDファーストの適応

向いている人  小柄な女性
        非糖尿病性腎症
        高齢者

向いていない人 大柄な男性
        糖尿病性腎症
        若者

この記載を見て、非常にもっともだと思いました。

腹膜の面積は決まっています。そして透析量は身体の大きさが小さいほど大きくなります。
ですので、大柄の方よりは小柄の方の透析量が多くなり有利です。
血液透析では、時間という要因が大きいので、時間を延ばすことで身体の大きさのデメリットを打ち消すことが出来ますが、腹膜透析では、透析量を増やすことにも限界がありますので、体格差はどうしても出てきます。

腹膜透析液には糖分が入っています。
ですので、食事以外に1日200kcalくらいの糖分が吸収されます。
慢性的に食事が取れない方では良いかもしれませんが、通常の食事を取っている方ではカロリーオーバーになってしまいます。
糖尿病の方では血糖管理が難しくなりますので向いていない治療法となります。

高齢者に比べ若者は活動量が多いです。
傾向としてですが、若者は透析不足になりやすいと言えます。

さらに、尿量が減った状態で腹膜透析を続ける事は危険です。
しかし、腹膜透析の生活スタイルに満足していている方では、透析不足の症状がなければ血液透析に変更する事を説得しても、なかなか承諾してくれません。
若者では、長期の予後を考えますので、あまり腹膜透析は勧められません。

以上、全て本人に生活上のメリットがあるかないかでなく、病態に応じた透析量や栄養管理に基づいて向いているかいないか決めてあり、全くだと感じています。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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