遠方から患者さんの相談が有りました。
先日、どう考えても通えないような遠方の患者さんが相談に来ました。
250kmくらい遠方なのですが、雪の日でしたが高速で運転して来たそうです。
透析を始めてから、手指の痛みが強いとのことです。
オンラインHDFを行うことで良くならないかという相談でした。
1ヵ月ぐらいなら、近くに宿泊して透析を受けることができるとのことでした。
話を聞いたところ、週3回3時間の透析を受けているそうです。
痛みが、透析に起因するものでしたら、オンラインHDFを受けることはいいことですが、まずは3時間から4時間への時間延長を行ってみてはどうかとお話ししました。
もしくは、もう一度整形外科で原因を調べてもらうべきだとお話ししました。
透析歴がアミロイドが貯まるほど長く無かったからです。
でも、通院中の病院の整形外科では、透析を受けているのだからしょうがないと言われたそうです。
昔からよく言われるのが、『透析を受けているのだからしょうがない』。。。
現在では、しっかりした透析を行っていれば、元々も合併症が有って治療が難しいということは有っても、透析を受けているのだからしょうがないということはないとお話ししました。
透析を受けていても整形外科的な治療で改善する症状はたくさんあります。
当院より遙かに近い所にある、透析治療が有名で、なおかつ整形外科がある総合病院をお伝えしました。
整形的な治療で難しく、透析不足から生じている症状なら、十分な透析を行えば改善する可能性がありますので、時間延長や血流を上げたり、ろ過透析を希望すると言う選択肢も有ります。
困っている方は沢山いるのだと思います。
しっかり透析を行えば、全て解決すると言うことではないとは分かっています。
たとえば、家庭環境からうつになっている方や、合併症から栄養障害を起こしている方など。
ただ、基本はしっかり透析です。
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」と言われるように、透析者は、十分な透析を受けるということから全てが始まると考えています。
限局性前立腺がんの低侵襲治療3
今回は小線源療法です。
小線源療法とは、放射線治療の1つの方法です。
一般的は放射線療法は、外照射と呼ばれ、体の外から患部に放射線を照射します。
そのため、どうしても前立腺の周囲組織へも放射線が照射され、放射線に特に弱い直腸や膀胱の粘膜、皮膚などで放射線障害が起こることがあります。
小線源療法は、ヨード125と言う放射線物質を長さ4mmくらいの筒型容器に入れて、超音波ガイド下に前立腺内に80個から100個程度挿入することにより、放射線治療を行う治療法です。
英語ではブラキテラピー(brachytherapy)と言われています。
ブラキ(brachy)とは短いという意味で、放射線源と照射目標で有る前立腺との距離が短いことから呼ばれています。
通常の外部照射では1回の治療時間は10分程度と短いものの、全部で6-7週間以上の治療期間が必要とします。
それに対して小線源治療では、挿入してしまえば治療は終了と鳴ります。
その挿入した小線源が徐々に放射線を出し続けて、前立腺がん組織を死滅させるのです。
放射線源が前立腺の中に直接存在しますので、外照射に比べると合併症が起こりにくい治療です。
適応となるのは、転移や浸潤がなく、がんが前立腺内に限局している早期がんです。
適応は限られますが、有用な治療法だと思えます。
この治療の一番の利点は、たった1回の刺入で全ての治療が終了するため、入院・治療期間が短い事です。
さらに、他の治療に比べ、性機能が維持されやすく、QOLを低下させない治療であると言えます。
県内で行っている施設は知りませんが、東京や仙台では積極的に行っている施設があります。
当院では、この様な治療を行うことはできないのですが、適応に有った施設を提示する事ができます。
患者さんそれぞれの状況から、どの治療が適しているかを提示することが僕の使命だと考えております。
迷っている方は、一度ご相談ください。
透析量の基準
時々他施設の患者さんを診察する機会が有ります。
透析を診療の中心にしている歴史が古い施設でも、透析導入してから数年経過しているのに、週3回3時間透析だったり、週2回で4時間未満の透析を受けている方がいらっしゃいます。
いろいろ事情が有ると思います。
たとえば、送迎の関係から週3回は連れてくることができないとか、仕事の関係上4時間はできないとかあると思います。
ただ、そのような方では他の患者さんよりも早い段階で体調不良を訴える場合が多いようです。
体調不良は急にやってきます。
それまで大丈夫だと思っていても、突然具合が悪くなる方が多いようです。
それは、何とか耐えていた身体が耐えられなくなったからではないかと思うのです。
透析不足なのですから当然だと思うのですが。
現在、透析量を計る基準は、KT/Vだったり、除去率だったり、クリアスペースだったりいろいろあります。
でも、透析不足であるかどうかを判断する基準は無いようです。
CAPDですと、自尿と透析排液を合わせたWeeklyCCrやKT/Vで一定以下となると透析不足だと判断できますが、血液透析ではそのような指標は有りません。
もしくは、僕が知らないだけかもしれませんので、このブログを見た方で知っている方がいらっしゃったら教えてください。
そのような指標が無いことが、透析不足を生んでいる1つの要因となっているのではないかと思うのです。
透析食
援腎会すずきクリニックでは、郡山市内にある株式会社商工給食から透析食を宅配してもらっています。
開院当初より、透析患者様の栄養管理が重要であると認識していました。
また、透析時間の延長を勧めて行く上で、透析後に昼食を取るのでは昼食の時間が遅くなってしまう状態が問題であると考えていました。
近隣のお弁当屋さんにお弁当を頼むことも検討していたのですが、塩分制限の有る腎不全の方たちに一般のお弁当を出すことがいいのか悩んでいました。
昨年、たまたま商工給食が来院し、塩分2gの透析食を仕出ししていて他の施設でも実績が有ると言うことを聞きました。
現在は、毎日10名程度の患者様がオーダーしています。
一食500円です。
実は、肥満の院長も塩分を気にしているので、週3回このお弁当を食べています。
料金のやりとりは、商工給食が持ってくる食券を患者様が買う仕組みですので、当院はその仲介をしているだけです。
また、当院管理栄養士が月1回試食を行い、皆さんが家庭で自炊して作る食事の目安になっているかについて検討してくれています。
そして、3ヵ月に1回は商工給食の管理栄養士と面談して問題点をお知らせしています。
塩分2gの透析食を週3回食べることは、家庭での食事の指標となること、昼食の時間が不規則にならないことから、とても大切だと考えていおります。
インボディ(体組成計)を購入しました。
以前、インボディという体液測定装置の事を記事に書きました。
高額な機械なのですが、身体の中の水分、体脂肪量、筋肉量が計れる装置です。
透析後にインボディで浮腫値(ECW/TBW)を計れば、ドライウエイトが適正であるか判断できます。
また、体脂肪量や筋肉量を見ることで、栄養障害が有るかどうかを判断することができます。
以前より是非とも購入したいと考えていましたが、今回やっと決心して注文いたしました。
栄養状態の管理は、透析患者さんを診ていく上で最も重要なポイントの1つですので、ドライウエイトの管理と合わせ、とても頼もしいヤツという感じです。
是非ともこれからの診療に役立てていきたいと考えています。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。