透析条件別のリン除去量
最近ブログ更新をサボっていたので、久しぶりにちょっとお勉強です。
昨年のHDF研究会で血流250ml/min6時間と血流400ml/min5時間の比較を発表しました。
その中でリン除去量についての比較も行いました。
その時のデータを引っ張り出してきて、リンのみの除去量をグラフにしてみました。
リン除去量が最も多かったのは、血流400ml/min5時間透析の1400mgでした。
一般的な4時間透析血流200ml/minでのリン除去量は平均800mg程度と言われています。
蛋白1gは約13mgのリンを含んでいます。
50kgの人で1.2g/kgの蛋白摂取量 は、1日 60gとなり、一週間で420gとなります。
週辺りの食事に入っているリンの含有量は420×13=5460mgです。
一般的な透析で除去出来るリンは800mgだとすると、1週間で2400mgとなります。
5460mgー2400mg=3060mgのリンが体内に蓄積しますが、これではリン吸着薬を飲んでもリンの数値は下がらないでしょう。
この状況でもリンの値が高く無い方達は、必要な蛋白量を摂取していないと言うことになります。
決して管理がいいと言う事ではありません。
食べられていないと言う事です。
5時間血流400ml/minでのリン除去量は一週間で1400mg×3=4200mgとなります。
つまり、5460mgー4200mg=1060mgのリンが体内に蓄積されます。
これなら、リン吸着薬を飲むことで十分に対応できると考えています。
4時間透析でデータが良いのは、管理がいいのでは無く本来は食べた方がいい食事量が取れていないこと
5時間高血流でもしっかり食べればリン吸着薬を飲む必要が有ることを再度まとめとして書かせて頂きます。
『悪液質とサルコペニア』
3月29日に参加した『腎臓病と栄養・代謝・食事フォーラム2014』の特別講演で勧められた『悪液質とサルコペニア』と言う本を読んでいます。
悪液質と言うと、癌の末期状態だと思っていたのですが、癌を含めた慢性消耗性疾患によって引き起こされる病態で、その中には慢性腎不全も含まれると聞いて、ちょっとビックリしました。
悪液質とは「基礎疾患によって引き起こされ、脂肪量の減少の有無にかかわらず、筋肉量の減少を特徴とする複合的代謝異常の症候群である。」
癌を基礎疾患とする悪液質をがん悪液質と呼ぶそうです。
悪液質の臨床的特徴は、成人の場合は体重減少で、小児の場合は成長障害となります。
悪液質の発生には、炎症性サイトカインが中心的役割を果たしており、悪液質の呈する慢性消耗性疾患は、持続的・慢性的な高サイトカイン血症が、食欲不振や異化亢進をもたらし、これに加齢や治療などの要因が加わって病態が複雑になると書かれていました。
人工透析では、大量の透析液がダイアライザー内で血液と接します。オンラインHDFの場合は、大量の透析液を体内に注入します。
汚染された透析液が体内に入れば患者さんはショックになりますし、少量の汚染であってもそれが継続されれば、この様な悪液質が起こってくるでしょう。
慢性腎不全の透析療法において、透析液清浄化が行われるかと言う事が非常に大切であると改めて実感しました。

ねふろんNo48にクリニックが載りました
NIPROが発行している医療スタッフのための医薬品情報誌
ねふろんNo48の
はい!透析室です
に当院が載りました
当院の特徴や取り組みが書いて有ります。
機会がありましたら、是非ご覧になってみてください。
第29回ハイパフォーマンスメンブレン研究会
ホームページの学会発表を更新しました。
3月14日(土)・3月15日(日)に東京の日本消防会館で行われた第29回 ハイパフォーマンス・メンブレン研究会 で、当院臨床工学技士の入谷が
「ニプロ社製NCV-2使用による大量透析液流量時のオンラインHDF治療効果」
と言う演題で発表してきました。
当院では、以前より透析時間延長と共に高血流量の透析を行っており、透析方法はオランHDFを基本としています。
オンラインHDF療法では、透析液を補充液として使用することで大量の補液が可能となり、低分子量蛋白除去効率を上げることが可能ですが、補液を増やすことにより透析液流量が低下して、小分子量物質の除去が不十分になる恐れがあります。
実際には、当院では高血流とすることで小分子量物質の除去効率を上昇させていますが、一般的には、血流量と透析液流量の比率は1:2程度となる設定が望まれると言われています。
そこで、総透析液流量800ml/minが可能なニプロ社製NCV-2と言う透析装置を用いて、総透析液流量600ml/minと800ml/minの比較を行いました。
ご興味の有る方は是非ともご覧になってみてください。
本日は世界腎臓デー(World Kidney Day)
本日は世界腎臓デー(World Kidney Day)です。
世界腎臓デーは、腎臓病の早期発見と治療の重要性を啓発する国際的な取り組みとして、国際腎臓学会と腎臓財団国際協会によって提案されたもので、3月の第2木曜日と決められています。
http://j-ckdi.jp/world_kidney_day/
福島県は、慢性腎臓病に対し積極的な活動を行っている地域です。
http://www.pref.fukushima.jp/kenko/ckd/ckd.html
慢性腎臓病は、慢性に経過する腎臓病のことですが、実は患者さんは1,330万人いると言われ、20歳以上8人に1人が慢性腎臓病となります。
慢性腎臓病は、高血圧・糖尿病などの生活習慣病や、メタボリックシンドロームと深い関連を持ち、誰もがかかる可能性のある病気です。
進行すると、夜間尿、むくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が現れてきます。
自覚症状は病気が進行してから出てきます。
その場合、あっと言う間に透析導入となってしまう方も少なく有りません。
定期的に健康診断を受け、尿や血圧の検査をすることが早期発見に繋がります。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。