看護師さん募集中
最近、堅い記事が続いている様です。
そうなると、だんだん書くのが辛くなってきますね。
思ったことを書いてゆくというのも有るかなと言うことで、この様な題名にしてみました。
1月から、火木土の透析が始まりました。
火木土は、まだまだ患者さんの数は少なく、スタッフも十分な対応が出来ていると思います。
ただ、もう少し患者さんが増えたときのことを考えると、そろそろ次の一手も考えなければならないです。
臨床工学士については、4月から新人さんが入ってくれることになっていますので、看護師さんの充実を図らなければならないと思っています。
自分で言うのも何ですが、クリニックではすごくいい感じで仕事が出来ている様な気がします。
皆、一生懸命です。
皆が目標を持って頑張っています。
今日もちょっとトラブルが発生しましたが、一つ一つのことに対して、真剣に対応しています。
そう言うことが有るたびに思うのですが、起こったこと一つ一つを乗り越えていくことがなんだか、僕やスタッフの肥やしになるような気がします。
さあ明日も頑張ろう。
追伸
ホームページのスタッフ募集見てください。
透析患者さんの栄養障害2
透析患者さんの栄養状態の維持で重要なことは、蛋白摂取量よりも炭水化物と脂質からのエネルギー摂取と言うことを前回お話ししました。
ただ、透析が導入となる以前と同じように蛋白制限をしなければならないのでしょうか。
透析患者さんに対して一般的に指導される蛋白摂取は、1.0~1.2kg/kgです。
それに対し、一般人の蛋白摂取量は0.94kg/kgなのです。
腎臓病というと蛋白制限と言うイメージがありますが、透析患者さんに対しては、一般人より多くの蛋白を取るように指導しているのです。
タンパク質は良質のものを十分に取ることが重要です。
ただ、取りすぎると問題が有ることも説明しました。
実は、蛋白摂取量が少なくてもエネルギーの摂取量がたりていれば栄養状態は悪化しないことも言われています。
つまり、食事に注意して十分なエネルギーを取ることがとても重要だと言うことになります。
なんだか、ややこしくなります。
最近は糖尿病から腎不全になる方が多いので、透析を開始してからの食事指導が、今までと全く異なることに混乱する方は多いです。
もう一つ、蛋白摂取量はデータからの計算式で容易に計算できますが、エネルギーをデータから計算することは出来ません。
エネルギー摂取量の算出は、管理栄養士による患者の摂食調査しか手段がないそうです。
つまり、透析を受けている方では、管理栄養士による栄養指導を繰り返し受ける必要が有ると言えます。
ここでちょっと宣伝です。
援腎会すずきクリニックでは、透析を受けている皆さんに、管理栄養士が月1回の栄養指導を行っています。
すごく手間のかかる仕事です。
しかし、以前の糖尿病食が身についている人は、繰り返し説明しなければ納得してもらえません。
導入直後に栄養指導を行っても、一度だけでは身につきません。
繰り返し行うことが大切ではと考えています。
透析患者さんの栄養障害
透析患者さんでは、15%の方が軽度栄養障害、10〜15%の方で中等度栄養障害、5〜10%の方で高度の栄養障害があると言われています。
そして、透析歴が長くなるとその傾向は強まるようです。
栄養障害自体が、透析患者さんの死亡原因となることはないのですが、死亡原因の上位である心不全、感染症、脳血管障害などの合併症は、栄養状態の良否と関連していると言われています。
それでは、どのような要因が透析患者さんの栄養障害を起こしているのでしょうか。
1,エネルギー摂取量の不足
2,慢性的な炎症
3,血液透析時の異化的刺激
4,アシドーシス
5,透析で抜ける蛋白・アミノ酸
6,腎不全による糖質・アミノ酸代謝異常
などが言われています。
エネルギー摂取量については、蛋白摂取が過剰になると、尿素窒素やリン濃度の上昇、アシドーシスを起こす恐れもあり、また脂質の取りすぎにより、脂質代謝異常を悪化させる恐れが有ることから、透析患者さんでは、炭水化物を十分に取ることで、エネルギー量を上げることが推奨されています。
感染症などの炎症や、食欲を低下させる病気、そして歯科疾患などの摂食不良を起こす疾患を改善させることはとても重要です。
我々医療者側もしっかりした透析を提供しなければなりません。
生体適合性の良い膜素材を使用することはもちろんですが、十分に清浄化された透析液を使用することが慢性炎症を防ぐ大切な方法です。
当院はオンラインHDFを行っているので、透析液清浄化に気をつけるのはもちろんです。
そして、清浄化が達成されているか、しっかり検査もしています。
もっとも、現在は多くの施設でハイパフォーマンスダイアライザを使っていますので、逆濾過によって透析液が体内に入る可能性は高くなっています。
どの施設でも、ウルトラピュアな透析液を使用する必要が有ると言えるでしょう。
透析液が汚ければ、慢性炎症が起きます。
慢性炎症は、栄養障害と動脈硬化疾患を起こします。
それがMIA症候群です。
透析患者さんの動脈硬化2
前回の続きですが、透析患者さんの動脈硬化については、透析が開始してからは、『高リン血症』が一番問題だと言われています。
高リン血症があると、血管の筋肉の細胞が石灰化していくと言われており、その治療で行う炭酸カルシウムによる高カルシウム血症も血管石灰化を誘発します。
制限をしなければ、食事から摂取するリンは一日1200mg位となります。
しかし、1回の透析で除去できるリンは700-800mgとなり、週あたり6000mgも過剰となります。
そのため、炭酸カルシウムやカルシウムの塩酸セベラマーを飲んでもらっています。
今年は、より使いやすい炭酸ランタンが発売されると言う話ですので、期待したいです。
以上は、一般的な話です。
通常の透析を行っての話です。
有名なフランスのタサン中央透析センターでは、8時間透析を行うことですばらしい成績を上げています。
透析による蛋白の漏出が有るので、蛋白をとにかく取るように指導され、リンも下がってしまうので、とにかくせっせと食べろと指導されるようです。
他にも、長時間透析を行っている方や十分な透析量を取っている方ではリンのコントロールを必要としない場合が多いです。
要は、しっかりとした透析を行えば、リンについてもコントロール可能と言うことになります。
全国的にも、透析時間と透析量を増やすことで十分な成績を上げている施設では、リンの値が下がりすぎて心配だと話す先生もいらっしゃいます。
当院でも、時間の延長とオンラインHDFを行い透析量を増やすことを行っています。
まだまだ時間を延ばせない方も多いのですが、それなりに透析量を増やすことで、でリンの値を上げずに炭酸カルシウムの量を減らせることが出来ました。
以前、福島腎不全研究会に発表しましたが、当院転院後3ヶ月以上経過した患者さんのデータでは、
透析量KT/Vを1.28から1.85に上げることで、
リンの値は、5.01から4.73mg/dlと少し下がり、なおかつ炭酸カルシウムを一日2.64gから1.32gと半分に減らすことが出来ました。
たくさん食べる方は、炭酸カルシウムを飲む必要が出てきます。
ただ、十分な透析を行えば、そして服用方法が間違っていなければ、それでもリンが上がってしまうことは、決して多くないと思います。
急性腎不全=AKI 用語のこと
慢性腎不全は、医療者の間では、CRF( chronic renal failure)と呼ばれています。
そのままなのですが、chronic は慢性的な、 renal は腎臓の、failure は不全と言う意味です。
最近では、ESRD(End Stage Renal Disease)と言う呼び名も使われるようになってきました。
End Stage は終末像で、Renal Diseaseは腎臓病です。
まだまだ、僕の周りでは、使う人は少ないようですけれど。
急性腎不全は、ARF( acute renal failure)だったのが、最近では、AKI(acute kidney injury)と呼ばれるようになってきています。
急性腎不全とは,『急速な腎機能低下により体液のバランスが維持できなくなり,腎不全症状や検査異常をきたす疾患』です。
元々は、腎不全で無いことが前提であり、慢性腎不全が悪化した状態とは区別して考えなければいけません。
『急性腎不全の診断基準 』と言うものが最近発表され、
48時間以内での血清クレアチニン値の変動が、0.3mg/dl上昇
もしくは、前値の1.5倍上昇 である場合か
尿流量の減少が、体重あたり0.5ml以下で6時間 以上経過する場合と定義されています。
大学病院で診療していた頃は、他科の先生に依頼されて、急性腎不全の診療を行うことが多く、毎日のように持続的血液濾過透析の回路を夜遅く組み立てていたことを思い出します。
その頃は、大変な作業でしたが、今となっては懐かしい思い出です。
ちなみに、現在は臨床工学士が大学にも居るようになり、透析回路の組み立ては医師の仕事ではなくなったと聞いています。
僕が大学にいたのは、ほんの4、5年前のことですが。
ちょっとそれてしまいましたが、AKIは、早期で軽度な腎障害から透析を要するほどの重度な腎不全までを含めた用語として急速に広まってきている様です。
この名称の変更は,
①軽度な腎障害が予後と関連し、進行した腎不全ばかりでなく,早期で軽度な腎障害を含むと言うこと
②“failure”よりも“injury”のほうがより病態を表現することができること,
③ラテン語から派生した“renal”より“kidney”のほうが一般の人に理解されやすいこと
を考慮に入れて検討されたものである
臨牀透析 vol.24 no.7 2008
と書かれていました。
以前からある医学用語でも、一般の方に分かりやすい用語に変えていく姿勢がいいですね。
プロフィール
こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。