2010.06.24
診療
研究

高透析量透析を行う上での問題点2

患者さんの背景と方法です。

今回対象とした患者さんは、当院転院後にオンラインHDF開始してから徐々に透析量を上げて10ヵ月以上経過した23名の患者さんです。

性別は、男性20名、女性3名です。
送迎を開始してからは、女性の患者さんが多くなってきていますが、10ヶ月前はまだ行っておらず、このような男女の比率でした。

平均年齢は63.4歳で、日本透析学会が発表している年末患者の平均年齢は65.3歳とほぼ同じでした。
原疾患としては、糖尿病の方が14名、非糖尿病の方が9名で、糖尿病性腎症による腎不全の方が多かったです。
当院は、開院してまだ2年しか経過していませんので、転院時の透析歴も短く、28.65ヶ月でした。

方法ですが、オンラインHDF開始時から透析量を上げていきました。
それで、10ヵ月後のGNRIが栄養障害の範疇に入っている方をどのように見つけるかということに焦点を当てました。

それで、透析条件がどのように変わったかです。
透析時間は、透析導入してから間もない人が多いため、3.97時間でしたが、4.49時間まで延長しています。
3.5時間5名、4時間16名、4.5時間1名、5時間1名から、10ヶ月後は、3.5時間0名、4時間6名、4.5時間11名、5時間6名となっています。
総会での演題で現在の時間構成がでますが、5時間の方はそれほど多くありません。
本当は、5時間の方がもっと増えてくれるといいのですが、力不足です。

血流量は、シャントの問題で血流を上げる事が出来ない方や、高齢者はそれほど高くしていないので、平均226ml/minが285ml/minまでの上昇となっています。

当然、Kt/Vは、平均1.43から1.91まで上がっています。

 

2010.06.23
診療
研究

前立腺がんの化学予防

癌の化学予防について知りました。

化学予防とは、癌の発生を元に戻す、あるいは予防する作用のある物質を使用して、発ガンのリスクを減らすことです。

前立腺がんは、発症率が高く、癌になってからの潜伏期間が長いので、化学予防の理想的な病気と言われています。

前立腺がんの化学予防として用いられる物質には、様々な物質があります。
たとえば、大豆、アスピリン、スタチンなどが化学予防物質として有用だと言われているようですが、その中でも5α還元酵素阻害薬の有用性が注目されています。

前立腺がんは男性ホルモンによって増殖していきます。
男性ホルモンであるテストステロンは5α還元酵素によってジヒドロテストステロンに変化しないと働く事ができません。

5α還元酵素阻害薬は、テストステロンがジヒドロテストステロンに変化するのを防ぐ効果が有りますので、血液中のテストステロン濃度を低下させずに抗ガン効果が出るという訳です。

5α還元酵素阻害薬には、2つほど製品化されている物が有ります。
一つは、飲む育毛剤として有名なプロベシアで、もう一つが前立腺肥大症の薬であるアボルブです。

アボルブを飲むことで、PSA値が高いなどの高リスクの患者さんが飲まない人と比べて23%も癌が少なくなったと言うことが報告されています。

ただ、この薬を飲むことで、性欲が落ちる方がいると言う副作用も有ります。
また、前立腺がんの死亡率が下がるかどうかは、現在のところ分かっていません。さらに、発症率は低くなるが、癌のリスクはゼロではないと言うことも知っておく必要があります。

これらのこともあり、現時点ではその有用性は確立されていませんが、今後アボルブが前立腺癌の化学予防を行える薬剤として使用されるようになっていくかもしれません。

2010.06.23
診療
研究

昨日のアクセス数

透析総会に行ってきたことを記事にしたとたん、アクセス数が

2010-06-19 1162
2010-06-20 997
2010-06-21 2591   ↑
2010-06-22 3695  ↑↑

すごい事になっています。

これまで行ってきた『しっかり透析』が注目されてきていると実感しました。
明日からは、福島腎不全研究会、透析総会の演題を記事にしていく予定です。
楽しみにしてくださいね。

2010.06.22
開業 / 病院経営
仕事 / 職場

自販機復活

開院して2年が経過した時点で、院内の自動販売機が販売不良で撤去されてしまっていました。

原因は、

1,向きが悪く、見えにくい
2,無料のミネラルウオーターが置いてある。

→売れない

まあ、やむ得ないと考えていました。

ところが、当院に通院中の透析患者さん達が良く購入していたようです。
それで、やっぱりないと困ると言う話しが出てきました。

ちょうど、キリンさんが自動販売機を紹介してくれまして、昨日復活することが出来ました。
自販機の向きも見やすい方向に変えました。

その分、ミネラルウオーターは必要な方へ提供する形に変更となりました。
ご了承ください。

2010.06.21
診療
研究

高透析量透析を行う上での問題点1

それでは、以前ご紹介しましたが、平成22年6月12日土曜日に第82回福島腎不全研究会で発表した演題

高透析量透析を行う上での問題点
〜しっかり透析を行う上で注意すること〜

を記事として載せたいと思います。

今回の演題は、透析総会の予行演習的な発表ですので、次に提示する透析総会の演題と似ています。
ご容赦ください。

援腎会すずきクリニックでは、しっかり透析の実践を目標としています。

透析時間は長ければ長いほどいい。
透析量は増やした方がいいので、血流は上げられるのなら上げた方がいい。
透析方法は、大量置換前希釈オンラインHDFが栄養管理の上でも優れている

と言う考え方を前提に治療を行っています。

透析時間に関しては、なかなか5時間以上の透析時間を受け入れてくれる患者さんが少ないのが現実です。
先日、オフ会で一緒になったひでぽんさんは、在宅透析をやられていて、週4回5時間のオーバーナイト透析で、血流270ml/minだそうです。
やっぱりリンが低くなって困るとのことでした。

だんだん話がずれていきますが、先日の総会で話題となっていたのが、血清リン値は透析2時間後くらいを経過すると数値が下がらなくなることです。
でも、排液を調べると、時間が長くなるほどリンの排泄量が増えていくそうです。

と言うことは、血液中のリン値は2時間くらいで下がるが、骨とかに貯まったリンはそれ以降の時間でじわじわ抜かれていくのです。
組織に貯まったリンを取り除くためには、時間を延ばすことが大切だということが分かります。

話を戻しますが、援腎会すずきクリニックでは、4.5時間以上の透析時間を患者さんたちに進めています。
さらに、穿刺針を太くしなくても何とかなる最大の血流300ml/min(もちろん現実にはもっと低い血流でもゲージを太くした方がいいかもしれません。)、そして大量置換オンラインHDFを行い、患者さんが元気で長生きできることを目標としています。

ただ、高齢者などの一部の患者さんでは、このような高透析量の透析を行うと低栄養となることも現実問題としてあります。

どの様な方に高透析量のオンラインHDFを行うと栄養障害が生じてしまうかを事前に把握することができれば、より安全に透析治療が提供できると考えました。
今回の研究では、このような透析を行う時にどの様な点に注意すべきか発表しました。

 

プロフィール

援腎会すずきクリニック院長 鈴木一裕

こんにちは、援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕です。

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