長時間透析研究会in長崎のスライド3
まず、
時間延長と比べると、高血流の効果は少ないのではないか?
と言う疑問です。
それで、一般的に行われているQBであるQB250ml/分と当院ではかなりの人数で行っているQB400ml/分について、前希釈on-lineHDFで検討しました。
透析時間は、QB250ml/分が長時間透析である6時間
QB400ml/分が5時間で比較しました。
使用した透析膜は、ニプロ社製マキシフラックスMFX-21Secoを使用して、totalQD=600mL/min、QS=200mL/minで行いまいた。
対象とした方はスライドのごとくです。
長時間透析である6時間QB250ml/分よりも5時間QB400ml/分の方が、除去率でクレアチン、α-1MGで、除去量ではα-1MGで有意に多いと言う結果でした。
クリアスペースでも比較しました。
クリアスペースは、対象とする物質が透析後に何リットル分ゼロになったかを表す数値です。
指標によっては、全く同じ条件で透析しても前値の違いによってデータが変化してしまう事があります。
そのため、前値の影響がないように補正したものがクリアスペースです。
β2MGは両群ともに10リットルを超えていましたが、α-1MGは0.8リットル程度でした。
クリアスペースでみると、6時間QB250ml/分と5時間QB400ml/分で差がありませんでした。
血流を上げる効果が示せたのではと思います。
アルブミン漏出量は5時間QB400ml/分の方が有意に多かったです。
しかしアルブミン1g当たりのα1MG除去量は変わりなく、両群共にアルブミン漏出量は少なく、通常の使用でも全く問題ない結果でした。
6時間QB250ml/分と5時間QB400ml/分のデータ比較を行いましたが、有意な差は認めませんでした。
溶質除去のみから考えると、5時間QB400ml/分は6時間QB250ml/分に匹敵すると思われました。
じゃあ、6時間はしなくてもいいねという話になりそうですが、そうではありません。
透析はやればやるほど良いと思います。
可能な患者は6時間QB400ml/分にすればいいのです。
ただ、6時間だと体格の小さい方ではQB400ml/分は抜けすぎになるかもしれません。
現在、当院では週4回5-5-5-4時間QB400ml/分の方が3名いらっしゃいます。
たくさん食べる方達ですので、現時点ではQB400ml/分継続中です。
ただ、注意深く観察していないと、食べれない状態が続くと抜けすぎが起こる可能性はあります。これは付け加えておきます。
以上、高血流の効果がお示しできたのではと思います。
当院スタッフが新聞に取り上げられました。
当院臨床工学技士の入谷さんが新聞に取り上げられました。
当院でも個室透析センターの責任者として頑張ってくれています。
仕事に趣味にマルチな才能を発揮してくれています。
1年前と現在の『透析時間と血流量の関係』
1年前週辺りの透析時間と血流量の関係のグラフです。
通院中の70名の患者さんで、4.5時間以上でQB300ml/min以上の方が56名いらっしゃいました。
On-lineHDFを受けている方も59名でした。
今年は個室透析センターを開設して5時間透析のみでの受け入れとしました。
また、送迎の新規受け入れは5時間透析の方としました。
増床しましたので、ベットも増えました。
現在、通院する方は80名となりましたが、
5時間以上でQB300ml/min以上の方が42名と半数を超える様になりました。
On-lineHDFを受けている方も71名となっています。
直近の平均血流量は、332.6±64.4mL/minで、平均透析時間は4.9 ±0.3時間となっています。
スタッフが時間延長のメリットをとても理解していますので、患者さん達に勧めています。
そのため、昨年は4.5時間透析の方の多くが5時間透析にシフトしました。
5時間透析になった方の多くが透析後のだるさを訴えなくなり、とても良かったと言ってくれています。
5時間週3回の方が増えた分、血流量は昨年の400mL/minの方から300mL/minにややシフトしたようです。
5−5−5−4時間の週4回透析の方も7名まで増加しました。
中2日が空かない透析はとても楽だと言ってくれています。
今後もしっかり透析頑張りたいと思います。
長時間透析研究会in長崎のスライド1
長時間透析研究会in長崎のディベートセッションで
長時間高血流透析VS長時間低血流透析~どちらがいいの?~
の高血流透析派として発表させて頂きました。
ブログでも後日作成したスライドをブログでもお見せしたいと書きました。
何回かに分けて記事とします。
まずは表題
そして当院の現状報告
平均透析時間は4.9時間になりました。
週18時間以上の長時間透析の方も7名いらっしゃり,全て血流300ml/min以上です。
血流400ml/minの方が半数で、約9割の方が300ml/min以上となっています。
もちろんオンラインHDFもほとんどの方に提供しており、しっかり透析を実践しています。
尚、先日直近のグラフを提示しましたが、ここ1ヵ月で5時間を希望する方が増えました。
1つは来年1月に個室透析センターの透析コンソールが増えるため、既存棟から個室に移りたいと言う希望の方が多数出た為です。
そのため、直近のグラフト5時間の方の人数がかなり変わっています。
ご了承ください。
透析時間は長い方が予後がいい
誰でも知っている事ですね。
4時間で良いなんてことは絶対ありません。
血流だって多い方が生命予後はいいんです。
日本の透析患者さんの血流量の平均は198ml/minです(2008年わが国の慢性透析療法の現況)。
多くの患者さんの血流量が200ml/min付近に集中していて、260ml/min以上の方は3%でした。
欧米に比べ極端に少ない事が知られています。勿体ないと思います。
透析療法ぜんぶマスター: 写真クイズでみるみるわかる!
透析ケアの2013年冬季増刊として
と言う本が発刊されました。
当院透析室長の鈴木翔太も執筆しています。
透析手技や患者への指導内容、長期透析による合併症など、安定した透析を提供し、患者が快適に透析生活を送れるよう支援するために透析スタッフが身につけておきたい知識を一冊に凝縮! 写真クイズを解きながら、透析療法全般の知識を習得することができるとのことです。
是非ともご覧になってみてください。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。