2013.12.16
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第89回福島腎不全研究会

12月15日の日曜日に郡山市で第89回福島腎不全研究会が開催されました。
当院でも3演題の発表を行いました。

特別講演では、
東海大学腎内分泌代謝内科教授の深川雅史先生から

『CKD−MBDの管理:ガイドラインの向こう側』

と言うテーマでご講演くださいました。
FGS23とリン、カルシウムの関係など、非常に分かりやすい内容でとても勉強になりました。

今回から、スタッフ発表演題から優秀演題を選出して表彰する事となっていましたが、当院透析室長の演題が3台の優秀演題の1つに選ばれました。

会長の渡辺教授から表彰状を渡された透析室長です。

とても名誉な事であり、これからも頑張って行こうという励みになりました。

2013.12.09
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長時間透析研究会in長崎のスライド6

それでも、やっぱり抜けすぎが心配だと考える方もいるでしょう。
でも遅く無いです。

長時間高血流で低栄養や低リンになってきたら、透析膜を変えたり、透析液流量を下げたり、場合によっては血流も下げればいいのです。

当院でも、高齢者を中心に一部の患者さんで、透析後のリン値が低値となる方がいます。
低リン血症が持続すると骨軟化症を引き起こす可能性もありますので、小分子量の除去量を減らし透析後の低リン血症を起こさない工夫をしています。

 

こちらは、透析後の血清リン値が1.5mg/dl未満の患者さん8名に対しての検討です。
総透析液量を550mL/minから450mL/minに変更して2週間経過前後の血清リン値を示しています。
透析前の血清リン値は上昇する傾向に有りましたが、透析後のリン値は変わりませんでした。

 

次に、総透析液量は550mL/minのままで、300-400mL/minの血流量を200mL/minに変更し比較しました。
こちらは透析前及び後のリン値は上昇する傾向にありました。

長時間高血流で栄養状態が悪化したら、ダイアライザーの変更や透析液流量もしくは血流量を下げる事で対応して、栄養改善したらまた透析量を増やせば良いと考えています。

 

最後に、

高血流は直ちに低血流とする事は可能で有るが、低血流を直ちに高血流にできるでしょうか?
求められるのはオーダーメイドな治療長時間透析でも個々の患者に合った治療が必要です。
最も大切な事は、正常人が168時間で行っていることを、長時間でも20時間程度で行っていると言うことなのです。
透析はやればやるほどいい。やり過ぎを懸念するよりは、先ずやってみて抜けすぎていれば透析量を減らせばよいと考えています。
その為には、我々透析従事者が患者さんの日々の変化を注意深く観察する事が大切なのです。

2013.12.09
診療
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長時間透析研究会in長崎のスライド5

最後に、

長時間・高血流だと抜けすぎるのではないか?

と言う疑問についてです。

先ずは血流を上げるとアルブミンが下がるのではないかと言う事に対してです。

当院では、以前より血流300mL/分を標準としていましたが、昨年4月より更に高血流を目指し、一時は血流400mL/分の方が半数くらいになっていました。

昨年4月の平均血流は313mL/分でしたが、その後積極的に血流を上げていって、今年3月には平均血流を357mL/分まで上昇しました。
その間の血清アルブミンの平均値をグラフに示しますが、特に下がる傾向は認めませんでした。

血流を上げすぎると抜けすぎてしまうという心配よりは、先ずは上げて見て、抜けすぎたら減らせばいいのではと思います。

もう少し続きますので、しばしお待ちください。

2013.12.03
診療
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長時間透析研究会in長崎のスライド4

次に、

高血流だと、心臓に負担がかかるのではないか?

です。

こちらは今年の透析学会で発表した内容です。
360-400 ml/分の血流量(QB)で透析を行っている33名の患者さんに対し、透析中にQBを360-400 ml/分の高血流からQB200 ml/分まで低下させ、その後再び高血流に戻して、1回拍出量(strong volume)、心拍数、下大静脈径を測定した検討です。
心機能が悪い駆出率(EF)50未満の方8名でも同様の検討を行いました。

血流を、高血流→低血流→高血流と変化させたても1回拍出量、心拍数、下大静脈径は変化せず、これは心機能の悪いEF50未満の方でも同様の結果でした。

わが国では、以前より血流量を上げる事は心負荷を増加させると言う考えが主流ですが、今回の検討では高血流量状態が心臓に負荷をかけると言う所見は見られませんでした。

高血流は死亡リスクを低下させることは知られています。
シャントに問題無ければ十分な血流で透析を行う事が重要だと言えます。

2013.12.01
診療
研究

長時間透析研究会in長崎のスライド3

まず、

時間延長と比べると、高血流の効果は少ないのではないか?

と言う疑問です。

それで、一般的に行われているQBであるQB250ml/分と当院ではかなりの人数で行っているQB400ml/分について、前希釈on-lineHDFで検討しました。

透析時間は、QB250ml/分が長時間透析である6時間
QB400ml/分が5時間で比較しました。

使用した透析膜は、ニプロ社製マキシフラックスMFX-21Secoを使用して、totalQD=600mL/min、QS=200mL/minで行いまいた。

 

対象とした方はスライドのごとくです。

長時間透析である6時間QB250ml/分よりも5時間QB400ml/分の方が、除去率でクレアチン、α-1MGで、除去量ではα-1MGで有意に多いと言う結果でした。

 

クリアスペースでも比較しました。
クリアスペースは、対象とする物質が透析後に何リットル分ゼロになったかを表す数値です。
指標によっては、全く同じ条件で透析しても前値の違いによってデータが変化してしまう事があります。
そのため、前値の影響がないように補正したものがクリアスペースです。

 

β2MGは両群ともに10リットルを超えていましたが、α-1MGは0.8リットル程度でした。
クリアスペースでみると、6時間QB250ml/分と5時間QB400ml/分で差がありませんでした。
血流を上げる効果が示せたのではと思います。

 

アルブミン漏出量は5時間QB400ml/分の方が有意に多かったです。
しかしアルブミン1g当たりのα1MG除去量は変わりなく、両群共にアルブミン漏出量は少なく、通常の使用でも全く問題ない結果でした。

 

6時間QB250ml/分と5時間QB400ml/分のデータ比較を行いましたが、有意な差は認めませんでした。
溶質除去のみから考えると、5時間QB400ml/分は6時間QB250ml/分に匹敵すると思われました。

じゃあ、6時間はしなくてもいいねという話になりそうですが、そうではありません。
透析はやればやるほど良いと思います。

 

可能な患者は6時間QB400ml/分にすればいいのです。
ただ、6時間だと体格の小さい方ではQB400ml/分は抜けすぎになるかもしれません。
現在、当院では週4回5-5-5-4時間QB400ml/分の方が3名いらっしゃいます。

たくさん食べる方達ですので、現時点ではQB400ml/分継続中です。
ただ、注意深く観察していないと、食べれない状態が続くと抜けすぎが起こる可能性はあります。これは付け加えておきます。

以上、高血流の効果がお示しできたのではと思います。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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