2009.07.27
診療
研究
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透析者のサプリメント

最近、サプリメントの摂取について教えてほしいという要望があり、ちょっと調べてみました。
まずはビタミン剤からです。

透析者では、ホモシステインが蓄積して動脈硬化が起こりやすく、葉酸、ビタミンB6,ビタミンB12のサプリメントはホモシステインを低下させる効果があり、透析者ではこれらのビタミンを積極的に服用する必要があると言われています。

さらに、現在の透析はハイパフォーマンスの膜を使用することが多く、水溶性ビタミンが喪失しやすいと言われています。
欧州のガイドラインでも、ビタミンBを代表とする水溶性ビタミンをサプリメントから積極的に補充することを勧めています。

欧米では、水溶性ビタミンを多くの患者さんが飲んでいますが、日本では服用している人がほとんどいません。

これは、米国では、腎不全患者用のビタミンの製剤があるのに対し、日本では処方できる薬が無いことが一番の原因ではと考えられます。
さらに多数の薬を飲んでいる人が多いため、積極的にこれらのビタミン剤を内服することを勧めていないためと思われます。

でも、最近の研究では、水溶性ビタミンを飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて有意に生存率がいいと言う結果も出ています。

また、ビタミンA,ビタミンC,ビタミンEはエース(ACE)と呼ばれていて、抗酸化ビタミンとしていろいろな病気を防ぐ作用があると言われています。

しかし、ビタミンCについては、腎不全では正常人と同じ量を飲んでいては多すぎてしまい、マルチビタミンを内服することが勧められています。

現在、腎不全患者用のマルチビタミン剤が市販されています。
可能な方はを服用することを試みてはどうでしょうか。

2009.07.27
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コレステロールの講演会

金曜日に悪玉コレステロールの講演会に行ってきました。

コレステロールでは、一般的にHDLコレステロールは善玉コレステロールで、LDLコレステロールが悪玉コレステロールです。

善玉のHDLコレステロールは、40mg/dl以上が正常で、悪玉のLDLコレステロールは、病状によって160−120mg/dl以下にしなさいと言う目標があります。

一般的に、動脈硬化を防ぐためには、LDLコレステロール/HDLコレステロール比が大切で、この比率を「2.0未満」に、そして、心筋梗塞や脳梗塞を起こしている人手は、「1.5未満」にすることで、病気の発症を防げると言われています。

ただ、以前から、悪玉のLDLコレステロールがそれほど高くなくても動脈硬化がひどい人が沢山いることは知っており、なぜなんだろうと思っていました。

先日の講演会で答えを知ることが出来ました。

LDLコレステロールは、蛋白と脂肪で成り立っており、脂肪を切り離した部分が、”アポリポ蛋白質”と言う部分になるそうです。

すなわち、LDLコレステロールは、アポリポ蛋白に脂肪が付いたものですので、脂肪が大きければ、大型になり、LDLコレステロールの数値が高くなります。
逆に脂肪が小さくてもアポリポ蛋白の数が増えれば小型のものが多数となり、LDLコレステロールの数値はやはり高くなるのです。

そして、大型のものがそれなりに有る場合と、小型のものが沢山ある場合では、動脈硬化のリスクが全然違うというのです。

LDLコレステロールの数値が同じでも、アポリポ蛋白の多い患者さんでは、心筋梗塞や脳梗塞のリスクは高くなり、大型のコレステロールのため、アポリポ蛋白の数が少ない患者さんでは、リスクが少ないそうです。

最近では、アポリポ蛋白Bも保険適応になってきており、専門家は積極的に検査しているそうです。

やはり、我々も常に勉強していないと、どんどん知らないことが増えていきそうです。

2009.07.22
診療
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学習講演会19

透析講演会については、今回で終了となります。

透析で目指すものは、長期予後がいいことと無愁訴透析(辛く無い透析)ですね。
透析中、本を読んだり、テレビを見たり、エルゴメーターを使用して運動を行ったりして、長い透析時間を過ごせればいいのですが、そのためには、透析中血圧が下がらないことが大切です。

最後に、お勧めの本があります。

透析医で、透析患者である仙台社会保険病院透析センター部長、鈴木一之先生が書いた、『しっかり透析のヒケツ』です。
どうすれば、長生きできて、辛くない透析が受けられるか書いてあります。
とてもお勧めの本です。

それから、もう一つ。

これは、とある東北の有名な病院の治療成績です。
全国平均が5年生存率60%に対し、80%以上です。

全国平均には、透析導入時に具合の悪い方が沢山含まれていますので、12か月の時点でかなり差が出ています。
しかし、その後の生存率の傾きも明らかに違うのが分かると思います。

透析導入して1年以上経過している患者さんは落ち着いている患者さんです。長期に透析を受ける人たちです。
その方たちの生存率がこれほど違うのです。

これは、透析施設によって長期の生存率が明らかに違うことを表しています。
しっかりとした考え方を持って透析診療を行っている施設と、そうでない施設の差は歴然です。

十分な透析を行った場合と、透析不足の場合では、長い年月が過ぎたときにこれだけ違うと言うことを、知っていただきたいです。

2009.07.21
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新型インフルエンザが広がってきている様です。

最近、郡山市でも新型インフルエンザが広まってきている様です。
先週末に7名目の感染者が確認され、全ての方が海外からの帰国後に判明しています。

今回の新型インフルエンザでは、ほとんどの方が軽症で治癒しておりますが、元々重い疾患を持つ患者さんでは重症化することがあるようです。

郡山医師会よりウエブサイトを用いて、積極的に市民の皆様に今回の新型インフルエンザの対応についてお知らせしてくださいと言う通達がありました。
ここに表示しますので、ご覧になってください。

1,外出する際は人混みをさけること
2,手洗い、うがい、咳エチケットの励行など引き続き予防対策を講じること
3,正確な情報に基づく落ち着いた対応をとること
4,発熱等の症状がある方は、医療機関を受診する前に発熱相談センターに相談すること。

以上です。

郡山市の発熱相談センターは、
郡山市保健所 024-924-1181
です。

受付時間は、午前9時~午後7時
  (夜間の相談受付は024-522-7212まで)

昨日のように人混みに出かける時は、帰宅時の手洗い、うがいを気をつけるよう心がけたいと思います。

 

2009.07.20
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学習講演会18

これまでスライドに示した他に、むずむず足いわゆるレストレスレッグ症候群がよくなった患者さんが2名おりました。

そして、透析量が増加して、リンを含めた食事制限が緩やかになったと言う患者さんが多いです。
何度も書きますが、透析前の糖尿病食を透析後も続けて行くと患者さんは痩せてしまいます。
痩せない様な透析は、透析不足の透析です。
十分に時間をかけて、透析量を増やした透析を行うことが大切です。

また、オンラインHDFの効果だと思いますが、透析中に昇圧剤を使用しなければならない回数が非常に少なく、エホチールは5ヶ月間で1Aしか使わなかったです。

この発表では、当院の透析で問題となったことについてコメントさせていただきましたが、一番の問題点は、血流量は増加することについての患者さんの抵抗は少なかったのですが、透析時間を延長することはなかなか納得してもらえないと言うのを実感しました。

これは、これからもずっと課題だと思います。
全国平均よりも5時間透析の方は多いですが、それでもせいぜい2割くらいであり、しかも、身体の大きな男性の方で、この人には是非とも5時間をやってもらいたいと考えている方で、時間延長に同意していただけない方が多くいらっしゃるのは、我々の力不足かなと考えています。

また、透析量を増やすことについて行けない方がいらっしゃるのも現実です。
そのような方の場合、食事を増やすことが出来るのなら、繰り返し栄養指導を行うことで、食事量を増やすように働きかけることが大切で、難しい場合には、透析時の栄養補給や、ケースバイケースで緩やかな透析に変更することも必要だと思います。

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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